呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

ちょっと怪しげな美術品取引

 中国で美術品を売りたいという日本の友人に頼まれ、美術品取引の会場について行ったときのことです。美術品は大変高価なため日本から持ってこず、写真のみを用意しました。会場に到着して連絡を取っていた担当者にその写真を見せたところ、現在中国では美術品が大変人気で、日本で売買されるよりも高額で取引されるという非常に期待感を感じさせる返事が返ってきました。今後の売却までの流れを確認したところ、まずその美術品を取り扱うための前提として真贋鑑定をする必要があり、そこで500元の費用を請求されました。べらぼうな金額でもないので鑑定することに同意し、それからしばらく待たされることとなりました。待たされている間に担当者が入れ代わり立ち代わりやってきては、こちらが用意した写真を見て「こんな素晴らしいものはない、かなりの価値がある」といってきます。言ってきた金額はこちらが販売したいと思っていた金額の何倍もします。そのうちこの会場は美術品の直取引が行われる場所かと思っていたが、実のところはオークションを行う会社の商談会であることがわかってきました。そして、オークションにかける場合の手数料として、鑑定書を発行する必要があり、これとは別に成約手数料が7.5%、出品物の宣伝費用として販売予定額の1%が初期費用として発生するとう説明を受けました。まず、初期費用が結構な金額になること、そして真贋鑑定を行いながら鑑定書を別途発行すること、その会場に展示されている美術品や展示棚がみすぼらしく、商談会という割には買い手と思われる人の姿が全く見えなかったことから、時間が経過するとともにこの会場で行われているやり取りの全てが疑わしく感じられるようになりました。商談会の主催会社は資本金が1000万元と一応の規模を持つ会社であり、また入居しているビル自体も多くの有名企業が入居しているオフィスビルであり、会社自体はしっかりしていると思われたが、どうにも怪しく感じられました。

 オークションを行う会社にはオークションの意味を表わす「拍売」という文字が社名に含まれている必要があります。調べてみたところ、この商談会の主催会社名にはこの2文字が含まれていません。案の定経営範囲にはオークションが含まれていません。オークション自体は別の会社の女木でやるのかもしれませんが。また、同社のウェブサイトには「国内外の数名の有名収集家及び大型芸術品投資機構が共同発起設立した株式制集団公司」とあるが、登記情報を見たところ出資者が2名、組織形態は股份公司ではなく有限公司会社でありました。

 さらに色々と調べてみますと、中国ではこのような会社は少なくなく、詐欺的なケースでは真贋鑑定料500元でひと稼ぎ、鑑定書発行でまたひと稼ぎ、その後オークションプラットフォームに乗せるための初期費用等名目でまたひと稼ぎ、これらを払ったはいいもののいつまでたっても取引が成約するわけでもなく、あたかも費用さえ払えばそう遠くないうちに成約すると思いこまされていただけということに最後に気付くことになります。

 気の緩んだ人や欲の皮の突っ張った人だとついつい相手の勢いに飲まれて契約してしまうかもしれません。どうしても海外に出てしまうと気が緩んでしまうような人がいますからね。海外であるが故により気を付ける必要がありますね。


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