呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

欧州系企業が見る中国の新常態

 最近中国に関するキーワードとして「新常態」という用語がよく聞かれます。カタカナでニューノーマルといいますが、これだけだとよくわかりません。産経新聞の記事には、”新常態は「坂を登り峠を越える重要な段階」と表現された。高度経済成長時代が終焉(しゅうえん)を告げ、成長鈍化局面に入ったことを聞き覚えのない言葉に言い換えた一種のレトリックだ。”と表現されています。要するに成長鈍化に時代に入ったということを指しているようです。

 さて、この新常態という状況を欧州系企業がどのように見ているのかを《中国EU商会商業信心調査》で発表されていますので、今日はそれを見ていきましょう。

1.欧州系企業の利益

 中国における欧州系企業の利益に関するグラフです。薄いグリーンが利息前税前収益率がプラス、要するに黒字企業の比率です。2014年は70%が黒字ということですが、裏を返すと30%が赤字ということになります。しかもこの70%という数字は2005年以降で見ると高い方の数値に入っています。グレーは営業額が増加している企業の比率です。ピークは2010年ごろで、今は60%くらいです。こんなもんなんですね。

 

 

 

2.中国における経営における課題

 2014年、2015年ともに中国経済の鈍化が40%強となっています。ここ数年ずっと言われていることですね。2015年については人的コストの上昇が24%となっており、2014年にはこれが見られないので、急上昇したのかと思われます。昨年時点ですで人的コストは上昇していますが、調査時期と発表時期のタイムラグ、及び人民元高の影響もあるのかと思われます。

 

3.中国経済鈍化の影響が大きい業種

 薄いグリーンが「顕著に影響」を示すものですが、工業機械産業が76%でトップ、営業が最も小さいのは医療保健となっています。医療保健は許認可に時間がかかるといった声がよく聞こえてきますが、相対的に安定している業種だといえますね。

 

 

4.中国市場の重要性

 薄いグリーンは重要であると示している比率です。2011年あたりは80%くらいありましたが、2015年は約2割落ち込んで61%、それでも過半数が重要視しているということです。なお、欧州からの投資は前年同期比で22.2%のプラスとなっています。

 

5.将来的に投資を考える業種

 自動車及び部品が80%、医療保健が79%、ホテルが87%となっています。欧州企業がわざわざ中国に来てまで展開するホテルはそれなりのグレードのホテルになるかと思うのですが、まだまだやっていける業種だとみているのでしょうか。上海を見る限りはじゃんじゃん高級ホテルができていますが、いまさらさらに上海というわけにもいかないでしょうし、地方都市でどこまでグレードの高いホテルがやっていけるのかということになりそうですね。

 

6.新常態の中国でやるべきこと

 短期的には損失を押さえること、長期的には投資していくこと、という方針です。

 

 短期的な損失を押させるというところを見ますと、中国業務を拡大しない:31%、投資をその他市場に振り向ける:16%、コスト削減の計画:39%となっています。

 長期的な投資を見ていきますと、中国でのR&Dセンターの設立:25%、中国でのR&Dの増加:85%、中国におけるR&D能力は既に世界平均レベルと同じ:48%となっています。研究開発という目線でも中国は重要になってきています。技術漏洩うんぬんの話おありますが、中国市場を相手にするのであれば中国でのR&Dはやっていくべきでしょうし、中国のR&Dで得られた成果を中国以外でも活用することができる、こういう考え方でやっているのかと思います。R&Dセンターの技術者の離職率を本国と中国で比較した場合、それほど変わらなかったという国もあり、つまり離職による技術漏洩リスクは変わらんということから、割り切っている企業も少なくないと思います。とはいうものの、自身が企業の立場だとコアな部分はやはり本国に残したいという気持ちがあるおは否定しません。結構保守的なのです。

 

7.インセンティブを感じる中国で持続発展する五大要素

 期待度の大きい順で見ていきますと、法治、国内消費、公平な競争及び独占の減少、厳格な環境保護政策及び執行、腐敗食い止めの能力という順になっています。日頃企業のお話しを聞く中で聞こえてくるボヤキと同じような内容ですね。このあたりは日系も欧州系もあまり変わらんということですね。

 

 

 ご参考ください。


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