呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

地方の投資誘致が大変なようです

 昨年11月27日付で《国務院:税収等優遇政策の整理規範に関する通知》なるものが公布され、同日施行されているのですが、簡単に言いますとこの通達、地方が勝手に国が決めたルールを超えて投資誘致のために税収優遇を含む優遇政策を与えることを一律禁止するというものです。もちろん国が決めたものであればいいのですが、往々にして行われているのが地方が勝手に提供する優遇政策です。

 

 企業が進出地を決めるにあたりまして、当然インフラが整っていたり、人件費コストのレベルであったり、物流の整備状況であったり、取引先との距離であったり、いろんな要素を総合して場所を決めると思うのですが、これら以外の要素として、地方政府がどれだけ自分たちに対して優遇を与えてくれるのかを重視する企業もいます。一部の企業ではどれだけの優遇策をコミットするかでいろんな地方政府を天秤にかけ、有利な条件を提供してくれば場所に登記するというようなことが見られていました。インフラ等の面での条件が整っていればそれだけで有利なので、そうでない地方はいきおい優遇政策に頼ろうとします。そしてこの通達が出たおかげで、そうでない地方は優遇政策に頼ることができず、投資誘致という行為がどん詰まりになってしまうという懸念があり、実際にそうなってきつつあるようです。通達通りに行けば地方が無断で行っている優遇政策は一切がっさ禁止となるのですが、一気にやってしまうと影響が大きいので場所ごとの実情を勘案しながら処理していくことになるとみる人がいます。また、地方政府がコミットしたことを実行できないということに対して、地方政府を訴えるようなケースがあるのではないかとみる人もいます(個人的には訴えるまではないと思います)。今既に優遇策を受けている人は今後受けられないのはともかく、ひょっとして返金させられるのではないかとハラハラものですし、これから進出を考えている企業は地方が優遇策を提供するという甘い言葉に対しては頭から疑ってかかるというか、そもそも受けられない、受けるべきではないものとして検討すべきでしょう。

 

 そういえば以前あったケースですが、撤退にあたり地方独自の通達に基づいて提供していた優遇部分の返還を求められた企業がいました。企業側は変換やむなしという判断にいたり、とはいうもののそこそこの金額のキャッシュを動かすわけなので、返還しなければならないというエビデンスを地方政府に対して要求しました。ところが、そもそも地方が独自で越権して提供していた優遇策であり、しかも口約束だったので、全く何らエビデンスがなく、支払いたいという企業も困ってしまったというケースがあります。

 

 いずれにせよ、優遇政策以外に魅力のなかった地方にとって、今後の投資誘致に対する影響は少なくないでしょう。まあ、いまさら工場を中国で作るという話もそんなに多くないですし、今後の支出という観点から見た場合、日本企業からするとあんまり関係なさそうですね。


メルマガで最新情報をお届けします
「呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記」の新着記事をメールにてお届けします。今の中国ビジネスの実態をお伝えしております。
メールアドレス *
* 必須項目