呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

上海自由貿易試験区のブラックリスト企業

 上海自由貿易試験区で「企業経営異常名録」といういわゆるブラックリストが発表されました。これは年度報告を提出した企業の12%に該当します。12%って結構高い水準だと思います。いい加減な気持ちで設立された企業が多いのでしょう。リストアップされる企業は、(1)期限通りに年度報告の公示義務を履行していない、(2)住所(経営場所)を通じて連絡が取れない、の二つで、今回リストアップされている企業はほぼ全て(1)に該当します。ほとんどが新設企業かと思われます。資本金要件が撤廃されたり、手続き自体が簡素化され会社設立が容易になったことから、当初は転売目的で設立された企業も多かったようですが、その影響かと思われます。

 

 どれだけの数の企業が設立されたかですが、上海自由貿易試験区がスタートしてから9月15日時点までで12,288社が登記されています。これは過去20年に設立された累計企業数を超えるものです。新設企業の資本金の平均は2841万元とそこそこの規模で、業種としては卸売・小売業54%、リース・商業サービス業27%で、この二つで約8割を占めています。

 

 さて、この自由貿易試験区がどこまで有効に活用できるか、これは自由貿易試験区という名がつく前の保税区や保税物流園区等と比較してということになるのですが、個人的には特に大きく変わらないものと思います。もちろん、自由貿易試験区だからこそできることも増えましたが、限定的に業界の参入要件を緩和した(ex:病院、ゲーム、航行等)ものであり、従来から運営している企業にとっては特段の影響もなく、また通常の貿易会社にとっても同じく何ら変わりはありません。もちろん参入要件が緩和されている業種もありますので、それを狙って参入する企業にとってはメリットがありますが、あまり汎用的な業種はないと思います。

 

 一般的には以前から保税区や保税物流園区で運営していた企業にも何かメリットがあるのではないかと考える人がいるかもしれません。上海でも自由貿易試験区に関するセミナーが何度も開催されていますが、その多くが無料セミナーということもあってどれも多くの人数が参加していますが、上海で散会する企業は既に自由貿易試験区内にいる企業なので、政策面で新たに何ができるというのはほとんどなく、それはわかっているけれども知識だけはつけておきたいという人が多かったように思います。あくまで業種が部分的に開放されたにすぎず、以前からできていたような業種にとっては関係ないと考えていいでしょう。


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