呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

がらがらのショッピングモール

 若干古いデータですが、2013年上半期の上海のショッピングモールの統計数値を見ていきましょう。特に区域別にください。絶対額こそ中心区が大きく突き放しているものの、前年比、前月比ともに中心区よりも郊外型の消費の伸びが大きいことがわかります。一線都市から二線都市、そして三線都市へというのが最近のコンシューマー市場のトレンドですが、一線都市内でも中心区を一線都市、近郊街区を二線都市、遠郊外区を三線都市と読み替えれば同様の動きがみられるといえます。

 

 

 

 次に2014年7月の統計数値を見てみますと新たなトレンドが見えてきます。卸売小売業、すなわち物販の伸び率がわずか5.5%であるのに対し、飲食業及び文化娯楽業のいずれも17.9%の伸びを示しているように、サービス業が大きく伸ばしてきていることがわかります。

 

 

 

 これにはいくつか原因があげられますが、まず一つ目として消費者が実店舗からの購入からネットショッピングへ移行していることがあげられます。取引母数が大きくなってきているため成長率こそ鈍化してきていますが、2013年のネットショッピングの成長率は39.4%、2014年においても30%以上の成長が見込まれており、社会消費品小売総額の占める比率も年々高まってきています。

 

 ネットショッピングは非常に手軽に行うことができ、しかも価格が実店舗にくらべて安価であることから、実店舗は非常に大きな影響を受けるようになってきています。そして、実店舗の売り上げに頼るショッピングモールも消費者のニーズに合わせるべく、ネットショッピングの影響を受けにくい飲食店や文化娯楽の比率を増やすようになってきています。実際に過去2年において、上海の一部のエリアで飲食・娯楽・サービスのショッピングモール内の空間に占める割合が30%から33%に上昇し、新たに運営を開始したモールではこれが45%にまで上昇しているケースがあります。例えば2013年1月18日に開業したK11購物芸術中心というショッピングモールでは飲食の比率が36%、サービス業が12%で、この二つの業種でほぼ半分が占められています。一部のモールでは既に飲食と娯楽(映画館、ゲームセンター、カラオケ等)で60-70%埋めようと計画しているところもあり、この他の業種だと児童教育や英語教室、この他エステといったネット通販では賄えないものを導入しようという動きが見られる。最近では中国の映画市場も急成長しており、ショッピングモール内にIMAXシアターも多くみられるようになっています。ショッピングモールでありながらショッピングの比率が減少しているといえます。

 

 

      (上海IAPM内のIMAXシアター)

 

 このような状況において、ショッピングモール自体が過剰気味であります。以前にも紹介しましたが、現在世界で建築中のショッピングモールの面積は3,900万平方メートルで、これは前年比300万平方メートルの増加なのですが、建築中面積の半分以上が中国です。建築中ショッピングモール都市別面積トップ10のうち、なんと8つが中国です。そもそも多すぎるというのにまだまだ作ろうとしています。上海の建築中面積は330万平方メートルで世界で第一位、上海の次は成都深圳、天津と中国の都市がずらりと続く。既に飽和気味といわれていながらそれでも作り続けるのが中国らしい。おかげで見た目は非常に立派なショッピングモールでも、人通りが決して多いとは言えないショッピングモールも見られます。

 

 先日会社の近くにある俗にルイヴィトンビルと呼ばれている尚嘉中心というショッピングモールに行ってきたのですが、いくら平日とはいえあまりにも人ががらがらでした。まあ、高級ブランド店が多いので、一日いくつか売れさえすればいいようなお店もあるのでしょうが、それにしても少ない。

 

   

   

   

   

  

 

 まさにがらがらです。そして、今月下旬にさらにアピタ上海という名前でユニーがここから徒歩5分以内で着くところで開業します。なにぶんアピタ上海はまだ開業していないので、どんな店舗が入居して、どんな雰囲気で、どんなターゲットでやっていくのかをまだわかっていないのですが、ルイヴィトンビルのような人ががらがらなところの近くなので、果たしてどうでしょうか。個人的には会社の近くで便利ではあるのですが。


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