呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

ラグジュアリーブランドにとって上海外灘(バンド)エリアは魅力なし?

 上海の代表的な観光名所外灘(バンド)、元々は租界だったこともあり洋風の建物が多くおしゃれな感じがします。

 

 

 

 また川を挟んだ対面は浦東のビル群を望むことができ、非常に素敵なエリアであります。

 

 

 こういう素敵な場所であるので、多くの国際一流ブランドが店舗を構えているのですが、最近になってそれら国際一流ブランドの店舗がこのエリアらか引き上げる動きがみられています。このような現象が起きている理由として7つの要因が挙げられています。私の思うところも交えながら紹介します。

 

1.旅行客が多く、賃料が高く、買い物比率が少ない

 確かに外灘エリアに観光客は多いです。地方から来た観光客が多く、購買力が弱い人たちが多いのは否定できません。上海人もここでは買わないですし、観光客もターゲット顧客というわけでもありません。そもそも私もブランド物には関心がない方ですが、このエリアで購入しようという気にはならないです。いろいろ見て選ぼうと思うのであればもっと店舗が集積しているエリアやショッピングモールに行きます。多くの人がカフェでお茶するくらいの消費はしていますが、レストランあたりでも高級なところだとそれほどお客さんもいないそうです。行かないので自分の目で見たわけではありませんが。

 グッチのようなブランドの南京路商圏の一日の売り上げが100万元を超えることがあるそうですが、これが外灘だと10万元がせいぜいだそうで、明らかに売り上げをあげる力が弱いエリアといえます。賃料も南京路商圏が20-30元/日/平方メートルに対して、外灘だと同じ基準で30-40元。売り上げる力が弱く、コストが高い、儲かりようがないわけです。特に外灘に近い南京路エリアは人通りも多く、見た目は活気が非常にあるのですが、地方から来た観光客の多いエリアであり、消費力の強いエリアでは決してないということを認識しておくべきでしょう。上海に視察に来る人達が最も勘違いしてしまうエリアといえます。

 

2.ショッピングモールの増加により出店候補エリアが増加

 アルマーニは外灘の店舗を引き上げて。IFCというショッピングモールに出店したように、近年増加しているショッピングモールへの出店という方法が出てきています。ショッピングモールが増加することで、人の流れが変わってきているようです。また、新興商圏も増えてきており、新たな商圏の多くが郊外に位置するようになってきています。例えば、虹橋商務区、七宝、五角城といったエリアですね。2013年の上海郊外のショッピングモールの営業収入が17.4%も伸びているのに対して、市中心エリアはわずか3.2%しか伸びていません。一般的に市中心エリアにあるショッピングモールの売上額が10億元を超えるといわれていますが、奉賢あたりのショッピングモールも同じくらい売り上げる力があるようです。郊外だと賃料も安いでしょうからコストパフォーマンスがいいですよね。

 

3.建物のまとまり感がなく、買い物気分が不足

 これは私はあまり感じないのですが、建物のまとまり感がないため、買い物する気分になりづらいということがあげられています。街全体として盛り上げていこうということができず、物件のオーナーが自分の好きなようにやっているということを指しているのかと思います。

 

4.ブランド紹介の使命を終えた

 そもそも外灘エリアで買い物してもらうという発想が昔からあったのかどうかが疑問なのですが、何せ人が集まるところなので、そういうところに出店しているということは皆に認知をさせるという意味では効果があったでしょう。しかし、既に十分認知されたブランドであればこのようなコスパの悪いところに固執する必要は確かにないですね。

 

5.一線市場が飽和、二・三線市場に注力

 一般的によく言われていることですが、一線都市が飽和気味であるのに対して、二・三線都市はまだこれから伸びていくと見られており、実際に伸びています。例えば、LVの北京や上海の店舗の売り上げは毎年5-10%落ちてきており、いろいろと手を打っているようですが思う通りにはなっていない模様です。一線市場は広告・マーケティングコストも二・三線都市に比べてはるかに高く、その割には効果が薄い。

 二・三線都市の勢いを見る上で分かりやすい例として成都があげられます。成都にあるLVに旗艦店が2010年9月にオープンした時、試営業当日で500万元も売ったそうです。今では成都は北京、上海に次ぐ売り上げを誇っており、年間で9億元も販売しているそうで、LVが成都に旗艦店を設けているというのも理解できます。ちなみにゼニアも成都での売り上げは中国で三番目に多いとのことで、決してLVだけの動きというわけではありません。

成都は街並みもしっかりしていますし、待ちゆく人も結構おしゃれで、以前から内陸マーケットの代名詞のように言われいましたが、まさにその通りの場所といえますね。

 

6.ぜいたく品消費の下降

 2012年に中国のぜいたく品消費総額は1150億元で増加率が7%、2011年は増加率が30%だったのに比べると大きく下がってきています。ぜいたく品を海外で購入する人も増えてきており、最近では贅沢ブランドの出店数も激減しており、グッチは今年新たな都市で店舗を開設を計画しておらず、エルメスも今年まだ一店舗しかオープンしていません。

 

7.商品を見る力がついてきた

 中国人のブランド好きはミエの部分もあれば、モノを見る目がなくて値段でしか判断できなかったりしましたが、最近商品を見る力がついてきたといわれています。ということは、無理に値段の高いブランド物なんて買わなくても、自分がいいと思ったものをリーズナブルな価格で買うという行動につながり、結果として影響を受けるのは贅沢ブランドということになります。これがもっと顕著になっていくと、「この年だでこれだけのクオリティのものが買えるのか」が売りの日本ブランド品のチャンスが増してくるかと思いますが、中国地場ブランドも力をつけてくるという点には留意する必要があるでしょう。


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