呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国養老不動産ビジネス

 日本の高齢者比率は世界的にもトップクラスですが、中国はとにかく人口が多く、老人も当然のことながら非常にたくさんおり、また今後どんどん高齢者比率が高まっていくといわれていることもあり、多くの企業がこの点に着目し、養老ビジネスに参入しようとしています。日系を含む外資系も関心を持っている分野であり、私のところにも過去に何度も相談を受けたことがあります。ここでは中国における養老ビジネスの現状について少し紹介したいと思います。

 

 中国の養老ビジネスに参入しようとしている中国企業としては、不動産ディベロッパー、産業投資家、保険会社が主力となっています。そして最近では中信、中鉄、中融といった信託会社も参入してきていますが、ここでは不動産ディベロッパー、産業投資家、保険会社がどのようなビジネスモデルで展開しようとしているかを見ていきましょう。

 

1.ディベロッパー

 売却主体のビジネスモデルです。「度假(休みを過ごす)+養老」の販売モデル、または大部分を販売し、少しだけ自社保有するという「嵌入(埋め込み)式養老」モデルを採用しています。

 「度假(休みを過ごす)+養老」の販売モデルは一般住宅の場合と同じく売却によって利益を上げるというものですが、物件が高齢者向けの設計となっているので、建設コストが高めになり、売却価格もその分高くなってしまうという特徴があります。

「嵌入(組み込み)式養老」モデルは住宅と老人向け物件の二つを含んだものであり、住宅を販売することによって資金回収し、その資金でもって保有物件の運営の足しにするというものです。老人向け物件は一般の社区(社区という言葉は中国独特の言葉で適当な日本語訳がありませんが、草の根部分の地域社会を構成する住人による自治組織のようなもので、エリアを指すこともあります)に組み入れられており、賃貸されるのですが、これがあることによって住宅の販売を促します。「嵌入(組み込み)式養老」モデルは自社保有物件の比率が約20%と小さめであることから、全体プロジェクトに対する開発コストの影響も大きくないことがメリットとしてあげられています。

 

2.産業投資家

 産業投資家は通常自己保有モデルを選択します。小型の養老プロジェクトは一般的に保証金性を導入し、入居者が先に保証金を支払い、その後毎月賃料を支払い、最後に保証金を返却するというものです。このモデルは初期に回収する資金が少ないため、都市や成熟した社区が集まっている小型養老機構向けに多く見られます。

大型養老プロジェクトは通常は会員制を採用し、入居者から初期に数十万から100万元レベルの会費を納めてもらい、これにより建築コストを回収します。その後住宅のタイプによって毎年数万元の管理を徴収し、これが利益の源となります。この種のモデルは投資企業がプロジェクトの初期で大部分の資金を回収することができる点に特徴があります。ミドルハイエンド、規模が大きめ且つ土地の性質や政策制限により販売できない養老社区向け適合しているといわれています。

 

3.保険会社

 会員制をベースに養老保険とリンクさせるモデルです。保険会社は業界ルールによりこの種の不動産を長期保有することしか認められておらず、養老不動産プロジェクトを販売することもできません。そのため、できるだけ早期に資金回収するために、保険会社の養老不動産プロジェクトは一般的に保険商品とリンクさせ、保険購入者が保険を購入すると同時に養老社区に入る権利を取得するようなモデルとなっています。保険料は数十万元から数百万元と異なっており、期限満了後顧客は保険金を現金給付してもらうか、または直接入居賃料に充当するかを選択することができます。

 

 多くの企業が養老不動産ビジネスに参入していますが、まだ始まったばかりのビジネスということもあり、利益を計上するという意味でのビジネスモデルが確立されきっていないのが現状です。また、物件というハコが出来上がったとしても、それをいかにオペレーションするか、特に介護が必要なレベルの人を受け入れる場合、その受け入れ態勢や、まだまだレベルが低いといわざるを得ない介護士をどのように育成していくのか、そもそもハイエンド向けに対する料金設定はどの程度に設定すべきで、その対ソ湯がどれだけいるのか、といった問題もあり、これらを全部解決しようとすると、なかなか気の長いビジネスになるでしょう。短期で一期に回収するのではなく、ある程度長期的にプロジェクトを考えていく必要のある分野といえるでしょう。


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