呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

社外取締役を辞任する役人及びそのOB

 日本の大企業ではすっかりおなじみとなった社外取締役。中国でも2001年よりスタートしており既に10年以上の歴史があります。もともと中国の社外取締役にはどんな人が多かったかといいますと、なんと役人やそのOBが多かったのです。なるほどぉーと思う人もいるかもしれません。社外取締役に役人やそのOBを迎え入れる狙いとはいうまでもなく人脈狙いです。人脈狙いだけでなく長年の経験を見込んでという人もいますが、そもそも会社経営を経験していない人たちなので、経営面でのアドバイスについてはあまり役に立たないようです。そもそも役人やそのOBが社外取締役を兼任する(OBだといわゆる天下りですね)ことに対してどのようなルールがあるかといいますと、《公務員法》によりますと、「公務員は公職を辞職または定年退職した場合、元々幹部メンバーだった公民が離職して三年以内、その他公務員は離職して二年以内は、元々の業務と直接関連する企業またはその他営利性組織で任職してはならず、元々の業務と直接関連する営利性活動に従事してはならない。」とあるように、一定期間を置かなければもともと関連した業界に関係する企業に勤めることはできないと定められています。なるほど。まあまあ厳しいルールですね。

 

ところが、昨年10月に《一段と党政領導幹部が企業で兼職(任職)することの問題を規範することに関する意見》が公布されたのですが、この通達を一部抜き出したのがこれです。

 

一、   現職と現職を担当していないが退(離)職手続きを行っていない党政領導幹部は企業で兼職(任職)してはならない。

(→当たり前ですが、現職役人は企業勤めをしてはいけません。)

 

二、   公職または定年定食(離職)した党政幹部が企業で兼職(任職)するには、(中略)幹部管理権限に従って厳格に審査批准を行うこと。

(→兼職(任職)する場合には審査が必要ということ。)

 

  公職または定年退職(離職)後三年以内は、本人が元々職務管轄を任されていた地区と業務範囲内の企業で兼職(任職)してはならず、元々の職務管轄業務と関連する営利性活動に従事してはならない。

 

 

 この通達は全部で十条あって、まあ大体同じような調子の文言が続いてます。そして、windという調査機関が統計したデータによりますと、この通知が出された2013年10月から2014年7月までで、300人近くの社外取締役が自主的に辞任しており、このうち、役人社外取締役は120人ほどだそうです。結構制限をかける通達が出てしまったので、取り締まられる前に自ら社外取締役の職務を返上した役人やそのOBがたくさんいたということがわかります。これが厳正に運用されるようになると、役人とそのOBは企業からお金をもらえなくなってしまいます。社外取締役ではなくて顧問や相談役ならいいのかと一瞬思いましたが、「営利性活動に従事してはならない」という表現だとお金をもらうことすらできなく見えます。

 

 公務員に対する目が厳しくなっていくととともに公務員人気が落ちてきていますが、この通達が厳しく運用されるようになるとさらに公務員人気が落ち込むことが考えられますね。


メルマガで最新情報をお届けします
「呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記」の新着記事をメールにてお届けします。今の中国ビジネスの実態をお伝えしております。
メールアドレス *
* 必須項目