呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

不動産登記に聖域設けず

 中国で不動産登記制度が整備されつつあるようです。《不動産統一登記条例》の起草が終わり、その実務のための《不動産登記条例実施弁法》の起草に向けての検討が進んでいます。この程度のことは日本だとどうってことないように思いますが、中国の場合は影響が大きいと言われています。中国のメディアやネット上では不動産登記制度は腐敗防止につながる、不動産価格の値下げにつながらう、不動産市場に影響を与えるといわれています。登記をするという至極当然なことがなぜこんな影響をもたらすといわれているのかというと、出所のわからないお金で不動産を購入している人、特に役人が多いからといわれています。なるほど。

 

 しかし、実は中国の役人が資産を申告する制度はすでにあります。1995年の時点で《党政機関県(処)級の領導幹部収入の申告に関する規定》(失効)が存在し、2001年には《省部級現職領導幹部が家庭資産を報告することの規定》が、そして2010年には《領導幹部が個人の関連事項を報告することに関する規定》が存在し、本人、配偶者及び扶養子女が保有する資産についてはきちんと報告すべきというルールがあるのです。まあ、まったくといっていいほど機能していないのでしょうが。不動産登記制度が整備されると、少なくとも不動産に関しては簡単に調べられるようになり、資産状況も明らかになってしまうことから、不動産登記は腐敗防止につながるという見方があるのでしょう。さらに、不動産登記制度が整備されると保有する不動産の状況が明らかになるため、それを分からなくするために現金化しようとする動きが出てくると思われます。現金化すれば調べにくくなりますからね。しかし、これが理由で仮に不動産場暴落した場合、いったい今までの不動産相場は何だったのだということになりかねません。人民解放軍が高級酒を飲むのをやめましょうとなった途端に高級酒の売り上げがガタ落ちしたように、現金化を狙って売却物件がたくさんで相場が下がってしまいかねないということです。そうなったらそうなったでネタとしては面白いですね。

 

 なお、《不動産統一登記条例》は6月までに起草を終え、国務院に報告する段取りとなっているとのことです。そして、2018年までには不動産登記情報管理基礎プラットフォームの運航が始まるという計画なので、資産開示が理由で不動産相場の下落につながるのであれば2018年を見据えてその1-2年前には相場に動きができ来るのではないでしょうか。地方都市ではすでに不動産相場の雲行きが怪しくなってきているようですが、制度の整備により都会の物件の相場も怪しくなってくるかもしれませんね。


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