呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国企業のM&Aがうまくいかない要因

 中国企業の対外進出が話題になるようになってからしばらくになります。私のところにもその手話は意外と来ます。中国側の買いもあれば中国側の売りもあります。それ以外にも、中国系以外の非日系の在中国企業の売りの話もあります。規模的には大手証券会社だと取り扱いにくいくらいのものが多いです。このように、中国企業の関係するM&Aは徐々に増えてきていますが、統計によりますと2002年の中国の対外投資は27億米ドルだったのが、2012年には878億米ドル、そして今年1-10月で見ますと、中国企業の非金融類の海外投資は695.2億米ドルに達し、前年同時期比19.5%の増加となっています。

 中国からお金を引っ張りたいというニーズはあるようで、例えば在中国アメリカ大使館のウィリアム・ザリット公使によると、中国企業の対米投資を吸収及び奨励するのは在中国アメリカ大使館の業務の重点とコメントしています。

 一般的にM&Aは成功率が半分くらいといわれており、中国商務部国際貿易経済合作研究員の研究データでは成功率は40%という結果が出ています。平安財智投資管理有限公司という会社の王CEOによるとこれはさらに下がり成功率は14%を超えないとコメントしています。王CEOによると、政治、法律、文化上のリスク意外に、中国企業の海外M&A失敗の4つの原因とは、

1.中国企業の海外M&Aは往々にして商業と非商業の目的が混ざってしまっている。

 つまり、メンツを重んじ、言い換えると格好をつけて色んなターゲットに対してやみくもに行うM&Aが失敗しているという傾向があるということです。

2.忍耐力不足

 中国企業が欧州企業に対してM&Aを行うする時に往々にして見られるようですが、企業に対する理解をすることに対する忍耐力が不足しているということをいいます。理解しないままに買収するというのは問題ですね。

3.機会主義

 機会主義をベースにしたM&Aが主流を占めている、つまり、ビジネスチャンスを会を獲得するのは当然大事なのですが、そればかりに目を奪われて、それがちゃんとした話なのか、ちょっと怪しい話なのかの見極めが甘いということですね。中国企業は日本企業に比べて行動が速いとよく言われますが、これについてはその弊害の部分といえますね。

4.ブランドに目が行き過ぎ

 中国企業は往々にして国際ブランドを憧れのまなざしだけで見て、そのブランドの背後にあるもの(例えば従業員etc)を見過ごしがちということを言います。ブランド志向が強いので、さもありなんという感じがします。

 以上より、中国企業は対外投資をする前に、まずは明確な目標を立て、M&Aのリスクを考慮し、特にそれによって得られるビジネスについて十分考察することが必要になってきます。いわゆるポストM&Aというやつですね。

 中国企業の成長もあまりにも急激であり、そのためM&A経験も多くなく、その方面の人材が不足しているといわれています。それが成功率が高くないことにつながっているのだと思いますが、王CEOは海外M&Aを行う企業が備えておくべき4つの能力を挙げています。

(1) M&Aを計画する能力があること

(2) M&Aプロジェクトに関与する関連者を管理する能力を有していること

(3) 政策決定の選択能力を有していること

(4) ターゲット企業に対する再編能力を有していること

 今後はさらに人材の厚みも増してくるでしょうから、この4つの能力については徐々に計渇していくと思うのですが、どちらかというとその前に挙げた失敗の4つの原因、こちらは国民性による部分が多いので、これを4つの能力でいかにカバーしていくことができるのか、ということになろうかと思います。


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