呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国企業、アフリカへ行く

 中国企業がアフリカへ進出している話は聞かれたことがあるかと思います。ポジティブな報道もあればネガティブな報道もあります。徐々に中国経済圏に取り込まれていくのだとすれば日本もうかうかしていられないでしょう。これからはアフリカだという日本人にもお会いしたことがありますが、確かにアフリカは今後かなり刺激的な進出地と言えるかもしれません。ここでは中国最大の婦人靴メーカー華堅集団の事例を紹介します。

 

 同社は広東省東莞で婦人靴を生産しているのですが、10数年前からコストが次第に上昇するだろうと意識し、生産分布の調整を開始し、一部の注文を江西省に移転すると同時に、ベトナムにも工場を設けました。ベトナム工場は数年後に閉鎖することになってしまいましたが、ベトナムは製靴業の環境は珠江デルタほど整備されておらず、多くの原材料も広東省から調達しなければならず、生産効率もあまり高くなく、総合コストも珠江デルタに劣るのがその要因でありました。

 

 ベトナムはこのような結果になりましたが、2011年に華堅集団は中国製靴業で初めてアフリカに投資し、2012年1月より生産を開始しました。進出国はエチオピアで、同国は良質かつ廉価な原材料を調達することができ、労働力も十分にあり、そしてその労働力のコストもかなり安いという環境にありました。中国商務部の発表によるとエチオピアの製靴工場ワーカーの月間給与は262.8元(約4200円)とかなり優位性があります。珠江デルタのワーカーの給与は以前紹介したことがありますが3000元前後であり、ベトナムはこれの半分、そしてアフリカはこれよりも大きく下回ります。これにより、同社のエチオピアにおけるコスト構成は、原材料コスト約50%、従業員コスト約30%で、工場建物及びその他の支出約という構成になっています。

 

 アジア靴業協会と言うところがあるのですが、そこの発表によりますと、労働力コストの影響もあり、珠江デルタ地区の製靴企業の半分は中国国内の中西部に移転し、3分の1が東南アジアに移転しています。しかしながら、東南アジアのコストも上昇していくことを考えると、東南アジアを飛び越えてアフリカに進出する方がいいという考え方をする人もいます。また、世界的に見ても、労働集約型産業の移転先としてアフリカは最後の場所ともいえ、アフリカには若年労働者も多くいることから、コスト競争力もあります。しかし、あまりに東南アジアやアフリカに移転してしまっても、中国国内の就業に影響してしまうという問題があります。そのため、中国としても労働集約型産業を完全に切り捨てるようなことはせず、どんどん中西部に移転するようにすべきという意見もあるようです。今時日本の労働集約型産業が中国の工場で生産するという時代でもないと思いますが、かといってアフリカとなるとハードルが高そうですし、そうなると中国と東南アジアのどちらか、今の趨勢だと東南アジアなのでしょう。中国の中西部地区に労働集約型産業を集めたとして、おそらく多くの人は今の中国を見ると急激にコストが上昇することを恐れるのではないかなあと思います。自分が労働集約型産業の経営者だったら、やっぱり中国はないかな。


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