呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国でみられる「半加盟半直営」というフランチャイズビジネスモデル

 中国の家庭用紡績品で宝縵家紡(Bermo)というブランドの店舗があります。

 

 

 

 中国のフランチャイズ展開を研究したことのある人であれば、フランチャイジーの管理を含め中国のフランチャイズ展開がいかに難しいかをよく知っておられるかと思いますが、このBermoというブランドはちょっと変わった方法を採用しています。ブランド本体がフランチャイジー(以下、加盟店)に対して店長を派遣するというものです。中国では「半加盟半直営」スタイルと呼ばれており、この業界では初めての試みとのことです。加盟店は店長を派遣してもらうコストを負担する必要がありますが、このスタイルにより加盟店の質は改善されます。

 

 繰り返しになりますが、Bermoで行っているのは、本社が業務に熟練した店長や従業員を加盟店に一定期間送り込み、加盟店に一通りのことを伝授し、加盟店が独り立ちできるように育成していくというものです。ある家庭用紡績品ブランドでは100店舗あるとすると、ブランド本体から30人以上がそのケアのために用意され、1店舗に対して1人がケアする体制を取るところまであるそうです。しかし、この半加盟半直営モデルの場合、ケアする要員を店長に充当するため、ブランド側と加盟店側との間で行われる多くの中間フローが簡素化され、また本部が発する政策を加盟店が執行するスピードも向上するという効果があります。

 

 店長のコストは加盟店が負担するため、それを補うだけの業績を上げていかないと加盟店側から不満の声が上がるのは目に見えています。もし加盟店の経営状況が今一つの場合、一般的なフランチャイズだと、「加盟店もがんばってもらわないと」という逃げ口上も聞くのでしょうが、そもそも店長はブランド側から派遣されてきているので、店舗の経営状況がよくないと、「あんたが派遣してきた店長全然ダメじゃん」と切り返されることは間違いありません。そう考えると、結構リスクをかぶるビジネスモデルであるといえます。でもこれくらいしないと加盟店もちゃんとやってくれないという不安もあるのでしょう。

 

 中国のフランチャイズはトラブルが少なくありません。トラブルの多くは加盟店側がフランチャイズと言うものをあまり理解していないこと、あるいはそもそもフランチャイズと言うビジネスモデルで定められていることを守ろうという意識が薄いこと、要するにフランチャイズと言うビジネスモデルが成熟していないということかと思います。このため、日系企業だと大々的にフランチャイズ展開をしている業態としてはコンビニくらいで、それ以外でフランチャイズ展開を行っているところは決して多くありません。しかし、フランチャイズ展示会等を視察すると韓国系や台湾系が結構出展しており、フランチャイズに対して前向きであることがうかがえます。私が以前接した台湾企業ではフランチャイズはトラベルが多いのであまりやりたくないという人もいましたが、それでも相対的に日系企業はフランチャイズに対してネガティブな見方をしている印象があります。仕組みを作り上げるのが大変という問題がありますが、特に多店舗展開をしようというのであればもっと積極的にフランチャイズを真剣に検討してみてもいいのではないかと思います。よほどの体力がない限り直営店舗だけで多店舗展開なんてできるはずがないですし。中国という場所でフランチャイズ本部をどのように築き上げるか、加盟店をどのように増やしていくか(これを専門にやっている会社もあります)、もっともっと前向きに考えてもいい分野なのではないかなあと思います。そのためには非中国系企業がどのようにフランチャイズビジネスをオペレーションしているか、まずはそのあたりから研究していく必要があるのではないかと思います。


メルマガで最新情報をお届けします
「呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記」の新着記事をメールにてお届けします。今の中国ビジネスの実態をお伝えしております。
メールアドレス *
* 必須項目