呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

「以房養老」(不動産を以って老人を養う)はは受け入れられるのか

 昨日養老老人施設に関することを書きましたが、今日はその続きを。

 養老老人施設、しかも高級物件に入ろうとすれば相応のお金が必要になります。たくさんお金を持っている人であればいいのですが、資産のほとんどが不動産で構成されている場合、キャッシュが手元になりと言うことも考えらえます。そういう人のために考えられたのが、「以房養老」(不動産を以って老人を養う)という手法です。具体的には、老人がすでに住宅ローンの借り入れをすべて返済した不動産を保険会社などの金融機関に抵当に入れ、金融機関は持ち主の年齢、寿命、不動産価値の将来変化等の要素を総合的に検討し、持ち主に一定金額の養老金を定期的に支払い、持ち主が亡くなったのち売却して支給した金額を回収し、余った金額は金融機関のものとするというものです。余った金額は相続人に返せばいいと思うのですが。。。要するに、一度担保に入れてしまうと所有権としてはもう手元に戻ってこなくなります。このような「以房養老」は北京、上海、南京等でテスト的に行われましたが、あまりうまくいったとは言えず、保険会社も今のところそれほど興味を持ってはいないようです。

 

 テスト的に行われた「以房養老」、老人の寿命については生命保険の方がよく知っていますし、不動産担保に関しては財産保険会社の方がよく知っていますし、いったいどっちの保険会社がやるべきなのかという議論が起こっています。個人的にはどっちでもいいとは思いますが。さて、もう一つ難しいところがあり、保険会社は直接貸し出しを行ってはいけないということになっているようです。まあ、これもルール改正すればいいのでしょうが、悪用するケースが出てくるかもしれませんね。そういえば銀行時代に年金を担保にした銀行で借入するお年寄りがいて、これは制度的な融資なのですが、だいたいその老人の後ろにガラの悪いのがひっついてましたね。サラ金かどこかで借りて返せなくなったのを年金担保借入で建て替えさせようとしていたのではないかと思います。さて、話を戻して「以房養老」ですが、台湾では保険会社が貸し出しを行ってもいいことから「以房養老」と同じことができ、既にある程度時間もたっているのですが、それほど流行っているわけではないようです。

 

 さて、保険会社があまり興味を持っていない「以房養老」ですが、貸出と言えば銀行、銀行がどこまで興味を持っているかと言うと、これがまたそれほどでもなく、結局のところ市場においてニーズがないから興味がわかないということのようです。

 

 「以房養老」、資産だけあって手元にお金がない人にとってはいい考えだと思うのですが、資産を子女に残してあげたいと思う老人、若い人たちにとっては住宅ローンを苦労して支払ってやっと終わったと思ったらまた「以房養老」で担保に入れることになるという、非常に虚しさばかりが残ってしまう感覚になるようです。わからなくもないですね。個人的にはせめて「以房養老」の最後の段階で金融機関が取得した不動産を売却した資金から支給した資金を差し引いた余りの金額は返してあげでもしないと難しいように思いました。


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