呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国養老施設ビジネス ~参入すべきは今か、もう少し待つべきか~

 中国養老施設ビジネスが熱くなってきています。私は割と最近まで養老施設ビジネスは非常に難しいビジネスで、「全局面的に儲からない」、「とても儲かるとは思えない」というような表現を使って、将来的にはともかく現時点における参入可能性に懐疑的な見方をしていました。また、中国の経済雑誌でも利益計上できるビジネスモデルが今のところまだ明確になっていないということで、やはり懐疑的な見方をしているところもあります。とにかく成功実例があまりみあたらないのです。しかしこんな中で、保険会社がかなり積極的に養老施設ビジネスに参入する動きが見られています。

 

 泰康保険という保険会社が15日区で地方政府と土地取得について交渉しており、3年以内に15の養老社区を作ろうとしています。この他、中国人寿、中国平安、新華保険、合衆人寿等の保険会社が養老不動産事業に参入するために土地を取得しようとしています。

 

 養老プロジェクトは中国としても力を入れていかないといけない分野と言うこともあり、プロジェクトに対して土地を安く提供したり、税制優遇や補助を行うのですが、上述の保険会社がやろうとしているのはほとんどが高級養老施設であり、そうしたプロジェクトに対して果たしてこのような特典を与えるべきなのかという声が上がっています。

 

 泰康保険の子会社広州広泰投資有限公司が広州夢岡区の土地を健康・医療サービス産業および曽於関連施設に使用するということで、払下げ期限40年間で2788元/㎡という金額で取得した一方で、広州凱得文化娯楽有限公司がやはり広州夢岡区の商業用地で5060元/㎡で取得しています。商業地域の方が高いのは当然なのですが、プロジェクトの内容によって土地取得価格が倍近く違っています。本来ならば実際の立地まで検証しないといけないのですが、ちょっとそこは割愛します。

 

 このような土地の廉価での提供は優遇政策の一つであり、この他には政府が直接的に一部出資したり、減免税、財政補助、併せて商業住宅用地を提供するといったことも行われており、どれくらいの優遇が受けられるかはもうその地方政府次第のところがあります。

 

 話を戻しますと、高級養老施設に果たしてそこまで優遇を提供すべきかということです。政府としては養老施設産業に対して優遇策を導入することで養老施設産業の促進を図ったつもりが、それに目を付けた企業が高級プロジェクトでありながらその優遇策を得ようとするという、政府の狙い(一般大衆に要路施設に入ってもらう)とは違った方向に行ってしまっているということです。企業からすると、「もらえるものはもらっておけ」となるのは当然で、倫理的なことばかり言って優遇を受けることをしなかったとしても、結局よその誰かがそれを受けようとするのは明らかです。しかし、こうした優遇財源の源は結局国民からかき集めた税金が源泉となっており、庶民から集めた税金を「高級プロジェクト=究極的にはそこに住む金持ち」に対して提供するというのはどうにも矛盾があると言わざるを得ません。とはいうものの、企業行動としては「もらえるものはもらっておけ」の方向に流れるのはやむを得ず、将来的に高級プロジェクトに対して優遇するのはおかしいという声によって優遇策が押しつぶされるとしてもちょっと時間がかかりそうに思います。ということは、もしこの業界に参入しようと考えている外資企業がいれば、優遇策が受けられそうな今というこの時にに参入するというのも一つの考え方かと思います。いまのところ利益計上できるようなビジネスモデルが見えづらいというのは事実でありますが、将来性はあるのは間違いないでしょう。

 

 今参入すると優遇策は受けられるかもしれないが、すぐに利益が上がりそうもない、一方で時間をかけて様子見しているうちに他社に先行されている遅れを取り戻せない、優遇設けられない、結局やらない方がましだということになってしまうことも考えられるでしょう。どの業種でもそうですが、とうに最初の利益が見込みづらい分野の場合、参入時期の選択と言うのは本当に悩ましい問題と言えますね。しかし、この分野に関してはとにかく多くの企業が参入してきていることもあり、今参入すべきか否かを見極めてもいい時期に来ているのではないかと思います。この分野に関しては昨年あたりからですがかなり研究しました。もし悩んでいる企業がいらっしゃいましたら是非声おかけください。


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