呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国のショッピングモールから「ショッピング」が減っていく動き

 今日は上海の小売不動産プロジェクト(ショッピングモール、百貨店、商業ブロック等の一定規模の商業物件を含む)について紹介します。

 

 DTZの統計データによりますと、上海で今年上半期に開業した小売り不動産の面積は49.2万㎡、そして下期にはなんと249.4万㎡もの小売り不動産のオープンが予定されています。下期だけで上期の5倍って、たまたまなんでしょうか。この239.4万㎡がたまたま多かったのか、それともこんなものなのか、それともやっぱり異常なのか。ちょっと見てみましょう。

 

 2000年から2013年6月末までにおいて、上海の小売り不動産の累計供給量は1091.2万㎡、そして今年下半期だけで249.4万㎡ということは、この13年半の累計供給量の23%が新たに供給されることになります。

 

 

 

 やはりこれは多すぎでしょう。

 

 では、どんな小売り不動産がこの世にあらわれてくるのかを個別にみていきましょう。まずは「月星環球港」という小売り不動産、プロジェクトの総面積が32万㎡、各フロアの売り場面積が4-5万㎡です。場所は以下の地図にあるとおり金沙江路駅のそばで、上海の大きな商圏の一つである中山公園から地下鉄で一駅の場所にあります。

 

 

 

 いま日本にいるのですが、日本に来ている間にオープンしました。上海に戻ったら見に行きます。

 

 次に香港の新鴻基の開発プロジェクトである「環貿IAPM」ですが、これの面積は12万㎡です。

 

 

 オフィシャルサイトの写真ですが、しゃれてますなあ。場所は下の地図をご覧ください。

 

 

 もともと偽物市場と言われていたシャンヤン市場の場所ですね。こんなに立派に生まれ変わるとは。

 

 いろいろとド派手にできるのはいいのですが、このマーケット、結構厳しいと見られているようです。ひとつは単純にこの手の建物が増えたこと、そしてもう一つが店舗を持つ小売業の成長率が落ちてきていることにあると言われています。実際に2012年度において、上海と北京で売上成長率が増加したのは2-3しかないそうで、大部分の売り場の売上高成長率が落ちてきているようなのです。まあさすがにマイナス成長というわけではありませんが。

 

 それともう一つ変わった動きとして、今年4-6月において上海の主要商圏プロジェクトの入居率が過去2年の平均四半期平均入居率を下回っているというデータがDTZより出されています。これに伴い賃料にも動きが出てきている模様です。上海の南京西路、南京東路、淮海路、陸家嘴、徐家匯の5つの主要商圏の平均賃料は2009年年末から上昇基調にあり、2013年第2四半期にはこれら商圏の1階の平均賃料は60.4元/㎡/日(95千円/坪/月)に達しており、もうほとんど限界の水準に来てしまっています。淮海路商圈以外の4つの主要商圏の今年第2四半期の1階の賃料の上昇率はついに下落し始め、南京東路の今年第1四半期の賃料上昇率は3.06%だったのが、第2四半期にはわずか0.16%にまで鈍ってきています。借り手としてはこの調子で進んでほしいところでしょう。

 

 賃料上昇率が鈍ってきている要因としては、単純に競争が激しいということと、小売業の成長も鈍ってきていること、そしてネット通販の存在があげられています。ネット通販が実態店舗の売り上げを食っているということですね。これに対して、小売り不動産側はネット通販の影響を受けない業種として、娯楽、サービス、飲食等の業種を増やすことで対抗しようという動きがあります。

 

 過去2年において、上海の一部のエリアで飲食・娯楽・サービスのモール空間に占める割合が30%から33%に上昇し、新たに運営を開始したモールではこれが45%にまで上昇しているケースがあるとのことです。

 

 例えば今年上半期に開業したK11購物芸術中心というところでは飲食の比率が36%、サービス業が12%、この二つの業種でほぼ半分が占められています。一部のモールでは既に飲食と娯楽(映画館、ゲームセンター、カラオケ等)で60-70%埋めようと計画しているところもあり、この他の業種だと児童教育や英語教室、この他エステといったネット通販では賄えないものを導入しようという動きです。ショッピングモールなのにショッピングの比率が減っていくとは。

 

 ショッピングモールの店舗種類のバランスが変わってきつつあるようです。店舗型のビジネスを行っているところでは戦略の見直しが必要になってくるかもしれません。


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