呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

本日より改正労働契約法がスタート

 本日7月1日より改正労働契約法がスタートします。主なポイントはいくつかありますが、外商投資企業にとって最も気になるのは派遣会社を通じて派遣を受けている(実質的には雇用している)社員の取り扱いでしょう。派遣会社を通じて派遣を受ける社員は「臨時的・補助的・代替的」な職務に限定されるべきで、しかもその数が全体の一定比率以内に納めなければならないというものです。7月1日よりスタートするにもかかわらず、6月28日時点ではその比率はまだ発表されていません。メディア報道を見ているとこの比率は10%になるのではないかという見方が多いようです。

 

 さて、仮にこの10%がその通りに実行されるとすると、「臨時的・補助的・代替的」な職務に従事する派遣社員が全体の10%以内に収まっていなければならないのですが、この比率を計算するに当たり「臨時的・補助的・代替的」ではなく「補助的」のみに限定し、「臨時的・代替的」についてはこの比率の対象外とするという案があるそうです。これが仮にそうだとして、では「補助的」をどう判定すべきかという議論が出てきて、これについては起草段階におけるもっとも主流な意見が「企業が自主的に定める」というものだったようです。しかしこれだと企業が恣意的に判断することができるので、いちおう制限を設けようという考え方があり、それは労働契約法第4条にある「民主的フローで規定を定める」というものを参照することで対応しようという考え方があるようです。まあ、いずれにしてももうじき出るわけですが、気になると言えば気になりますね。

 

 派遣社員を厳しい規程を機械的に当てはめてしまうと混乱が生じることから、ちょっとした小技で対応できる、ハンドルでいうところの「あそび」の部分がいくつかあると言われています。まず一つ目ですが、既述しましたが「補助的」を企業がどう判定するかという部分です。次に、決まりができてもいきなり完全に対応することは不可能なので、猶予期間を2年くらい設けて徐々に正していくというやり方です。しかし、既に先を見越して面白い取り組みをしているところがあります。派遣社員と使用する企業との間の契約形態を変えてしまうというやり方です。

 

 派遣社員と使用する企業との間の契約形態を変えてしまう方法として、「転正」(正社員に転換)、「転外包」(アウトソーシングに転換)、「辞退」(辞めさせる)の3つの方法です。「転正」を選択する企業はごく少数だと思われます。「辞退」は荒業ですね。そして「転外包」ですが、これが面白い。とある派遣会社が経営範囲をどんどん追加して言っている例があるのですが、「自社のクライアントの業務のアウトソーシング」を経営範囲に追加して行ってるのです。つまり、同じ会社から人が派遣されるのですが、従来の「派遣」ではなく「アウトソーシング」として業務を受注するという形態をとるのです。今のところ「労務派遣」と「労務アウトソーシング」の違いについて法律上は明確になっておらず、そのあいまいな部分をついたやり方ですね。

 

 正式に通達が公布されて初めて今後どうすべきかというのが見えてきますが、すでにいろいろと考えているところもあり、しかも派遣会社が経営範囲にアウトソーシング業務を追加するという結構な変化球も見られています。今後の展開がどうなるか気になりますねえ。


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