呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

処方薬が買えてしまう中国の医薬品ネットショップ

 中国の規定でネット販売で処方薬を販売することは禁止されています。ところが実態はというとバイアグラのような薬はもちろんのこと抗がん剤のイレッサあたりも買えてしまう状況にあります。薬品のネット販売の認可を受けているサイトは50余りあるといわれていますが、新聞報道によりますとその中の代表的なサイトといえる金象網、京東好薬師、開心人網上薬店、百済新特薬網といったサイトではこれらが売られており、要するに処方箋なしでも入手することができる状況だそうです。適当に調べてみたのですが、サイトによってはバイアグラやイレッサそのものが売られているとは限らないようですが、処方薬も確かにあります。

 

 ところがこれは業界内では公然の秘密で、薬品監督管理局の取り締まりもゆるゆるです。サイト上に処方薬があったとして、そこに買い物カゴがなければよし、ネットショップの仕入れ販売記録になければよし、ただそれだけです。ネット上に買い物カゴがないものはちゃんと「処方薬なので直接注文できません」という表記があり、別途チャットや電話でやり取りして、ネット上で決済を済ませてから配送するような仕組みになっています。

 

 消費者がネット販売で購入する動機の一つとして価格が安いというのがあります。百済健康商城というサイトを見たところアストラゼネカの売れ筋抗がん剤イレッサがありました。レッサは0.25g×10錠/箱の会員価格が5000元ですが、これは普通に購入するよりも500元も安くなります。

 

 

 このページでは思いきり買い物カゴがありますね。

 

 こうした薬は医療保険がきかないものが多いこともあり、節約するためにネットで購入するという行動につながっています。ちゃんとしたものを安く提供しているうちはいいのですが、こんな報道がありました。ひと箱2万元余りもするグリベックという抗がん剤が9割引きの価格で売られていたのですが、白血病を患った人がそれを購入して飲み続けること半年、まったく効果が表れないと思っていたらなんとただのでんぷんだったという事件がありました。さすがに9割引きだったら買ってしまいそうになりますが、体に入るものだけにリスクは高いですね。これはまだでんぷんでよかったですが、体に害のあるものだったら大変なことになっていた可能性がありますね。

 

 以上はネット上で処方薬が売られているという話ですが、実はその辺の薬局でも処方箋なしに処方薬が買えてしまいます。バイアグラなんてその辺の薬局で売ってますし、その他の処方薬だって普通に買えます。いちおう購入時に名前と連絡先を書かされますが、別に身分証明書をチェックされるわけでもありません。処方薬をその辺の薬局で買えると日本の医師に話したところ、「国によって違うんですねえ」とちょっと驚いていました。中国でも本当は処方箋なしで処方薬を販売するのはだめなはずなんですけど現実はそうじゃないんですよね。長期にわたって服用する処方薬であれば薬局で普通に購入できるというのは便利でいいでのですが。でもコンプライアンスを順守する薬局であればやれないことなので、薬局を真面目に運営しようとする企業からすると厄介な問題ですね。皆が同じルールの下で公平に競争してもらいたいものです。


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