呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

住宅手当を使った横領テクニック

 私も元々駐在員でしたが、駐在員というのはやはり待遇面では恵まれてます。もちろん海外生活がどうしても水に合わないという人にとっては辛いでしょうが、そういう人に対する補てんの意味もあって色んな手当がつけられているというのが私の理解です。海外勤務手当、場所によっては地域手当(生活環境の厳しいところほど手当てが高い)、単身者であれば単身赴任手当、このほか会社によっては住宅家賃を全額負担してくれるようなところもあります。

 

 このように、待遇面では申し分ないのですが、それでも何かしらごまかして自らの懐に入れようとする人はたまにいます。住宅手当の制度を悪用したケースを紹介しましょう。

 

 一般的に、海外で住む場合、会社から与えられた予算の範囲内で自分で(不動産仲介会社を通して)探し、気に入ったところがあれば個人名で、あるいは会社名で賃貸契約を締結します。家賃自体は会社が払う、あるいは個人がいったん支払って後から精算ということになりますが、いずれにしても会社が支払うことに変わりはありません。この流れを見ると特に問題はないように思えるのですが、実はこういう方法があります。自分で住居を購入してしまうのです。自分で購入した自宅を不動産仲介会社を間に通す形、つまり不動産仲介会社との間で賃貸契約を交わす形にし、家賃を会社から不動産仲介会社に支払ってもらい、その裏でもう一つ契約を用意して不動産仲介会社が回収した家賃を自分の懐に入れてしまうというやり方です。自分の家に住みながら家賃補助をもらうという方法ですね。実はこの方法は私が駐在員生活を始めて数日で思いついたのですが、そもそも住宅を購入するだけの資金力もなく、ましてこれって横領みたいなものですから、自制心が働いてやりませんでした。こういうことを思いついたとその時知り合った不動産仲介会社の人に話すと、「そういう人はっ実際にいますよ」と言われたので、やはりやっている人はいるんだなあと思ったことを覚えています。遠方から来られた知人と話をしていてこの話題になったのですが、やはり同じようなケースを聞いたことがあったそうです。

 

 企業によっては自宅購入ニーズを見越して、自宅を購入した人に対しては家賃補助相当額の半額程度を補填するということを行っている会社もあるようです。たまたま自宅を購入してしまった人に対しては何ら補助がないのは不公平だという考え方からでしょう。これは会社の制度に乗っかって正規に補助を得るのでもちろん問題はありません。しかし、自宅保有者に対するこのような制度のないところだと、上記の手法で家賃補助を懐に入れてしまっている(会社から見るといれられてしまっている)ようなケースは今でもあるのではないかと思います。これを防ぐためには思いつくところで二つ方法があり、一つは対象となる住宅の権利関係を調べて誰が所有者になっているのかを調べること、もう一つは会社が不動産仲介会社と提携してこういうことが起こらないようにしてしまうということが考えられます。もっとも、名義借りという手段を使われてしまうとわかりにくくなります。例えば、配偶者が中国人の場合、配偶者の親の名義を使ったり、慎重な人だと親戚名義とか使うかもしれませんが、ここまでされると見つけにくいとは思います。まあ、そこまでしてするかという問題がありますが。モラルの問題でもありますね。

 

 もちろん、こんなことをする人がうじゃうじゃいるわけではありません。ただし、現地法人の規模が小さい場合だと現地法人内でのチェック機能に限界があり、あるいはチェックすべき人が実はこれをやっていたというようなこともあり得ます。チェック機能が働かないような体制になっている現地法人であれば本社の監査を行う必要がありますね。もし心配であればどこかの時点で一度チェックした方がいいと思います。社内でこんなケースがありますと現地スタッフに対して示しがつきませんからね。実はこういうセコいことを考えるのは結構好きで、駐在員規則を見ればどの部分でごまかせそうだというのを考えるのが楽しかったりします。

 

 ここでは住宅手当を使った例を紹介しましたが、このような不安をお持ちの会社があれば是非私に相談してくだされ!


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