呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

悪質な弁護士事務所

 今まで撤退案件を何度かお手伝いしたことがありますが、少し特殊なケースについて紹介してみます。

 ご紹介いただいた案件だったのですが、「会社を設立したけれども結局全く売り上げが立たない段階で撤退することになった。当然税関や税務の問題なんてほとんどない」と聞かされて、これはさくっと終わらせることができそうな案件だなあということで、軽い気持ちで引き受けました。ところがどっこい、全然軽い案件ではなかったのです。国際貿易をしていなかったので税関では問題になることはなく、税務では少し手続き面でうっとうしい場面がありましたが、全体の中ではほんの些細な部分にすぎませんでした。もっとも大きな問題というのは、会社に営業許可証との証書類と印鑑類が全く保存されていなかったのです。いや、保存されていなかったのではなく、誰かが隠していたというのが正しいです。

 

 手続きを進めるうえで証書類や印鑑類がないこといは申請書類を作成することができません。そのため紛失再発行をしてもらわないといけないのですが、証書類の再発行をしようと思うと印鑑類が必要、印鑑類の再発行をしようと思うと証書類が必要と言われ、なかなか手続きが進みませんでした。しかも役所はそもそも紛失しておらず、従業員が持っているはずなので再発行は受けかねるという。従業員が持ち出したからそうなのでしょうが、依頼者と話した感じではどうも当初設立を依頼した弁護士事務所にその従業員が持って行ったように思えました。ただし、どうにもエビデンスがなく、弁護士事務所に聞いてもそんなのは知らんの一点張り。いろいろたどっていくうちに、やはりもともと働いていた中国人従業員が持ちだして、それを弁護士事務所に渡したということで間違いなさそうという推測ができるようになりました。この従業員が本当に悪い奴で、ちなみに今でもどこかの語学学校で日本語を教えていると思うのですが、本当にややこしい人物でした。日本語人材ということでそのうち日系企業で働くこともあるかもしれないですが、こういうのを雇ってしまったとしたらその企業はご愁傷様ですね。それにもましてややこしかったのが当初設立を依頼した中国人弁護士です。なんと弁護士資格取得してわずか2年でタイムチャージが4万円、フィー水準もたいがいですが、何がおかしいかというと会話にならないというのが問題です。普通の大人同士の会話にならないのです。何から何まで挑発的な発言ばかりで、全く論理的ではなく、感情任せに話す内容も非常に口汚く、この弁護士は精神病を患っているのかと思いました。キ●ガイでしたね。私の会社(前職時代)のことを違法な手続きをしているとかさっぱりわからんことばかりのオンパレード。清算案件を受注することを目的に必要以上に弊社(前職時代)のことを口汚くののしっていたというのこのようです。「その前にハンコを返せ!」と叫びたいところですが、何せ証拠がない。で、結局はこの弁護士事務所が印鑑・証書類を隠していたというのがわかり、最終的には返してもらうことができましたが、それまでの間に私もいろいろと関係者を回りましたが、既に言い含めていたようで、要するに妨害工作が行われていて、これを崩すのも一苦労しました。印鑑・証書類が返ってきた後も依頼主も最初にこんな変な弁護士に引っかかった経験があるものなので、清算手続きを進めていくために印鑑をお借りしようと思っても結構抵抗感が強く、最終的には信頼してもらえたのですが、これも手続きがなかなか進まない要因でした。

 

 企業がコンサルティング会社に依頼して相性が合わないとか、結果がイメージと違っていたというような話は聞きますが、このケースに関して言えばそれ以前の問題で、そもそも依頼すべき相手ではなかったということです。ちなみに設立時のフィーもめちゃめちゃ高かったですねえ。依頼者も紹介を受けてこの変な事務所に頼んでしまったわけで、そういう意味ではしょうがないのですが、中国へ初めて進出するという中国初心者が、日本語対応できない地場弁護士事務所を通じてドツボにはまったケースといえるでしょう。今でもこの弁護士事務所の名前は覚えていますが、こういう事務所はブラックリスト入りすべきですな。


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