呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

いまでもまだまだある内容が不透明な中国企業

 とあるところから中国企業の売り案件をいただき話を進めていたのですが、私としても大よその状況を把握していないといけないので、決算書が欲しいと申し入れしていたところ、なかなかもらえなかったのがようやくもらうことができました。2か月くらいかかりましたでしょうか。ところがようやく入手できた決算書を見て「なんか変な決算書だなあと思ったので、相手に内容について聞いてみたところ、それはそれは問題アリアリでしたね。

 

1.決算書

 まず、そもそも決算書が複数存在している。業況については口頭で聞いていたのですが、どうも決算書の数字と合わないなあと思っていたところ、税務申告用やら本物やらとがあるということで、どうりで感覚的におかしいなあと思ったわけです。

 

2.土地

 中国では土地の所有権は基本的に認められておらず、一般的には土地使用権という概念で流通しています。土地使用権には無償割当と有償払下げとがあり、その区別はおおざっぱに言えば次の通りです。

 

無償割当

譲渡・担保設定不可の計画割当地(無償割り当て)

有償払下げ

担保設定可能な期限付の払い下げ地(有償払い下げ)

 

 一般的に外商投資企業が「土地を購入する」というのは有償払下げ土地の使用権を購入することを指します仮に無償割当の土地を使用した場合、払下げ料を支払っていない土地であるため、いつでも国家に補償金もなく収容されてしまうリスクがありますし、そもそも処分性がありません。今回のケースは土地が無償割当となっており、外資が手を出すにはリスクが高すぎるものであるといえます。無償割当土地を有償払下げにすればいいではないかと思われますが、その手続きは非常に煩雑、時間がかかる、そもそも転換できない可能性もある、こういったリスクが伴います。これを知らずに、あるいはわかっていてあえてリスクを取っているケースもあるかと思いますが、やめといたほうが無難ですね。

 

 上記二つの問題の他にも、本来計上すべき資産の計上方法がおかしかったりして、もうそれは見ていられない決算書でした。なんかこれがわかってしまうとせっかく進めようと思っていた案件なのですが、踏みとどまってしまいますね。安易に進めなくて正解でしたわ。


メルマガで最新情報をお届けします
「呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記」の新着記事をメールにてお届けします。今の中国ビジネスの実態をお伝えしております。
メールアドレス *
* 必須項目