呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

イトーヨーカ堂、店長の評価のものさし

 日本企業の中国進出成功例としてイトーヨーカ堂が良く取り上げられます。成都にある5店舗は世界中の店舗でもトップレベルにあり、双楠店では今年の売り上げは20億元に達することが見込まれているそうです。ちなみに3000平方メートルほどのスーパーマーケットは年間4億元ほど売り上げているそうです。

 

 そんなイトーヨーカ堂に対して、とあるスーパーマーケット関係の会合で北京のあるスーパーマーケットの総裁がイトーヨーカ堂の生徒にある錦華店、高新店、春熙店の店長に、イトーヨーカ堂は店長をどのように評価しているかと質問したところ、以下の答えが返ってきました。

 

・第一に、毎年の来客数の増加率

・第二に、どれだけの中核従業員を育成したか

・第三に、売上と利益

 

 この答えを聞いてその場にいた100社近くの企業は非常に意外に感じたそうです。感覚的にわかりますよね。中国企業の場合は、売上と利益が一番最初に来るのです。中国系のスーパーはカルフールやウォルマートの評価方法を踏襲しており、とにかく売上と利益を気にします。これが正しいと思っています。ヨーカ堂の場合は、従業員が顧客にサービスを提供し、十分なサービスを提供できれば慕ってくれるようにない、来客数が増え、売り上げも自然と伸びてくるという考え方です。同時に、中国となる従業員をどれだけ育成できたかにより今後の業績も左右され、こうしたことができれば売り上げも利益も上がるという考え方です。非常に理想的ですね。

 

 売上と利益を最初に見るか、結果として売上と利益があがるようにするのか、という違いですね。究極的には企業なので売り上げや利益は上げていかないといけないのですが、その発想が違うということですね。国内企業からするとイトーヨーカ堂の考え方は理解できたとしても回り道に感じてしまうのでしょう。

 

 もう一つ質問があり、店長はどうしてそんなに長くイトーヨーカ堂で働き続けているのかという質問に対して、「我々の給料は決して高くないし、国内企業の店長よりも低いくらいだ。ヘッドハンティングの電話もよくかかってくるが、私たちの上司は非常に優秀で、非常に魅力がある。だからこの会社で働き続けたいと思う。」と答えました。いやあ、いい上司に恵まれてますねえ。中国人は人についていくの典型的な答えですね。日本の場合は同じ会社で働き続けるいわゆる終身雇用的な考え方がまだまだあるのに対して、中国の場合は転職なんて当たり前の世界、そんな中で同業からもっといい条件で誘われたら普通その話に乗っかってしまうと思います。そうさせないところに上司の魅力もそうですが、会社としての魅力もあるのでしょう。

 

 一般的には小売業は立地が非常に大事で、その立地にどのような人が来て、そのような人たちに何を打っていくのか、これらを突き詰めていく必要があるのですが、このレベルになるとこの辺りはもう当たり前になっているのでしょう。現地化を推進していることもこの辺りを後押しする要因になっているのでしょう。また、イトーヨーカ堂の店長が言う「上司の魅力」が最も理想的で、最も難しいことだと思います。ここまで持っていくまでには結構な苦労があったかと思いますが、それを乗り越えて今があるといえますね。成都の評判はよく聞こえてくるのですが、北京はどうなんでしょうねえ。


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