呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

送金セミナーに参加しました

 先週某大手会計事務所が開催したセミナーに参加してきました。中国から海外へ送金することに関する、要するに外貨管理のセミナーです。内容的にはうまく送金できないケースを当局との交渉で解決した、あるいはできなかった(このあたりできなかったケースを紹介したというのは非常に正直で個人的には好感が持てました)ケースを紹介していました。そういえば私も外貨管理局で直接交渉してうまく物事を解決させたケースがありますが、やはりいまでもこういう問題はあるようです。私は自分が外貨管理について話すとき、いつも中国から海外への払い出しはちゃんとした理由があれば問題がないと説明しています。しかしながら、その原則どおりに処理できないものの代表格が立替金です。これは本当に頭が痛い問題です。あまりにどうしょうもないので日中間で適当な業務委託契約等を締結して、その送金のためしょうがなく納税して送金を行っているけーそも少なくないと思います。まあ、そういうような話でした。その中で一つ気になった点があります。これは具体的なケースで説明していました。

 

 中国で法人設立するに当たりオフィスを賃借するのですが、それに当たって結構な金額が必要というケースです。面倒ではありますが堅い方法としては臨時口座を開設するというものですが、紹介されていたケースはこのような処理で収まらないくらい金額が大きいケースでした。とある日中両方に拠点を持つコンサル会社は日本拠店で日本法人からそのお金を預かり、コンサル会社はおそらく自社内で適当な処理(ここの部分は不明)を行って中国拠点で支払を行い、現地法人が設立された後払い込まれた資本金から回収していくという方法を取ったそうです。回収した資金は出資者が出したお金なのでこれをまた日本に持って帰らないといけないのですが、こんな大金持ってハンドキャリーで持って帰れないということもあり、ちまちま持って帰ったらいいのではとアドバイスされたようです。そこで、講師の方がおっしゃったのが、このスキーム、やっていることがまるで地下銀行のようなものだという指摘です。確かに地下銀行みたいですね。やっていることは地下銀行みたいなので、危なっかしいスキームであり、普通のコンサル会社のする対応じゃない、ちょっと胡散臭いという指摘でした。全くその通りだと思うのですが、もう一点実は本質的な問題があると思うのです。顧客側がこのような処理を求めているケースがあるのではないかと。

 

 ちょっと胡散臭くても何とかうまく処理したい⇒コンサル会社がうまくやってくれそう⇒ちょっと胡散臭いかもしれないけど処理できそうだ⇒じゃあお願いしちゃえ、という構図だと思うのですが、顧客側がこういう処理を期待しているケースもあると思うのです。まあ、このケースの場合は結局大手会計事務所に相談に行ったくらいですから、結構立派な会社のケースだったと思われるので、胡散臭い処理を期待したわけではなかったのでしょうが、でもこんな処理を期待しているお客さんも少なくないのではないかと思います。「中国だったら何とかなるでしょう」と言ってくるお客さんも過去にお会いしたことがあります。確かに何とかなることもあればそうでないケースもあるので、そのあたりはちゃんと振り分けるようにしてました。それでも聞き分けのな人っているんですよ。それで思い出したのですが、とある会社設立案件のお話があり、お客さんの希望する期間があまりにも短いのでお断りしました。するとそれを紹介してきた人からクレームがあり、

 

 紹介者 「地場の会社はできると言ってるのになんだお前のところだとできないんだ、おかしいだろ!」

 私    「今回のケースにおいて地場の会社ができると言っているのは二つ考えられます。一つはできもしないことをできると言っていること、もうひとつは袖の下を使って物事を進めようとしていること。いずれにしてもうちではできません」

 

 袖の下という表現を使いましたが、仮にその手が使えたとしてもあまりにも期間が短いのでやはり無理でしょうというのが私の感覚でした。なんかあんまり納得してくれてえいないようでしたが、それもこれも「中国だったらなんとかなるだろう」という幻想に基づいているのではないかと思います。幻想が実際だったりすることも確かにあるでしょうが、こうした幻想にとらわれている人とは会話がどうしてもかみ合わない場面が出てきます。こういう話は自分の身の上に最近起こってきていないので、大分減ってきているとは思うのですが、セミナーを聞いてまだいるんだろうなあと思いました。


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