呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国でプロレスってどうよ ~中国におけるプロレス団体の取組~

 実は私プロレスファンです。8月にアントニオ猪木一行(団体名:IGF)がやってきたときはもちろん行ってきました。イベント会場の体育館はお客さんがはそれなりに来ていましたが、おそらく結構集客に苦しんだのではないかと思います。一方で、先月は世界最大にして唯一の上場しているプロレス団体である米国WWEが上海にやってきました。これは行けなかったのですが、物凄いぎっしりお客さんが来て大盛況だったそうです。プロレスってコンテンツビジネスでもあると思うのですが、この二つがなぜこれだけの差が出たのかを見てみたいと思います。

 

1.準備期間

 IGFはあまりにも準備期間が短すぎたと思います。数週間くらいしかなかったのではないでしょうか。日本でプロレスイベントを開催するときでももっと事前に用意すると思うのですが、準備不足だったことは否めません。一方、WWEはかなり以前から宣伝も行っており、非常に用意周到だったと言えると思います。

 

2.知名度

 日本ではアントニオ猪木の名を知らない人がいないと言ってもいいくらい知名度があります。台湾でも有名です。私の親戚でも「モハメド・アリと試合した人でしょ」と言っていたのをよく覚えています。逆にジャイアント馬場はあまり知られていなかったですねえ。モハメド・アリとの試合は採算的には大赤字だったそうですが、知名度アップには大いに役立ったと思います。しかーし、残念ながら中国では申し訳ないですけど猪木さんはあまり知られていないのが正直なところではないでしょうか。ちょっと試しに百度で「猪木」と「IGF」で検索してみました。

 

  

 

 全く上海のイベントのことが紹介されている情報が出てきません。もっと絞り込んで「猪木 上海」、「IGF 上海」で検索してみました。

 

  

 

 こちらも全く上海でのイベントが出てきません。非常に残念ですが、これが現実です。では米国WWEで同じことをしてみましょう。

 

 

 たくさん出てきます。上海でのイベントに関する情報は2年前に万博開催中に行ったものがちらほらと出ていてここにはあまり出てきていないのですが、「WWE」といれると自動的に今回のイベントに関する用語が出てくるので、割とすぐにイベントに関する情報にたどり着きます。これが知名度というものでしょう。これが現実です。では、WWEが中国でどんな取り組みをしているのかをちょっと見てみましょう。

 

3.WWEの中国における取組

 WWEは2007年に上海に駐在員事務所を開設しています。もうすでに5年たちます。先月のイベントは万博のイベントに次いで2回目ですが、正式な興業としては初めてです。ということは、駐在員事務所を開設してから5年もの時間を費やしてようやく自らイベントを立ち上げることができたともいえます。欧米系の動きは早いイメージがありますが、5年は決して早くないですよね。でも業界としては最も早い動きであるのも事実です。また、8月のイベントも超満員だったことから、入念に準備してきたとも言えるでしょう。百度で「WWE」と検索して出てくるサイトをちょっと見てみましょう。

 

 

 

 なんとオフィシャルサイトがあります。これは動画サイト土豆の中にあるサイトでして、試合の動画がガンガン流されています。そしてこの画面の右下を見て見ますとこんなことが書いてあります。

 

 

 

 「【土豆網は正式にWWE中文オフィシャルサイトの運営を引き受けることの公告】土豆網はここにWWE中国と正式に契約し、今後2年の間WWE中文オフィシャルサイトと微博(マイクロブログ)の運営を引き受けます。我々はプロレスファンのためにさらに多くのWWEの素晴らしいイベントおよびオフィシャル活動の情報を提供するよう努力します。」

 

 次に微博の画面を見てみましょう。

 

 

 

 フォロワーは1.6万人くらいで、中国では取り立てて多いわけではないですが、マニアックな世界の中では悪くない数字かもしれません。それに結構まめに情報を流していますね。

 

 しかしオフィシャルサイトで動画を流し、微博まで活用するとは、まさに最近の中国での流行りのソーシャルメディアを活用したマーケティングそのものですね。こういうの結構好きです。でも結構お金もかかっていると思いますねえ。まあ、世界最大かつ世界唯一の上場プロレス団体ですからこそできることなのかもしれません。ただ、知名度を上げるためにコツコツと やってきたというのは間違いありません。2年前に万博で開催したのはテスト的な意味合いもあったのでしょう。

 

 中国でやっていくっていうのはこういうことなんでしょうねえ。最初から知名度があって中国へ進出するのと、知名度なしで中国へ進出するのとでは大きな違いがあります。知名度なしでの進出というのはいわば順番ぬかしの世界です。何もなしに順番を抜かすのは当然できるはずがなく、それなりの理由が必要になってきます。WWEも世界最大のプロレス団体とはいえマニアックな世界ですし、知名度向上には苦労したのではないかと思います。腰を据えてコツコツやっていく、これ大事ですよね。個人的には日本のプロレス団体にももっともっと来てほしいです!


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