呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

スターバックスがやってきたこと

 スターバックスは1999年に北京に初めて出店してから十数年が経過しました。今では48都市に計570店舗もあります。進出したころは「中国人が珈琲なんて飲むの?」という目で見られていたかと思うと隔世の感があります。さて、そのスターバックスがいかにして今の地位を築いてきたかを紹介する記事を見つけましたので、それについて紹介してみたいと思います。

 

1.周到な事前調査

 これは以前台湾系の85度Cのケースの時にも紹介していますが、やはり入念な市場調査を行ったようです。そもそも中国にはお茶文化があり、そこに珈琲が果たして割って入れるのかというところがポイントかと思います。スターバックスが行った調査結果によりますと、中国の中産階級が増加する意連れ西洋文化のコーヒーが受け入れられるようになるだろうというものでした。確かに私が広州にいた95~96年あたりはコーヒーショップなんてホテルくらいにしかなかったので、コーヒーショップがあちらこちらにできるイメージはありませんでしたが、それよりもっと先にはそうでなくなると読んでいたということですね。社会が開けてくるにつれて西洋文化がより浸透してくるというのは今で腰そりゃあそうだろうと思いますが、その当時だとその判断を下すのは結構勇気が必要だったのではないでしょうか。

 

2.ポジショニング

 中国のお茶文化と対抗するのではなくそれを利用することを考えました。例えば、緑茶等の現地の葉っぱを使ってブレンドしたりしたのがそうです。コーヒーが苦手でもこれなら受け入れられるという人も多かったようです。味覚に関してもかなり調査を行ったようで、いかにして東洋と西洋の味覚を融合させることで中国人受けするのかについてはかなり分析したようです。以上は味覚面ですが、それ以外ですと店内の雰囲気ですね。上品な内装、心地よい椅子、耳触りのいい音楽、これは競争相手との差別化につながるだけでなく、若者を引き寄せるという意味でも効果的でした。そもそも最初のころはコーヒーの味を分かっていたのか疑わしかった(実際にコーヒーの味はそれほど好きではないという人は少なくなかった)ですが、コーヒーを飲むためにスターバックスに行くのではなくてコーヒーを飲む自分を感じたいためにスターバックスに行くという人は多かったのではないかと思います。

 

3.研修

 既にマーケットが確立しているところからバリスタ(コーヒーを入れる人)を新マーケットに呼んできて研修を行ってます。これを通じて新店舗でもスターバックスに対する理解が深まっていくそうです。このあたりはスターバックスに限らず他の会社でもやっているところが多いのではないかと思います。以前近くのショッピングセンターに行った時に日本から来たと思われる人が中国人スタッフに積極時のお辞儀に仕方を教えているのを見たことがあります。

 

4.現地との提携

 中国進出に当たっては中国の外資受け入れ政策がどんどん開放されて以降独資を選択する企業が増えています。その考え方には間違いはないと思いますが、果たして合弁って全然だめなのかというのをあらためて考えてみてもいいのではないでしょうか。特に飲食業に関しては多店舗展開できているところの多くが合弁の形態をとっているように思います。中国は面積が大きく、地域によって違いがあります。味覚もその一つです。スターバックスは北は北京美大珈琲公司と、東は台湾統一企業と、南は香港美心食品有限公司と、これらのパートナーと合弁会社を作って運営しています。こうしたパートナーと手を組むことで現地で何をすべきか、現地の消費者の好みはどんなものか、こうしたものを把握することができたうえで運営を行っています。なお、今では北京と香港については持ち株を買い取ることで提携関係を解消しています。

 

 

 以上のような取り組みを行っています。色々と書きましたが、要するに進出前に入念に調査して、現地の嗜好を把握して、現地のことをよくわかっているパートナーの協力を仰ぐ、この3つに集約されるのではないかと思います。もちろん合弁が必ずしもバラ色とは限りません。合弁相手に泣かされるケースも少なくないでしょう。合弁と揉めるくらいなら独資の方がいいという考えももちろんあります。そう考えるとマーケットの見極めも大事ですが、合弁相手の見極めもかなり重要になってきますね。


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