呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

外国人商業物件にはご用心

 北京に徳川家という日本料理屋があります。名前は日本風ですが、中国人資本による会社です。この料理屋さん、北京に既に6店舗あり、そこそこの規模で経営してます。ここがさらに出店するに当たり、建外SOHOという建物を賃借したのが不幸の始まりでした。賃借契約を締結し、保証金等65万元を支払、そして200万元という資金と半年いう時間を費やして内装を行い、そして営業許可証の手続きをしようとしたところなんとはねつけられてしまいました。その理由とは、「店舗の権利者はオーストリア人で、その建物は経営に用いることはできない」というものでした。徳川家は困ってしまいました。内装のために200万元も使っているのに今さら後には引き返せないからです。ところがなんとさらに不幸なことに店舗オーナーが賃料の支払い等を求め徳川家を訴えたのです。この裁判は2年にわたり、北京市二中院で徳川家は敗訴し、そして店舗オーナーに350万元の賃料と物業費の支払いを命じられたのです(オーナー側は内装損失30万元を賠償)。徳川家はこれを不服として北京市高等法院に再審を提起しています。これどう思いますか?これだけ見ると賃借側に全面的に責任ありっていうことですよね。あまりにもあんまりなのではないかと。法律根拠としては、2006年に公布された《不動産市場の外資参入と管理を規範することに関する意見》の中にある、「国外機構と個人が不動産に投資して《外商投資企業批准証書》と《営業許可証》を取得していない場合、経営活動を行ってはならない。」というものです。確かにそんな通達ありました。

 

 徳川家によりますと、そもそもこの物件は建外SOHOのリース部から紹介を受けた物件であり、これを受けて先方と契約を締結したということです。ということは、そもそも建外SOHOのリース部は賃貸できない物件を紹介したということになりますよね。そしてオーナーは陳さん、契約書に署名したのは張さんという代理人ですが、オーナーの陳さんはオーストリア国籍でありながら中国名を使用し、また代理人の張さんが契約書に署名したとなると、徳川家としては物件のリース部からの紹介を受けた物件ですので、まさか外国人の所有であるため賃貸できない物件と思うはずがないですよね。裁判の中で徳川家は「賃貸行為は国家関連規定に違反するものであり、契約は無効である」と訴え、60万元の保証金の返還と200万元の内装費の賠償を求めましたが、裁判の中では、

 

《不動産市場の外資参入と管理を規範することに関する意見》は行政性の管理規定に属し、法律または行政法規ではない。オーナーが物件を賃貸したのちの結果は当該物件は登記登録できないというものであったが、社会公共利益に損害を与えるものではなく、双方の契約は有効である。

 

 社会公共利益なんてどうでもよくて、徳川家の利益に損害を与えていると思うのですが。

德川家は物件が経営活動に使用できるか否かについて、その内容及び関連する損失について主要な責任を負い、オーナーは自己の物件が賃貸するのに適しているかについても一定の注意義務を負う。

 

 賃借側は物件の適格性に対して「主要な責任を負う」のに対して、オーナーは「一定の注意義務」って。ちょっとちょっと、あまりにもオーナー側に寄り過ぎでしょう。そもそも貸せない物件をリース部に登録するなよということが一つと、貸せない物件をリース部も紹介するなよというのが二つ目。私の感覚では徳川家こそが被害者で、350万元の支払いなんてありえないです。こんな判決が出ると外国人物件には手が出せないというか、まあ今回の場合は表面的には外国人物件であるというのが最後の最後に初めてわかったということなので、徳川家は本当にお気の毒としか言いようがありません。しかし、リース部の責任が全く問われていないですが、訴訟の当事者じゃないので問われないのかもしれないですが、私だったらそんな物件を紹介したリース部も訴えますね。高等法院で逆転判決を出してほしいですね。


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