呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国が預金保険を検討中

 中国人民銀行が発表した《2012年金融穏定報告》の中に、中国が預金保険制度を導入する時期は基本的に成熟したという内容が含まれております。預金保険とは金融機関が破綻した際に、その金融機関に預けている預金を保護する保険の一種です。預金者を保護するのみならず、取り付け騒ぎを防ぐ等、金融システムをも保護するものであるため、政府に支援された機関によって運営されている事が多いです。この他、金利の市場化、要するに自由化についても言及されています。金利が自由化されますと銀行の体力によって金利が異なってくることになり、預金者は銀行リスクを取りながら預金を預け入れることになります。

 

 私が印象に残っているのは確か1995年あたりに木津信用組合がかなりの高金利で預金を集めていたのですが、ほどなくして破たんしました。高金利を提示してまで預金を集める必要がある、要するに現金がない状態だったとえます。木津信用組合の事件は「銀行がつぶれるわけがない」というのが「銀行もつぶれる」という大きな転換点になった事件だったと言えるのではないかと思います。

 

 さて、また中国の話に戻りますと、そういえば2003年ごろにどこかから中国の預金保険について問い合わせがあったのを覚えてます。預金保険そのものはないという回答で済ませば簡単なのでしょうが、その時どこかにヒアリングした記憶があります。その時の答えは、「銀行は国のもの、つぶれるわけないでしょう」というものでした。まあその当時は確かにそうだったでしょう。しかし、金利の自由化が行われるようになりますと銀行の体力によって提示する金利も違えば集まってくる資金量も違ってくるでしょう。また、銀行も完全な国有企業でもなくなってきていますので、破たんリスクというのも今後出てくる可能性はあります。そもそも破たんリスクがなければ預金保険なんて不要なのですから、逆説的に考えても預金保険を導入するというのは破たんリスクを想定していると言えます。そこで気になるのが限度額です。日本の預金保険も全額保護されているというわけではありません。具体的には次のようになっています。

 

 

預金等の分類

保護の範囲

決済用預金

当座預金・利息のつかない普通預金など

全額保護(恒久処置)

一般預金など

利息のつく普通預金・定期預金・定期積金・当座預金・別段預金・通知預金・納税準備預金・貯蓄預金・掛け金・元本補填のある金銭受託(ビッグなど)・金融債・(ワイドなどの保護預かり専用商品に限る)・財形貯蓄商品

合算して元本1,000万円までとその利息等の保護(1,000万円を超える部分であっても、破綻した金融機関の財産の状況に応じて支払われるが、カットされる場合がある)

預金保険の対象外預金など

外貨預金・譲渡性預金・オフショア預金・日本銀行からの預金(国庫金を除く)・金融機関からの預金(確定拠出年金の積立金の運用部分を除く)・預金保険機構からの預金・無記名預金・他人または架空名義預金・導入預金・元本補填のない金銭受託(ヒットなど)・金融債(保護預かり専用商品以外のもの)

保護対象外(但し金融機関の財産の状況に応じて支払われるが、カットされる場合がある)

 

 中国での限度額がどの程度になるのかが気になるところですが、今年1月の報道では50万元以下の預金が全体の98%を占めるので、50万元が上限となるのではないかというのがありました。多くの預金を持つ人があちこちに分散して預金をしていると思われるとはいえ50万元以上の預金なんていくらでもありそうに思うのですが、たったの2%程度しかないようです。

 

 預金保険が導入されることで預金がある程度保護されるという方に目が行くと思いますが、個人的にはつぶれる銀行も出てくるかもしれない方が気になります。


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