呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

距離が近ければいいというものでもない

 私は格闘技がとても好きで自分でも練習するのですが、典型的な下手の横好きレベルです。格闘技では間合いを重視します。「自分の間合いで戦え」、「相手の間合いに入るな」、とよくいいます。ちょっと強引ですが、これをビジネスに置き換えるとどうでしょうか。「自分の間合いで戦え」、これは自分の長所を最もいかせるフィールドで戦いましょうと置き換えることができるでしょう。「相手の間合いに入るな」、これは相手が強みを持っているフィールドに入っていかずに戦いましょうと置き換えることができるでしょう。これはビジネスでも同じだと思います。

 中国コンサルをやっていますので、中国コンサルにリンクさせて考えますと、日本企業が中国で戦う場合も同じだと言えると思います。自分の強みを最も生かすにはどうすればいいか、ビジネスの中でその「間合い」をつかんでいくことは大事です。その「間合い」を間違ってしまうと相手の間合いに入ってしまい、自分のいいところは全く出せずじまいになってしまうのではないでしょうか。そして、この「間合い」をあまり把握しないままに戦っているケースも多いのではないかと思います。

 外国でビジネスをする場合、その間合いを最も理解しているのは現地にいる人であることは言うまでもないでしょう。海外ビジネスを行う中で現地化というのはよく言われることです。生産拠点としてなら調達の現地化ということになりますが、人の現地化というものもあります。ここでいう人の現地化は現地社員を雇用するのは当然のことながら、現地に派遣された駐在員が現地のトップとして会社運営できるか否かという意味をも含むものと私は考えています。そして中国ではこの人の現地化がなかなか進まないケースが少なくないのではないでしょうか。色んな人と話すとよくこの話になります。色んな理由がありますが、個人的に思うに、「間合い」じゃないですが「距離」の問題があるのではないかと思います。中国は日本から近いのです。例えばヨーロッパや北米、南米あたりになると距離が遠いので日本本社からしょっちゅう顔を出すことができません。自ずと現地頼みの運営をせざるを得なくなります。ところが中国は近いのです。しかもどんどんその存在が重要になってきていることもあって、日本本社からの注目度もどんどん上がってきてます。思わず口を挟みたくなるわけですが、仮に中国が物理的に遠ければしょっちゅう顔を出して口をはさむことができないのですが、なにせ中国は近いのです。しょっちゅう顔を出して口をはさむことができてしまうのです。しかし現地にいる人ほど現地事情に通じていないのでどうしても指摘する点が現地にいる人との考えとずれが生じてしまうことがあります。しかしながら、現地にいる人は本社からやってきた人が口をはさむとそれを無碍にもできず、また組織構造上現地にいる人のポジションが低かったりすることも多く、それこそ本社に対して何も言えなくなってしまいかねません。ものすごく単純でばかばかしい発想なのですが、この距離が近いというのが実は弊害になっているケースも多いのではないでしょうか。


メルマガで最新情報をお届けします
「呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記」の新着記事をメールにてお届けします。今の中国ビジネスの実態をお伝えしております。
メールアドレス *
* 必須項目