呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

賄賂

 アーンストアンドヤングが全世界に跨って企業に対して調査を行ったところ、39%の企業が自らが経営している国において商業賄賂はしばしばみられるものとの結果が出ています。そして15%の企業が収賄対象が手助けをしてくれるのであれば贈賄は理にかなう行為だと考えていると回答しています。昨年はこれが9%だったので6ポイントも上昇しています。先進国よりもまだ未整備な部分が多い発展途上国の方がこのあたり多いように思うのですが(色眼鏡かもしれせんが)、だからこそ前回調査時よりも増えているのではないかと思われます。また、5%の企業が粉飾を行うことに対して理解できるという回答をしています。ここでは粉飾はさておいて賄賂について見ていきましょう。

 以前賄賂に関するセミナーを開催した時に中国での実例をいくつか調べたことがありますので、それを見てみましょう。

1. シーメンス交通システム
 2002年から2007年に亘り、香港に所在するコンサルティング会社等に2200万米ドルを支払い、これらを通じて中国の役人に賄賂を贈り、総額10億米ドルにのぼる地下鉄プロジェクトを受注。
 10億米ドルの受注に対して支払った賄賂が2200万米ドル、受注額の2.2%に相当。

2. シーメンス中国輸変電集団
 2002年から2003年に亘り、2500万米ドルをドバイに所在するコンサルティング会社等に支払い。これを通じて中国の役人に賄賂を贈り、華南地区の総額8.38億米ドルに上る電力高圧送電線プロジェクトを受注。
 8.38億米ドルの受注に対して支払った賄賂が2500万米ドル、受注額の3.0%に相当。

3.シーメンス医療集団
 2003年から2007年に亘り、1440万米ドルの賄賂を5つの中国国有病院に贈り、2.95億米ドルの医療設備の注文をとり、また中国医師に豪華な旅行を提供。
 2.95億米ドルの受注に対して支払った賄賂が1440万米ドル、受注額の4.9%に相当。

 この3つのケースを見ますと、金額が大きくなるにつれて受注金額に対する比率が下がっていますが、だいたい2~5%といったところです。これは賄賂として出て言ったお金でありますが、純然たるビジネスとして考えた場合、つまりこれをコミッションとして考えた場合、この2~5%という比率は早々外していないなあと思います。コミッションビジネスも×労力によってとれる比率は変わってくるかと思いますが、5~15%くらいの範囲に収まっているのが多いのではないでしょうか。そう考えるとこの2~5%というのは経済合理性からするとマルということになります。あくまで経済合理性の観点だけから見た場合ですが。

 色々調べたときにさすがというべきだと思うのですが、日系企業に関するものは見つかりませんでした。小さい金額の世界では全くないことはないと思いますが、さすがにこの規模の金額になりますと日系企業の社風としてはできないのでしょう。まあこれはなんというかスポーツの世界でいうとドーピングみたいなもので、パフォーマンスを向上させるためにドーピングする選手がおり、見つからなければ見返りが大きい(スポーツの場合はドーピングしても負けてしまうケースもありますが)のとよく似ているのではないかと思います。日本の選手でドーピングしているのは想定的にも絶対的にも少ないと思いますが、要するにこれはズルをする行為であり、こういうのを嫌うという文化は大事にしてほしいと思います。中国だと小さいレベルのものはまだなかなかなくならないと思いますが。中国ではああだこうだという人もいますが、でも正々堂々と進めるこの精神はなんだかんだいって賞賛すべきですよね。


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