呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

保健食品審査ってちゃんと行われてるの?

 保健食品から規定を超過する鉛が見つかったことで、保健食品の認可フローは一体どうなっているのかという記事を見つけました。中国では保健食品として認可を取得している場合、青色のマークでそれがわかるようになっています。「国食健字」という文字とともにあり、俗に「藍帽」と呼ばれています。

 

  

 これを取得するために当然審査を通過する必要があるわけですが、そのためには、

(1) 申請資料を準備

(2) サンプルを生産

(3) 試作現場を検査

(4) サンプル品を検査

(5) 専門家による審査

以上の5段階のステップが必要になります。

 

 企業は自社ではなくこのフローを仲介業者に委託しているケースが多いです。しかしながらどうもその実態が怪しいというのが指摘されています。新京報という新聞紙の記者が「科尔天使」と「康維安」という二つの仲介業者に覆面取材したのですが、その二社の反応というのは次のようなものでした。

 

1.科尔天使

・私たちを通じて審査すると絶対にとおる。なぜならば申請前に多くの保険食品審査に参加する専門家にちゃんとコンタクトするから。

・スムーズに貧家を取得するため、申請資料は当然実際の内容と必ずしも一致するとは限らない。

 

2.康維安

 ・生産ラインも変えなくてもよい、なぜならば申請内容については合格するように整理するので。

 

 なかなかイカしているコメントですねえ。では実際の審査フローの部分に入っていっていましょう。

 

 現場検査

 現場検査に際しては本来は三日間で三ロットを生産するのですが、たいていの場合は一日で作ったものを三ロットに分けて提出しているそうです。

 

 サンプル検査

 サンプル検査も重要なフローですが、仲介業者は公関(邦訳だと広報が最も近い)を通じて間違いがないようにあらかじめ手配します。仮に製品に問題が発生しても、公関を通じてデータを改ざんしてしまうことはできてしまうようです。

 

 専門家審査会

 審査結果がいつ出るかという内部情報は全てわかるそうで、仮に申請資料に問題があった場合、専門家達に「紅包」を渡すことで解決できるそうです。

 

 以上の流れからわかるように、申請する企業、仲介業者、審査部門、この流れの中で相応のお金が動いているということがわかります。ある企業が仲介業者に委託した際には仲介業者に対して30-50万元を支払、今までの類型だと1000万元以上支払っているとのことです。結構いい商売ですね。

 

 上に紹介した科尔天使の場合だと、ビタミン類の場合は12-20万元、免疫力調整機能を持つようなものだと28-30万元、降血脂機能を持つものだと42-45万元が見積もり金額です。上に紹介した二社を通じて申請した場合、ほとんどのケースで審査を通っているそうですが、このような仲介業者が企業より受け取ったお金の相当な部分が検査部門や審査部門に不正にわたっていることが疑われており、仲介業者の従業員からはその旨のコメントが得られています。

 

 これはたまたま保健食品に関してですが、審査に際してこのような仲介業者が介在し、不正な方法で審査を通過するケースがあるというのは皆さんもうすうす感ずいていることかと思います。このような方法がいいか悪いかはもちろん個々のケースを見ないことには何とも言えないのですが、個人的にはこのような手法で期限を短くしてもらうというものはできるできない、やるやらないは別としてまだ許せるとしても、OKにすべきものではないものをOKにするのは問題だと思います。よく言うのですが、「グレーを白にすることはできるかもしれないが、黒を白にするようなまねはしてはいけない、仮に黒が白になったとしても後々リスクとして残ってしまう」のです。保健食品のケースでは黒を白にしていたがためにそれが見つかってしまい、潜在的なリスクが現実のリスクとなってしまったケースです。いまだ「中国では人脈を使えば何とでもできる」というのを売りにして企業を誑し込んでいるコンサルタントが特に日本に多いと聞きますが、そういうのは大体胡散臭いのが多いですし、そもそもその人脈ってなんなの?というケースもあります。例えば、「○○税務局に人脈があります」、たどっていくと税務局の窓口レベルの人と友達だったりだとか、「○○局の人と懇意にしてます」、たどっていくと以前どこかで名刺交換をしただけに過ぎないとか、要するに使えない人脈を必要以上にアピールしている輩ですね。人脈はない寄り合った方がいいですし、あったらあったで有効に活用すればいいと思うのですが、こういった必要以上に人脈をアピールする輩もなんだかなあと思いますし、今回紹介した保健食品審査のように黒を白にするような人脈もなんだかなあと思います。まどろっこしいかもしれませんが、まっとうな方法でやるのが一番安心ですし、そのまっとうな方法で進んでいく中で人脈というものが出来上がっていくのではないかと思うのであります。


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