呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

電子書籍リーダー「漢王」が苦戦中

 中国の電子書籍リーダーで漢王というブランドがあります。中国で電子書籍リーダーといえば漢王(Hanvon)か盛大(Bamboo)かというくらいの知名度です、シェアは59.6%と断トツなのですが、結構業績がしんどいようで、四半期ベースで5期連続の赤字となっており、株価も70%も下落したという状況にあります。今日はなぜ漢王はこのように苦戦しているかについて紹介します。

 

 

1.競争激化

 まず、Ipadをはじめとするタブレットとモロにバッティングしてしまい、販売量・価格ともに影響を受けてしまったことが挙げられます。例えば、Ipad2が発表された後、アマゾンのKindleはIPadの4分の1にまで下がりました。漢王とて同じで、中国の電子ブックリーダーの価格は1500-2000元に集中していますが、Ipadが3000元足らずなので、機能の多彩さを考えると価格競争力的には非常にしんどい状況にあります。

以前電子書籍に関していろいろと調べる機会があったのですが、その時に思ったのは確かに電子書籍を読むことに重点を置いて製造された端末なので、読みやすいことは読みやすいのですが、Ipadと比べると機能的に見劣りすることは否めず、個人的にはあまり魅力的には思えませんでした。ということもあって、私はIpad2を愛用しています。ちなみに私のIpad2は大日本プロレスの伊東竜二選手のサイン入りです。

 

2.ポジショニング

 漢王の電子書籍リーダーは発売以来猛烈に広告を打つことでギフト市場に入り込み一気に7割以上のシェアを占めるに至りました。ここでのポイントはギフトというポジショニングです。電子書籍リーダーも発表された当初は物珍しさもありましたし、アップルも中国マーケットに切り込んでいなかった状況だったこと、国内の多くのメーカーも電子書籍について意識していなかったこと、要するに競争相手がいなかったこともあり一気にマーケットシェアを高めることができました。しかしその後低価格の電子書籍リーダーがマーケットに入ってくるようになった際に価格面で特段の調整を行わなかったこともあり多くの新ユーザーを取り込むことができなかったと言われています。価格以外にも、当初はギフトというポジショニングで入っていったこともあり、一般消費者への浸透という意味では弱かったとも言われています。ギフトとしての電子書籍リーダーもタブレットにとって代わられるようになり、大画面のスマートフォンにもとって代わられるようになってしまい、そうした動きに対抗することができず業績が大きく悪化してきたと言われています。

 

3.端末への過度の依存

 電子書籍リーダーは端末なのですが、コンテンツよりも端末に重点を置いてしまったことから継続的な利益計上が難しかったと言われています。確かに漢王のコンテンツは他社と比べて見劣りしています。アマゾンのKindleは30万冊の電子書籍を持っていることが大きな勝因と言われています。中国国内に目を向けるともうひとつの電子書籍リーダーBambooを持つ盛大のコンテンツは非常に充実しており、300万作のオンライン小説、1万作近くの伝統図書、毎日のように現れる6000万文字の新たなオリジナルコンテンツを含む500億字のコンテンツを有しています。またコンテンツサプライヤーにプラットフォームを開放することでコンテンツをより魅力的なものとしています。

 一方で漢王は電子書籍リーダーというハードに強みを持つわけですが、これがゆえにモデルチェンジを図る障害となり、コンテンツがおろそかになってしまったと言われています。漢王の持つコンテンツは電子書籍で3万冊しかなく、盛大と比べると優位性があるとは言えません。漢王もコンテンツが重要だとわかってはいるようですが、現状はそのような動きが十分に見られず、体制的にもそれに向けてのものとなっていないようです。

 

 漢王と盛大の違いは「端末」VS「端末+コンテンツ」の戦いといえ、単純に武器の多い方が勝つという形になってしまってます。結局ハードだけだとしんどいということがいえ、いうならばパソコンよりもパソコンソフトの方が付加価値も高く儲けも多いというのと同じといえるでしょう。電子書籍の販売を開始したECサイトの当当網が独自のデバイスを発表するほか、アマゾンのkindleも中国に上陸すると言われており、漢王にとってはますます苦しい戦いを強いられるでしょう。


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