呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

各地でストライキが発生しています

 東莞、深圳、上海といった地域でストライキが続々と発生しています。12月5日に人社部、国家発展改革委員会、公安部、監察部、全国総工会等の9部门が共同で会議を開催し、賃金未払等の行為を取り締まり、10人以上の集団労働報酬争議について当日に報告し7日以内に決着をつけるように要求しています。いくつか実例を見ていきましょう。
1.東莞市の台湾宝成集団の製靴工場
 ストライキが発生したのは台湾宝成集団の東莞子会社です。台湾宝成集団はナイキ、アディダス、TIMBERLAND、コンバース李寧、安踏等の60余りの国内外の有名ブランド製品を製造しているスポーツシューズ・カジュアルシューズを製造する世界最大の会社です。
11月17日午前に2000人余りの労働者が集団ストライキした事件があります。発生当時は道路が封鎖され政府からも人が出動しようやく収めることができました。
 今回のストライキの引き金になったのは工場の新規則に対する不満でした。新規則というのは管理効率を上げるために従業員にとって不利な内容のもので、具体的には会社が公表する損益表がマイナスであれば従業員の実績が1.5倍はては1.8倍に達して初めて毎月の実績奨励金が0となるというものです。これにより、もともと2000元ちょっとの収入しかなかったワーカーの賃金が減少しまいまい、ストライキの引き金となってしまったものです。そりゃあ怒りますわな。ストライキ発生の翌日の 11月18日は規則を元に戻し、もし今後新制度を実施する場合、法律規定に則り行うものとするということでストライキが収まりました。
2.深圳福田の女性用下着製造会社
 ストライキが発生したのは香港黛麗斯集団(トップフォーム)の子会社です。ちなみにここは世界最大の女性用下着製造会社だそうです。
 きっかけは11月16日に同社の香港籍社員が女性ワーカーに対して乱暴な対応をしたことです。この女性はこれを受けて飛び降りようとしたのですが、最後は公安や労働監察等の多くの部門の人がやってきた何とかその場を収めることができました。飛び降りは防ぐことができましたが、その後400以上のワーカーが集団作業を停止するという方式で抗議を行いました。同社のある女性ワーカーによると、もともとの毎月の給与は500元で、そのほかの部分は全てノルマに応じたものとされていましたが、今年2月に基本給部分をなくし全てノルマ製に切り替えました。このようにした上に会社はさらに残業代をカットしていました。そりゃあ怒りますわな。
 このストライキは現地でも重大労資紛争案として取り扱われました。
3.そのほかの都市
 ストライキが発生したのは上海の赫比家用電器厰という会社です。今月発生したばかりのものです。ちなみに同社はアップルやHP向けのサプライヤーであります。
 きっかけは事前予告なしで移転を行うことになり、それに対する合理的な補償がないことでした。提示された補償がどんなレベルなのかわかりませんが、これがもとで千人規模のストライキが発生しました。
 この他にもペプシの重慶、成都、南昌のボトル工場のワーカーが集団ストライキを起こしています。
 政府部門も問題意識を持っているようで、労働報酬争議事件に対して人社部(人力資源社会保障部)は各地に期限を設けて集体労働报酬争議と少額争議を処理することを求めています。10人を超える手段労働報酬争議についてはさらに厳しく規定し、具体的には当日報告し7日以内に終了させるというものです。そのうち一人あたりの金額が1000元以上になる事案については仲裁委員会主任が監督処分するというものです。
 たまたま記事に取り上げられているだけで、本当はもっと発生しているのでしょう。ストライキの発生した理由を見ると、これはあくまで従業員側だけの言い分ではあるのでしょうが、それを見る限りではわからなくもない、というか給料を下げたり、補償をちゃんと行わなかったりというものなので、そりゃ怒るわなあというものですね。労働者側も知識をつけてきたこともあり、昔みたいに企業側がそれをいいことに無理やり物事を決めてしまうということもできなくなってきているのでしょう。ということは、労働者側の意識がこれだけ変わってきているということをわかっておらず、昔ながらの対応をするような企業ではストライキのリスクが大きくなるといえるのでしょう。日系企業の給料が安いという報道はよく見かけますが、香港・台湾系のワーカーなんてもっとひどいところいっぱいあるでしょう。でもずっと昔から中国ビジネスをやっている文化圏的には同じ人たちなので、労働者気質の変化には割とあっさりと対応していくようにも思います。動き早いですからねえ。でもひょっとするとそんな彼らでも労働者気質の変化のスピードについていけてないとしたら、、、、ストライキの嵐になっちゃいますねえ、怖いですねえ。
 

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