呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

売掛債権によるデットエクイティスワップの可能性

 2011年11月23日付で《会社債権の持分転換登記管理弁法》が公布され、12月1日より施行されることになりました。これはなかなか注目に値する通達だと思います。地方通達レベルで債権の持分転換(以下、デット会苦いいティスワップという)に関する通達が出ているところがありますが、例えば浙江省の通達であります《浙江省外商投資企業債権の持分転換審査批准登記暫定弁法》の中では、債権が外債であることが要件となっています。要するに出資者からの借入であり且つ外債登記が行われているもののみが対象になります。一方で、今般の通達ではデットエクイティスワップの対象となる債権の要件は次のとおりとなっています。

 

 第三条 デットエクイティスワップの登記管理について、以下のいずれかの状況に属する場合、本弁法を適用する。

 (一)会社経営において債権者と会社との間で発生した契約の債を会社の持分に転換するにあたり、債権者がすでに債権に対応する契約義務を履行し、且つ法律・行政法規・国務院決定または会社定款で禁止している規定に違反していないこと。

 (二)人民法院の効力を発生する裁判で確認した債権を会社持分に転換すること。

 (三)会社の破産再生または和解期間において、人民法院の批准を経て再生計画に組み入れられたまたは裁定認可された和解協議の債権を会社持分に転換すること。

 

 これだけを見る限りでは対象となる債権が「外債」であることまで要求されていません。つまり、外債登記を行う類ではない債権、例えば売掛金という債権もデットエクイティスワップの対象とすることができるように見えます。もしこれができるとなると、結構インパクトが大きいのではないかと思うのです。中国内の子会社の業績が芳しくなく、且つ資金状況が厳しい場合、増資することで対応してきたところも多いかと思うのですが、これだとキャッシュを必要とせずに増資を行うことができるからです(もっとも、増資した資金で売掛金を回収すればキャッシュベースではトントンではありますが)。ただ、輸入した代金を支払わずに資本金に振替する場合、外貨の輸入核銷(照合)をどうクリアするのかという問題ができてきます。これさえクリアできれば結構使えるかもしれません。もっとも、外商投資企業については商務部門による審査をまず通過する必要があり、そもそもその審査が認められるかどうかという問題もあります。しかもこれは商務部門ではなく工商行政管理部門が公布した通達でもありますし。そこで《外資企業法実施細則》を改めてみましたところ、「外国投資者は自由兌換できる外貨で出資することができ、機器設備、工業財産権、専有技術等を値段をつけて出資することもできる」とあり、売掛債権にまで言及していません。《中外合弁経営企業法実施条例》でも似たり寄ったりです。となると、結局デットエクイティスワップは個別の通達で認められている外債登記されている債権にやはり限定されそうですね。このあたり通常の債権でもデットエクイティスワップの対象として緩和してほしいところですよねえ。


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