呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

《破産法》の司法解釈が公布

 現行の《企業破産法》(以下、《破産法》という)は2007年6月より実施されていますが、各地の裁判所が受理する破産件数が増加していないのみならず却って下がっているそうです。本来的にはルールが明確化されることで処理しやすくなっていくはずがそうなっていないのです。具体的には2007年に受理された破産案件は3817件、2008年が3139件、2009年が3128件、そして2010年が2000件にも満たないという状況です。一方で、2007円から2009年の間の営業許可証の取消や抹消の件数は80万にも達しています。このような状況を是正する目的で《<中華人民共和国企業破産法>の適用の若干問題に関する規定(一)>が公布され、9月26日より実施されています。

 

 司法解釈によると、以下の五つのいずれかの状況にある場合、裁判所は明らかに返済能力が欠落していると認定しなければならないと定められています。

 

 ①  資金がひどく不足しまたは財産が現金化できない等の原因により、債務弁済ができない。

 ②  法定代表人が行方不明で且つ財産を管理する他者がいない。

 ③  人民法院の強制執行を経て、債務弁済ができない。

 ④  長期赤字で且つ経営の黒字転換が困難。

 ⑤  債務者が弁済能力を喪失するその他状況。

 

 これにより破産対象となる基準が明確となりました。今までは、地方政府が破産案件を受理したがらないという傾向がありました。地方政府にとって印象が悪く、運営上マイナスイメージとなるからです。地方によっては毎年の破産案件を○件を超えてはならないと下達しているところもありました。司法解釈では仮に破産申請が裁判所に受理されなかったとしても、一級上の裁判所に破産申請を提出することができるようになっています。

 

 また、破産に伴い申し立て側が予納する金額のバーが大幅に下がっています。従来であれば債権者が裁判所に破産を申し立てる場合、申請人に対して破産案件訴訟費用の予納を要求していました。おうおうにしてこの予納費用は数十万元以上になり、その資金負担の大きさから申し立てを思いとどまるケースも多かったと思われます。しかしながら、司法解釈では破産案件の訴訟費用は債務者の財産から支払うとされています。そして、申請人が予納費用を納付していないことにより関連当事者が破産申請に意義を提出しても裁判所は支持しないとされています。

 

 最近浙江省あたりで経営者が逃げ出して行方不明になるケースが多く見られています。今年の1-9月だけで228件発生しています。これはまさに既述した②のケースに該当しますね。

 

 以上のように、第三者による破産申し立ての基準が明確になり、予納費用負担も大きく軽減されたため、今後申し立て件数が増えていくことが予想されます。申し立てる側としては進めやすくなったというメリットはありますが、もしも申し立てられる側になると今までと違って簡単に申し立てされてしまうというリスクが出てきます。現地法人の中には長期赤字で且つ経営の黒字転換が困難な状況にあるところもあるかと思いますが、いちおうこれが第三者破産申し立ての自由になってしまうということは、ちょっとしたトラブルが発生した際に、「第三者破産申し立てするぞ!」という脅し文句が出てくるかもしれません。考えすぎかもしれませんが、この基準であればそういうことになってもおかしくないですね。企業というのは「長期赤字で且つ経営の黒字転換が困難」であっても、キャッシュさえあれば運営し続けていくことが可能です。経営状況はよくないけどもキャッシュフローで何とか運営できている会社であっても破産申し立てされるとさすがにイメージダウンは免れません。そういった会社にとってはこの司法解釈は恐怖かもしれないですね。あ


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