呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国国内で就業する外国人の社会保険に関する暫定弁法

 2011年9月6日付で《中国国内で就業する外国人の社会保険参加暫定弁法》(中華人民共和国人力資源社会保障部令第16号)が公布され、10月15日より施行されることになりました。今日はこれについて紹介します。

 

 1.定義

 中国国内で就業する外国人とは、法に依って《外国人就業証》、《外国専門家証》、《外国常駐記者証》等の就業証書及び外国人居留証書を獲得しており、及び《外国人永久居留証》を保有し、中国国内で合法就業している非中国籍の人員のことを言います。

 

 2.納付対象者

 中国国内で法に依って登録または登記している企業、事業単位、社会団体、民営非企業単位、基金会、法律事務所、会計士事務所等の組織(以下、雇用単位という)が法に依って外国人を募集採用される外国人は、法に依って従業員基本養老保険、従業員基本医療保険、工傷保険、失業保険及び生育保険に参加し、雇用単位及び本人が規定に従って社会保険費を納付する必要があります。

 

 3.駐在員の場合

 国外の雇い主と雇用契約を締結後、中国国内で登録または登記されている分支機構、代表機構(以下、国内勤務単位という)に派遣されて勤務する外国人は、法に依って従業員基本養老保険、従業員基本医療保険、工傷保険、失業保険及び生育保険に参加し、国内勤務単位及び本人が規定に従って社会保険費を納付する必要があります。

 

 ということで、要するに駐在員だろうがなんだろうが外国人は社会保険費を納付しなければならないということが明確にされました。就業証手続き後30日以内の社会保険登記手続きにまで言及しています。社会保険法を見る限りではこの結論は見えていましたが、色々と物議を醸し出していたこともあり本弁法が公布されたといえるでしょう。会社と従業員との間の給料のきめがどうなっているかという問題はありますが、会社から見た場合、少なくとも会社負担の社会保険部分はコスト高になりますし、手取り保証している場合だと個人負担部分も会社にとってコスト高になります。これ結構きついです。このあたりは過去の記事「《社会保険法》施行に伴う外国籍従業員のコスト増」をご覧ください。

 

 さて、気になるのは中国と本国の両方で社会保険を納付している場合の二重払い負担についてですが、協議を締結している国との間では規定に従って処理される、要するに協定に基づいて二重払い負担を回避するということになっています。協定がない場合は二重になりますね。日本も早く《社会保障協定》を締結しないと!

 もうひとつ気になるのはほとんどの外国人が年金の受領資格を持たないまま帰国した場合に払い損になってしまうという点です。いったん帰国してまた中国にやってきた場合、打ち切られた社会保険を累計継続することができます。受領資格を生かして受領する人は生存証明なるものを提出して生きていることの証をもって受領することができます。問題は大多数の受領しない人たちですね、この人たちは払い損になってしまうと思いきや、一応社会保険を終止して社会保険個人口座貯蓄額から一括で支給してもらうことが可能になっています。これなら許せるかと思うのですが、でもその手続きはたぶんものすごく面倒くさそうな気がしますね。

 

中華人民共和国人力資源社会保障部令

第16号

《中国国内で就業する外国人が社会保険に参加する暂行弁法》は既に人力資源社会保障部第67次部務会の審議を通過し、そして国務院の同意を経て、ここに公布し、2011年10月15日より施行する。

                            部 長 尹蔚民 

                          二○一一年九月六日 

 

中国国内で就業する外国人が社会保険に参加する暫定弁法

 

第一条 中国国内で就業する外国人が法に依って社会保険に参加し社会保険待遇の合法権益を享受することを保護し、社会保険管理を強化するため、《中華人民共和国社会保険法》(以下、社会保険法という)に基づいて、本弁法を制定する。

 

第二条 中国国内で就業する外国人とは、法に依って《外国人就業証》、《外国専門家証》、《外国常駐記者証》等の就業証書及び外国人居留証書を獲得しており、及び《外国人永久居留証》を保有し、中国国内で合法就業している非中国国籍の人員のことを指す。 

 

第三条 中国国内で法に依って登録または登記している企業、事業単位、社会団体、民営非企業単位、基金会、法律事務所、会計士事務所等の組織(以下、雇用単位という)で法に依って外国人を募集採用される外国人は、法に依って従業員基本養老保険、従業員基本医療保険、工傷保険、失業保険及び生育保険に参加し、雇用単位及び本人が規定に従って社会保険費を納付しなければならない。

 

 国外の雇い主と雇用契約を締結後、中国国内で登録または登記されている分支機構、代表機構(以下、国内勤務単位という)に派遣されて勤務する外国人は、法に依って従業員基本養老保険、従業員基本医療保険、工傷保険、失業保険及び生育保険に参加し、国内勤務単位及び本人が規定に従って社会保険費を納付しなければならない。

 

第四条 雇用単位が外国人を募集採用する場合、就業証書手続きより30日以内に社会保険登記を行わなければならない。 

 

国外雇い主より派遣されて国内勤務単位で勤務する外国人は、国内勤務単位により前項規定に従って社会保険登記を行わなければならない。

 

法に依って外国人就業証書手続きを行う機構は、速やかに外国人が中国に来て就業する関連情報を現地の社会保険取扱機構に通知しなければならない。社会保険取扱機構は定期的に関連機構に外国人就業証書手続きの状況を照会しなければならない。 

 

第五条 社会保険に参加する外国人は、条件に符合する場合、法に依って社会保険待遇を享受する。 

 

規定の養老年金受け取りの年齢に達する前に出国する場合、その社会保険の個人口座は保留することが認められ、再度中国に来て就業する場合、納付年限を累計で計算する。本人の書面申請を経て社会保険関係を終止する場合もまた、その社会保険個人口座貯蓄額を一度に本人に支給することができる。 

 

第六条 外国人が死亡する場合、その社会保険の個人口座残額は法に依って继承することができる。

 

第七条 中国国外で月毎に社会保険待遇を受け取ることを享受する外国人は、少なくとも毎年その待遇を支払う社会保険取扱機構に中国駐外大使、領事館が発行する生存証明、または居住国の関連機構が公証、認証しそして中国駐外大使、領事館が認証した生存証明を一回提出しなければならない。 

 

外国人が合法的に入国する場合、社会保険取扱機構で自らその生存状況を証明することができ、あらためて前項で規定する生存証明を提供しない。 

 

第八条 法に依って社会保険に参加する外国人と雇用単位または国内勤務単位が社会保険のため争議が発生する場合、法に依って調停、仲裁、訴訟提起を申請することができる。雇用単位または国内勤務単位がその社会保険権益を侵害する場合、外国人もまた社会保険行政部門または社会保険費徴収機構に法に依って处理を要求することができる。

 

第九条 中国と社会保険二国間または多国間協議を締結している国家の国籍の人員が中国国内で就業する場合、その社会保険に参加する方法は協議に従って処理する。

 

第十条 社会保険取扱機構は《外国人社会保障番号編制規則》に基づいて、外国人のために社会保障番号を構築し、そして中華人民共和国社会保障カードを発行しなければならない。

 

第十一条 社会保険行政部門は社会保険法の規定に従って、外国人が社会保険に参加している情况に対して監督検査を行わなければならない。雇用単位または国内勤務単位が法に依って募集採用する外国人に社会保険登記を行わないまたは法に依って社会保険費の納付を行わない場合、社会保険法、《労働保障監察条例》等の法律、行政法規及び関連規章の規定に従って处理する。

 

雇用単位が法に依って就業証書手続きを行っていないまたは《外国人永久居留証》を保有していない外国人を募集採用する場合、《外国人在中国就業管理規定》に従って処理する。

 

第十二条 本弁法は2011年10月15日より施行する。

 

付属文書:外国人社会保障番号編制規則(略)


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