呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

従業員解雇交渉の現場 ~その2~

 さて、経済補償金の話に戻ろう。経済補償金は計算公式があり、従業員の勤続年数や給与水準で自動的に計算することができる。いちおう従業員側から経済補償金の案が出されたのだが、そもそもの計算方法が違法解雇を前提として法定の2倍を要求してきており、現状はこれを適用する状況ではないと突き返し。さらに、そもそも会社の預金残高も不足しているので、法定水準のレベルも支給できないと説明。そこで、現実的な案として、現在ある残高を本来支払われるべき経済補償金に準じて4人で案分するというのを提示した。本来は支払いに回すべきお金を払わず、その時点の銀行残高をすべて補償金に充てようという、従業員にとっては状況を考えると現実的且つベストな案といえるはず。しかも、その後破産申請する可能性があることまで説明し、破産申請になってしまうと1元たりとももらえなくなる可能性があると説明。ところが従業員の反応はノー。ということでこの日の交渉は決裂。我ながら現実的でいい案だと思っていたので、ちょっとびっくり。ところが、その後リーダー格の一人からWechatで連絡が欲しいとメッセージがあり、電話したところ「あの案いいと思うだよね。でも協議書がなかったし」って、協議書用意してたっちゅうねん!この案は受入ららないというから見せなかっただけなのに。

 

 後日基本的には同じ案で改めて交渉。債権回収が一部できていたので、補償金として配分する金額を日本側の了解を取ってほんの少し増額して提示。法定通りの金額に満たないとはいえ、この日は妥結するだろうと思っていたのだが。。。

 

 交渉の場には従業員の4人が出席。これは当然として、なぜか財務責任者が今まで一度も会ったこともない男を連れてきて、交渉に参加させるという。その男は、「私は労働局の者で、このような場面に何度も立ち会ったことがあり、交渉を妥結させるべくやってきた。労働局に電話して確認してもらってもいい」と言う。普通役所の人が来る場合、自らの身分を証明する工作証明を提示するはずなので、私のほうから、

 

「こっちから労働局になんか電話しない。あなたのお名前は?工作証明を見せてもらえますか?」

と問いかけるも、それに対してはゼロ回答。私からすると身分の確認できない二元なので、

「身分のわからない人なので出て行ってください」

と伝え、追い出した。要するに胡散臭い男を連れてきたのである、財務責任者は。そしたらその財務責任者もブチ切れたようでその場を一緒に出て行ってしまった。この日で決めてしまおうと思っていた残りの従業員は大慌てだ。その後すったもんだあったものの、二人が交渉妥結し、なぜか一人で戻ってきた財務責任者が補償金の振り込み手続きまで済ませ、なぜかまた出ていってしまった。まあ、提示金額を受け入れたこの二人の行動は正解だ。(続く)


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