Author: 呉明憲

上海住宅賃料相場の動き

 私の知人が昨年賃貸契約したアパートの更新にあたり家賃据え置きで契約できたという話を聞いて、そもそも最近の住宅賃貸マーケットってどうなっているのかについて興味を持ちました。まずは上海全体の住宅賃貸市場の動きを見てみましょう。オレンジは大家さんが提示する金額、ブルーは借りようとしている人が探そうとしている価格です。なので、実際に制約する金額はこの間になるかと思います。なお、ここで示されている金額は1っか月の㎡当たりの単価ですので、例えば直近の数値は68元ですが、100㎡を賃借する場合、6800元ということになります。上海全体の動きを見る限り、オレンジの供給サイドはここ1年で緩やかに上昇していることがわかります。逆に探している側の希望価格は下がってきています。ただし、これはあくまで平均なので、高額物件、普通物件で異なる動きがみられるかもしれません。

 

上海

 

 

次に、駐在員のたくさん住んでそうな浦東新区と長寧区を見てみましょう。まずは浦東新区から。浦東新区の供給サイドはやはり上がってきております。ただし、探している側はの希望価格は上海全体の傾向と同じく下がっています。

 

浦東

 

 

 長寧区はこれ。浦東新区と同じ動きですね。供給サイドは昨年比上がり、探している側はの希望価格は昨年比下がっています。

 

長寧 

 

 

 さて、冒頭の知人が借りている物件のここ一年の家賃の動きについて調べてみました。この物件の直近の大家が提示する金額と探している側の金額はほぼ近しい数値となっておりますが、供給側から見た場合やはり金額は上がっています。そして、探している側の希望価格は落ちて上がって落ちて上がってという動きですが、一年前と比べると下がってきています。その知人の家賃は把握している限りではほぼこの表に出ている平均単価88元/月/㎡の金額で決着しています。結構実勢を反映しているといえますね。

 

茅台花苑

 

 さて、今度は駐在員が住むような高額物件を見ていきましょう。うちのオフィスのすぐ近くにある天山河畔という物件です。うちのオフィスからあまりに近いので、ここに住むお客さんは朝早くまたは夕方遅くにアポってお越しいただく人が少なくありません。表を見ていきましょう。供給サイドと需要サードの金額が離れ気味です。供給サイドだけを見ますとなんと12.5%も上がっています。需要サイドから見ると94元から96元に上がっているとしてわずか2.1%の上がり方です。高額物件の大家がいかに強気なのかが良くわかります。なお、直近の供給サイドの提示金額は107元/月/㎡ですので、220㎡のお部屋の家賃はざっくり23,500元程度になりますね。実際に住んでいる方、こんなもんですか?

 

天山河畔

 

 

 ここに示されている数字はあくまで大家の希望する、あるいは探している側が希望する平均値ですので、物件の新しさ、内装のきれいさ、フロアーの回数、方角等で数字は変わってくるかと思いますが、一応の参考にはなるかと思います。今ではその気になればこのように物件賃料の相場を調べることができますので、不動産仲介業者の言っている金額がうのみにすることなく、実勢に合っているかどうか検証することができますね。住宅の契約更改時にはこういう資料あると助かりますよね!

配車アプリドライバーの摘発

 日本ではタクシー配車をソフトバンクと連携する滴滴、上海の配車アプリ市場はこの滴滴の独壇場だったのですが、そこに先月から美団が参入し、方は新規顧客獲得、方や既存顧客防衛すべく、お互いにクーポンをバラまきまくるバトルが今もなお進行中です。最初のころは配車アプリよりもタクシーのほうが安心だという人も多かったですが、ここまで普及してきているので配車アプリのほうを好む人も増えてきています。そもそも配車アプリに登録しているドライバーってどういう要件をクリアしているのでしょうか。これに関する通達は出ておりまして、その通達によりますと、配車アプリのドライバーとして認められる要件としては、以下の4つがあります。

 

  • 相応する車型の免許証を取得して3年以上の運転経験があること
  • 交通事故犯罪、危険運転犯罪記録がなく、麻薬吸引記録がなく、飲酒運転記録がなく、最近3点数記録周期(1周期12ヶ月)以内の記録が12点未満であること
  • 暴力犯罪記録がないこと
  • 都市人民政府が規定するその他条件

 

 これら4つの条件が必要条件として定められており、これらをクリアして初めて《網絡予約出租汽车駕駛員証》が発行されます。これとは別に車両自体も登録しておく必要があります。これらに違反した場合、ドライバーは罰金1万元、3か月の免許取り上げ、もし2回目見つかった場合、罰金3万元と免許取り上げ6か月と厳しい罰則が定めれ手ています。

 

 配車アプリを使いまくっているため最近タクシーにほとんど乗らないのですが、いまでも乗車拒否したり偽タクシーもあると思うのですがぼったくりするようなのもいるイメージがあり、それにくらべれば配車アプリでやってくるドライバーのほうがよほど健全といえそうです。

 

 とはいうものの、ルールを守らない人はやはりいるようで、4月3日午前に上海の空港や駅等の14か所で取り締まりを行ったところ、登録プラットフォームでいうと滴滴29件、美団6件、神州1件、嘀嗒1件を摘発し、プラットフォームの滴滴、美団には「運営資格を持たないドライバーまたは車両に対して求車情報提供サービスを提供」した場合に課せられる10万元の罰金がそれぞれに課せられました。

 

運転手

運転手を摘発した書類

 

会社

プラットフォームに対する罰金の通知書

 

 プラットフォーム側としてはドライバーがズルするのまで管理するのは大変ですが、こういうことの繰り返しの中でルールを守らないドライバーを淘汰し、サービスの質を上げていくということでしょう。最近利用するたびにというとオーバーですが、結構な確率で利用した後にプラットフォームである滴滴や美団から電話がかかってきて、「車両のナンバープレートは登録しているものと同じ番号だったか」と確認の電話が入ってくるのですが、こうしてルールを守らないドライバーを排除していこうとしているのでしょう。

 

 個人の体験から言うと少なくとも配車アプリドライバーのほうがタクシードライバーよりもサービスはいいですし、車もきれいだと思いますが、利用者からの評価制度も導入されているので、さらにサービスが向上していくことでしょう。消費者としてはありがたい限りです。

大手ブランド製品生産を全面アピールして自社商品を販売

 会社のエレベーター脇のモニターでよく広告が流れているのですが、ちょっと気になるものを見つけました。「必要」というネット販売サイトに関する広告です。何が気になったかというとこのネット販売サイトで提供している商品、全て大手ブランド商品を生産している工場が作っている商品であることを売りにしているのです。ブランド側はこれを許すのかね?どんなサイトか見ていきましょう。

 

 花王製品を生産している工場から洗濯機クリーナーの出品です。

kao

 

 

 次に、KENZO製品を生産している工場からノースリーブシャツの出品です。

kenzo

 

 アディダス製品を生産している工場からスポーツウェアの出品です。

adidas

 

 コーチやカルバンクライン製品を生産している工場からベルトの出品です。

coach

 

 またまたMaxMara製品を生産している工場からシャツの出品です。

maxmara

 

 MIUMIU製品を生産している工場からバッグの出品です。

miumiu

 

 アルマーニ製品を生産している工場からパンツ、スカート類の出品です。

armani

 

 Hugo BOSS、プラダ製品を生産している工場からメンズウェアの出品です。

boss

 

 いやー、しかしこんな同道をブランド名を前面に出してやるかね。商談の中で、「うちはユニクロ製品の生産を請け負ってまして」なんていうのはあるでしょうが。そもそもユニクロは生産工場リスト公開しているけど。

 

 このサイトに出品するための条件としては大手ブランド・メーカーの製品の生産を行っていること。契約内容にもよるのでしょうが、ブランド側はこれを許せるものなのでしょうか。出品されているカテゴリーはかなり広く、たいていの商品はカバーされています。

 

 category

 

 

 ブランド側が一斉に文句を言い始めるとこのビジネスは成り立たなくなるかもしれないので、欲しい人は今のうちですね!

2017年中国百貨店・ショッピングモール・アウトレット売上高ランキング

 ランキング好きな人が多いので、今日も久々にランキング情報をご紹介します。まずは2017年度の百貨店の売り上げランキングです。トップは北京SKP、なんと2位の杭州大廈の1.6倍もの売り上げを上げて断トツのトップです。こんな規模だというのに前年比売り上げがプラスの30.21%、日本の百貨店はうらやましい限りではないでしょうか。トップ20の単キングですが、前年比マイナスとなっているところが4つありますが、それ以外はみんなプラス、それも二けた成長をしているところが少なくないです。これだけ見ると百貨店ビジネスって結構いけそうに思えますが、上海にある高島屋や大丸百貨店の状況は決して芳しいとは言えません。今後の予定としては阪急阪神百貨店が寧波に出店するのですが、結構勇気のいることだと思います。このプロジェクトに対してはクールジャパン機構が相当お金を突っ込むからこそできることなのでしょう。プロジェクトの進捗自体は風の便りで聞こえてくるのですが、しょせん風の便りでどこまで正しいかわからないのでここではノーコメント。

 

百貨店

 

 次にショッピングモールを見ていきましょう。トップは南京にある徳基広場。知らん、行ったことない。販売業績が90億元ということで、約1500億円、なかなかの数字ですね。なんか最近新しいショッピングモールがどんどコドンどこできているので、昔からあるショッピングモールにはあまり行かなくなったかもしれません。

 

ショッピングモール

 

 最後はアウトレットです。ランキングトップの上海青浦のアウトレットに行ったことがあります。あんまり安いとは思わなかったなあ。場所が遠いので車で行かないと不便なのですが、そこまでしていきたいとも思わない。しかしアウトレットもどんどこできているみたいで、今年は50施設以上オープンするという話です。さすがにちょっとオープンしすぎではないかと。でもこれだけどんどこ施設を作っていって、さびれているところもあるとは思うのですが、上位陣とはいえこれだけ伸ばしているのって大したものだと思いますよ。

 

アウトレット

KTV通いもほどほどにしましょう

 以前300元以上の経費申請はすべて日本本社に報告しなければならないというルールのある日系企業を聞いたことがあったが、これとは正反対で今回は経費に甘い会社の話。

 

 中国に駐在に来るとついつい遊んでしまう人がいます。まあそれはいいのですが、中には遊び上手な人もいれば遊び下手な人もいます。遊び上手な人は帰任するときに小姐に涙され、遊び下手な人は帰任するときに手切れ金をせびられて涙し、といったあたりでしょうか。

 

 さて、接待でKTVを利用するのは良くある話。世の中の奥様方にとっては不愉快かもしれませんが、そこはしょうがないでしょう。会社から見ても接待して商売が取れるならそれはそれでよし。しかし、あまりに金額が大きい、あるいは公私混同しているのはいかがなものか。実際にそのようなケースもあります。

 

 以前聞いた話。とある飲食店に知人が勤務しており、いい感じのお店で何度か行ったことがあるのですが、お客さんもそこそこいて繁盛していました。しばらく行かないうちにいつの間にか閉店してしまったのですが、あんなに繁盛していたのに何でかなあと思っていました。何年かしてその知人に会い当時の話を聞いたのですが、なんでも毎月のように日本本社から人がやってきて一週間ほど滞在し、滞在している間は毎日のようにKTV遊び、その費用はすべて現地法人持ち。一回あたりに使う金は1万元ほど。つまり、毎月のように7万元ほどがコストアップされていたのです。年間に引き直すと約85万元、そりゃないわ。純利益でこれだけ利益を出そうと思うとどれだけ売り上げを上げないといけないことか。当然損益状況はよくなく、あえなく閉店となってしまったわけであります。

 

 もう一つ似たような話。接待好きなのか遊び好きなのかよくわからないのですが、とにかくKTV好きの総経理。毎月のような7万元だ、8万元だとKTVでお金を落としていました。しかしこのような幸せな日々も現地法人の出資構造が変化してから雲行きが怪しくなってきました。もともと独資だったのが中国企業と合弁化したのです。すると今までお目こぼし状態にあったKTV接待の金額にチェックが入り始め、注意したところ少しは改善したものの徹底的な改善はなされず、ついに中国側はしびれを切らしてこの総経理を帰任させたのです。まあ、そりゃそうでしょう。これも同じく年間で100万元近く使ってるわけですから。どんな業界かよくわかりませんが、過去に中国の贈収賄について調べたときに獲得できた商売に対して贈賄額が3%くらいが多かったのですが、これを基準とすると3300万元くらいの売上はあげないといけないでしょう。でももしも粗利の薄いものを流すだけのよう販売会社だったら3300万元程度じゃ話にならんでしょう。

 

 さて、この接待文化、当然中国にも接待文化はあります。商売になるならないは別としてとにかく一緒にご飯に行きましょうという流れになるのはよくありますが、商売が絡んでいればより一層そのような流れになりやすくなります。二つ目の話の会社では中国人社員も接待をするのですが、会社はそれを負担してくれないとのこと。日本の企業文化に慣れ親しんでいると結構厳しい話だなあと思います。そもそも自腹で接待することを日本の会社はよしとしないですよね。自分が以前所得していた銀行ではそういう文化でした。お客さんとの間でせいぜい共通の趣味であったプロレスのビデオを貸し借りしていたくらいです。さて、それでも中国人社員はなぜ自腹を切って接待をするのか。接待することによって商売が取れ、その売り上げから上がってくる歩合が自らの収入に跳ね返るからだって。なので、ここが勝負どころと思うと一気呵成に接待するそうです。なるほど、これはこれでわかりやすい。

 

 日本企業はお客さんとの癒着を恐れ会社に稟議の上がらない、従業員が自腹で行う私的な接待を許さない。一方中国企業では接待は自腹を切らないといけないが、その結果として挙がってくる歩合を期待する。日中の考え方の違いですな。

中国における外資化粧品ブランドランキング

 前回は外資スポーツブランドのランキングを紹介しましたが、今回は外資化粧品ブランドのランキングを紹介します。左が好きなブランド、右が嫌いなブランドのランキングです。

 

 

 好きなブランドのランキングですが、1位ロレアル(27.0%)、2位エスティローダー(24.3%)、3位ランカム(23.4%)となっています。日系ブランドを見てみますと5位資生堂(17.4%)、10位SKⅡ(9.3%)となっています。

 

 スポーツブランドの時と同じく、好きなブランドで上位にランキングされていてもアンチがいるので、同じブランドが嫌いなブランドでもランキングに入ってきます。ロレアルは5位(10.8%)、エスティローダーがランク入りしておらず、ランカムが7位(9.6%)となっており、スポーツブランドほど人気ブランドのアンチ度が高くはありません。

 

 嫌いなブランドランキングでの日系の状況ですが、なんと資生堂が1位(14.9%)、SKⅡが2位(13.3%)、KENZOが8位(9.5%)となんとも複雑な気分になるランキングです。中国人の日本での化粧品の爆買いってこの辺のブランドでは?なぜこんな結果になるのか、検証できるものならしてみたいものですわ。

中国における外資スポーツブランドランキング

 今日は中国における外資スポーツ屋外ブランドのランキングについて紹介します。好きなブランドと嫌いなブランドのランキングです。このランキングでは戸外スポーツブランドとありますが、まあ一般的なスポーツブランドと考えてもいいのではないかと思います。見てみましょう。左が好きなブランド、右が嫌いなブランドです。

 

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 好きなブランドのトップはナイキ(53.9%)、第2位がアディダス(48.4%)、ちょっと離れて第3位がニューバランス(21.2%)となっています。ナイキ、アディダスは口ずさむことができるくらいの位置づけですね。

 

 さて、嫌いなブランドですが、任期があるものは目立つので、そのアンチもいるということなのでしょう。嫌いなブランドトップ3は1位と2位の入れ替わりがありますが、銘柄は同じです。1位アディダス(25.7%)、ナイキ(22.8%)、ニューバランス(17.3%)となっています。

 

 以上の中で日系ブランドはどこにいるかなあと思っていたら、なんと嫌いなブランドの第4位がオニツカタイガー(13.6%)、第7位にミズノがランキングに入っています。うーん、どうしてなのでしょう。ポジティブ評価に対してアンチがいるのであればわかるのですが、好きなブランドにも入っていないですし。もしそのブランドを知らないということであればそもそも好きでも嫌いでもランキングに入らないですし。これ、ちょっと掘り下げていかないとわからないですが、消費者が自社あるいは自社商品のことをどのように見ているか、思っているか、検証するいいきっかけではないでしょうか。

2018年中国の大学ランキング、民間大学にもランキングあり

 過去に何度か中国の大学ランキングを紹介していますが、今回はいつもと違うところから発表されている大学ランキングをご紹介します。艾瑞深中国校友会網が作成したもので、科学出版社よりまもなく出版される《2018中国大学評価研究報告—中国高考志願填報指南(校友会版)》という報告書で2018年の中国大学ランキングトップ1200を発表しています。1200ってちょっと多すぎますが、気にしない!

 

 評価は一つ星から九つ星まであり、一つ星が地域有名大学、二つ星が地域高水準大学、三ツ星が中国有名・地域一流大学、四つ星が世界有名・中国高水準大学、五つ星が世界有名・中国一流大学、六つ星が世界高水準・中国先端大学、七つ星が世界有名高水準・中国船タタン大学、八つ星が世界一流大学、九つ星が世界トップ大学となってます。

 

 では、ちょっと多いですが、トップ200です。

 トップ200

 

 中国にも民営の大学があり、これのトップ90のランキングが発表されています。90という中途半端な数字が気になりますが。。。

 

民営大学

 

 元ネタの記事のコメント欄を見る限り、上のほうは納得できるが、それ以外は当てにならんという言コメントが見られました。確かに下のほうになるとあまりな時もがないといえばそうですが。とはいうものの、一応の参考にはできるかと思います。人材採用の際にご参考になれば幸いです。

中国カルフールの今 ~その2

かつて中国国内のスーパーといえば真っ先に名前の挙がったカルフール。確かに絶好調だった時もあるのですが、最近は凋落気味。カルフールは「大売場」という概念を中国の小売業界に持ち込み、これが大型スーパーのビジネスモデルになりました。サプライヤーから入場料を徴収する、代金支払いを引き延ばすなどして地コストで拡大を実現してきましたのは特にB2C製品を取り扱っている方であればよくご存じのことかと思います。

 

1.入場料ビジネス

カルフールの入場料は年々上昇し、サプライヤーの不満が大きく募りました。サプライヤーとしてはこの分をカバーしないともうけが出てきません。そして2010年の暮れにカンシーフ(康師傅)は商品価格を10%引き上げたいとカルフールに申し入れしたのですが、これが断られてしまい、これに対してカンシーフは全国のカルフールに対して商品供給をストップするという措置を取りました。商品力があればこその対応かと思いますが、なかなか思い切った判断ですね。これはたまたまカンシーフの話ですが、同じような話が毎年のように出てきて、中には日系企業でも同じような話がありました。カルフールは代表的な例ですが、その他補スーパーでも同じような話はありました。もうこれがスタンダードなビジネスモデルなのですよね。ところが近年は消費者にとって購入場所の選択肢が増えてきたことなどもあり、大型スーパーの売上はどんどん厳しくなってきています。大型スーパーがしんどくなってきているのは日本でも同じですよね。

 

2.ネット販売の成長

実店舗に代わるものといえばネット販売。サプライヤーもネット販売で販売すると消費者からの反応も早く、情報拡散も期待され、コストもまあ大型スーパーに出すよりも少なくて済むという時代になりました。もちろん、ネット販売だと実際に手に取ってみたり感じたりすることができないというデメリットはあります。売り場としてはここをセールスポイントにしていくべきでしょうし、実際に手に取り目にしてというのは商品購入にあたって大きな要素ではあるでしょう。

 

3.購入チャネルの拡大

また、カルフールで輸入品を購入するという消費者も多かったのですが、購入場所の選択肢が増えてきたと書きましたように、カルフールでなくても購入できる場所が増えてきました。もちろんネットでも購入することができます。輸入品をカルフールで買う必要はない、生鮮品もいまでは盒馬や永輝で買えばいいという時代になってきたのです。

 

4.サプライチェーン

いまではカルフールは集中購買をしていますが、以前はそうではなくて、各店の店長が自主購買権を持ち、基本的には全ての商品を配送センターではなくて店舗に直接配送させていました。これがカルフールの強みといわれている時代もありましたが、逆にこれを続けることでサプライチェーンの整理をするということができなかったといわれています。本国ではちゃんと自らのサプライチェーンを持っていて、中国だけは別だったのですが、2015年にようやく自社の配送センターを持つようになり、集中購買を行うようになってます。店長が自主購買権を持っていた時代は店舗の地域に合った品ぞろえができていたのが強みといわれた時代もありましたが(多分袖の下も相当横行していたのではないかと)、この辺りは時代の流れですね。

 

5.ターゲット

1995年に中国に進出したカルフール、当時は月収1500-3000米ドル程度の層をターゲットにしていました。多くの外資企業の中国市場開拓と同じく、まずは一・二線都市から入り、だんだん田舎に攻めていくというものですが、この一・二線都市で儲ける時代は本国フランスほど長くなかったようです。中国経済成長のスピードが速い分、人稼ぎできる期間も短期になったということでしょう。時代に合わせたビジネスを模索していく必要があります。

 

色々と模索しているようでして、3月から4月あたりに高級ホワイトカラーを対象にした新たな大型スーパーを開業するようですが。なんだかんだいってカルフールという名前は今でもそれなりの影響力はあります。中国事業売却の話もずっと取りざたされていましたが、永輝超市を通じてではありますが、テンセントや京東の出資を受けましたので、売却話もひと段落かと思います。ネット系企業の資本参加により今後どのような変化がみられるか、その動きを見ていきたいですね。

中国カルフールの今 ~その1

 うちの顧問先のお客さんから「カルフールはもう全然あきませんなあ、昔と全然違いますわ」と何回か聞かされてきていますが、カルフールに行くたびに「確かにあきませんなあ」と感じさせられます。実際にカルフールの中国事業売却の話が何年も前からメディアを騒がせています。

 

 業績推移を見ていましょう。まずは全世界ベースでの売上高推移です。2015年に盛り返したものの、2016年に微減。

 

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 次に、中国の売上高推移です。2014年第2四半期以降ずっとマイナスとなっています。 

 

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 そして、中国既存店舗の売上高の推移です。トレンドは中国全土販売額推移とほぼ同じですね。

 

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 四半期ごとの前年比較ですが、前年を上回っているのはわずかに2013年の第3・4四半期のみ、それ以外はみんなマイナスです。特に2015年第1四半期と同年第4四半期の落ち込みが激しいです。落ち込み幅が減少してきているといえばそうなのですが、それでも5%程度は前年比マイナスです。ミニスーパーのeasyカルフール、Eコマースとも特に目立ってブレイクしているわけでもなく、賃貸の長期契約の期限の到来(継続で賃料が上がる)や人件費の上昇もあわさり、先行き明るくないのが現状のようです。

 

 業界シェアも落としてきています。少し前の数値ですが、トップは高鑫零售(大潤発)で、カルフールのシェアはその半分にもなりません。

 

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 カルフールのシェアは2012年から下落基調にありますが、2009年の時点で売上高が大潤発に追い越され、2010年には店舗数がウォルマートに追い越されています。店舗当たり売上高を見ますと、2016年の大潤発が2.64億元、カルフールが1.58億元とこれまた大きく引き離されています。そして、最近カルフールに出資した永輝超市(テンセントの5%出資先)はシェアを大きく伸ばしている企業であり、なんと2017年にはカルフールとほぼ同じレベルに達しています。

 

 あまりなじみのない永輝超市、いったいどんな会社なのでしょうか。カルフールの中国事業は上述のように不振基調にあり、売却するとかテコ入れしないといけなかったわけですが、おそらくアリババやテンセントに話を持ち掛けたのではないかとみられています。最初にアリババに話を持ち掛けたものの、アリババは高鑫零售に出資し、次にテンセントに話を持ち掛け、結局テンセントと永輝超市からの出資を受け入れることになったわけであります。ちなみにアリババとテンセントは実店舗に対する出資を行っています。アメリカではアマゾンがスーパーを買収していますが、中国でも同じような動きがみられます。永輝超市はテンセント系、高鑫零售や最近話題の盒馬鮮生はアリババ系になりますね。

 

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 日本でもそのうち同じような動きがみられるようになるのでしょうか。楽天やヤフーが同じようなことするかなあ。と思ったら、楽天は西友と、ヤフーはイオンの組むんだった。

 

 では、なぜ中国カルフールはこのような状況になってしまったのでしょうか。書くのに疲れましたので、続きは次回にします。