2019-06-28

上海高島屋閉店の一方で他の日系・日式百貨店はどんな状況だろうか

 上海高島屋が今年8月25日で閉店することを発表しました。オープンしたころから時期が悪いだ、場所が悪いだといろいろ言われてきましたが、2012年12月の正式オープン以来約6年半、お疲れ様でした。そして、中国のニュースサイトでも結構取り上げられており、思っていた以上に上海高島屋という存在が認知されていたのだなあと改めて思った次第です。


 海外はこれで残るのがシンガポール、ホーチミン、バンコク。東南アジアに力点を移していきそうです。

 業績が良くないのが理由で閉店することを決めたわけですが、どのくらいの業績だったのかを見ていきましょう。日本のニュース報道でも業績不振であるという報道がありましたが、直近の売上高は約5億元で、開業以来営業黒字になったことはなかったとのこと。もともと中国進出時に設定した売り上げ目標は130億円、中国元だと当時のレートで約10億元ですが、この半分を超えることはなかなか難しかったようです。いろいろと手を打ったものの大きな起爆剤にはならず、口コミサイトの評価を見ると、「人が少ない、高い、環境とレストランは良い、地下一階の食品売り場と7階のレストランエリア以外あまり客がいない」というものでした。

 元々の計画では二期に分けて展開しようとしていたのですが、映画館等を入れるにきの場所が他社に取られてしまい、当初の目論見通り(二子玉川の高島屋のようなイメージ)に作り上げることができなかったとのこと。

 うまく行かなかった理由として場所選定がどうだとか、現地が仕切れてなかったとかいろいろメディアでも書いていますが、後からはなんとでも言えること。業界内の話題としては跡地をどこが運営するかに移っていってます。

 高島屋の話題が出たことがきっかけで、他の日系デパート(看板貸しや元日系を含む)についても取り上げられています。

第一ヤオハン(元日系):年商40億元超

久光(看板貸ししている香港SOGOが出資):年商30億元近く、2店舗目を近々出店予定

新世界大丸百貨(大丸の看板貸し):年商15億元近く(今年は20億元越えもありそうとのこと)

伊勢丹:年商約7億元(周辺の開発が進んだことにより人の流れが変わり、伊勢丹にとってはマイナスの流れか?)

 高島屋は既述の通り年商約5億元です。この売上高に対して、賃料が約1億元と売上高の約2割を占めています。また、プロモーション費用の予算が毎月100万元超、駐在コストも負担といわれています。ただし、駐在コストに関して言うと、中国の小売業のトップレベルの人の報酬はかなり高額で、駐在員にも劣らないレベルですので、駐在コストはあまり言い訳にはならないのではないかと思います。

 他の日系・日式百貨店の数字を見て驚いたのが、久光の売り上げは前からこれくらいだったのでイメージ通りとして、新世界大丸が急激に売り上げを増やしているのにびっくりです。最初の頃は高島よりもかなりなんだかんだ言われてましたが、いやあ、ここまで伸ばしとは思いませんでした。あっぱれです。新世界大丸は人通りだけがやたら多い歩行者天国付近にあり、一見人通りが多いのですが、お金を使わない人がやたらと多いエリアの印象だったので、ここまで売り上げを増やしているということは、あの界隈を歩く人もちゃんとお金を落としようになってきたということになります。街というのはどんどん変わっていきますね。

 アリババが盒馬(フーマ)というスーパーを出店したり、直近だと蘇寧がカルフール中国を買収するような動きがあったり、ネット販売が勢いを増す一方で、実店舗をうまく活用という動きも見られます。今後この業界がどのように変化していくかが楽しみですね。

関連記事