2020-04-13

日本政府が中国撤退を奨励って、ホント?

 中国現地のニュースをチェックしていたところ、「日本政府なぜ巨額の資金援助をして日本企業の中国撤退を急ぐのか」というようなタイトルの記事を見つけました。そんなことあったかなあと記事を細かく読んだところ、コロナ対策として発表した日本政府の緊急経済対策108兆円のことで、この中で2,435憶円が中国撤退のために使われるとのこと。緊急経済対策に中国撤退なんて書いてたっけと思い日本の記事を見ていたのですが、緊急経済対策108兆円のうちサプライチェーンの国内回帰や多元化支援として2,435億円が計上されています。ジャパンタイムズでは、「日本政府は、新型コロナウイルスの感染拡大により製造業のサプライチェーンが寸断したことを受け、生産拠点を中国などから日本国内、第三国への移転を支支援する。」として、これの総額が2,435億円ということです。何も中国一点に絞って撤退を促しているわけでもないように思うので、中国の記事のタイトルも結構煽るような表現になってますね。そもそも記事を最後まで読んでいくと、日本の緊急経済対策の中で具体的に中国撤退と言及した箇所はないとあり、ますますこのタイトルのつけ方が煽情的と言えます。煽りすぎですよね。なお、米国企業の中国撤退を米国政府が支援するという記事も見られますが、米国に関してはチェックしてませんが、おそらく同じようなことでしょう。

 日本政府の考え方としては、過度に中国に依存するのは良くないといういことに過ぎないと思いますし、そもそも撤退するかどうか、その判断は企業が行うものであり、そして現実的には儲かってるか儲かってないかで決められるべきことであります。うちくらいの会社でも今現在何件か撤退案件を扱っております。コロナ前からどうしようかとご相談いただいき、コロナの発生の有無に関係なくたまたまこの時期にに撤退することを決めたのもありますし、まさにコロナをきっかけに撤退することを決めたのもあります。日中間に往来が難しい環境にありますが、できることはすすめていかないといけないですし、まさにそういうサポートをしております。

 日中の経済の結びつきが非常に強いのは周知の事実で、やみくもに撤退するというのは現実的ではないと思います。そもそもは中国に何を求めて進出したかですよね。昔のイメージでいうと安い労働力を求めて、これが理由であれば中国にしがみつく必要はないでしょう。中国企業との取引を見据えて、これであれば中国にいたほうがいいでしょう。そして今の時期であれば、コロナの影響に対してどこまで持ちこたえられるか、これは日本本社ももちろんそうです。中国の状況ももちろん大事ですが、日本本社の影響の受け具合によっては中国事業の今後の方針にも大きな影響が出てくるといえるでしょう。

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