2018-12-19

中国の宅配ボックス、果たして儲けは出ているのだろうか

 中国でそんなに普及しないだろうと思っていたものとして宅配ボックスがあります。そもそもネット通販で購入した商品を会社宛に届ける人が多く、会社宛だと誰かしら受け取ることのできる人がいるので、再配達ニーズも多くありません。日本の場合、会社勤めの人がネット通販商品を会社に届けてもらうのは公私混同ということで問題になるケースが多いと聞いてます。また、中国所在の日系企業においても同じく公私混同という考え方の下、ネット通販商品の会社受け取りを問題視するところが多いように聞いてます。しかし、一般的には問題視する会社も多くないので、多くの人が会社受け取りをしていましたが、宅配ボックスの普及とともに自宅付近の宅配ボックスで受け取る人も増えてきたかと思います。

 消費者にとってはとても便利な子の宅配ボックス、気が付くとあっという間に普及してしまいました。ボックスに入れられてしまうと受け取り拒否できないというデメリットがあり、これに対する不満を言う人もいますが、全体的に考えた場合やはり便利です。

 さて、この宅配ボックスについて一体だれが運営しているのかと時々聞かれます。もっとも初めに宅配ボックスを作ったのは中国郵政でこれが2010年です。知らんかった。その後ネット販売の成長とともに速递易、中集e栈、云贵といったところが2012-2014年に設立。結構前からあったようですが、知らんかった。今では10数社があり、ボックス自体は25万セット、毎日の処理件数は1100万件に達しています。会社携帯で参入しているということで、気になるのが儲かっているのかという点です。我々消費者からすると、受け取りにあたって費用は発生していないので、宅配ボックス会社は消費者以外のどこかから代金を受け取っているはずです。では、宅配ボックス事業に関する収支についてみてみましょう。

 まずはコストから。宅配ボックスのサイズは250×195×50センチで12000元ほど、さらに設置、運営費用を含めると初期投資で4万元程度必要になります。毎年のコストが8,000-10,000元(内ボックスの減価償却コストが4,000-5,000元)、小区(住宅団地)に入るための費用が3,000元、電気代やメンテナンス費用が1,000元程度。宅配ボックス場所使用料の最も高いところでいうと8,000元に達しているところもあるとのこと。これに対して収入は一回の使用に突き0.4元程度。1ボックスがざっと100ほどあるとして、1日1回転とすると1日40元、1か月で約1,200元、年間だと約14,000元の収入となりますが、これだととてもペイすることが難しそうに思います。実際に多くの宅配ボックスの収支はマイナスとなっており、受け取りの暗証番号確認画面に広告を入れたり、スマートフォンでの通知画面にもプッシュ広告を入れたり、何とか収支を取ろうとしていますが、果たしてどこまでもうけが出ていることやら。私の住むエリアにあるのは豊巣という宅配ボックスですが、これは宅配便最大手の順風の関連会社のようで、他の宅配便会社にも使用を開放しておりますが、自社だけのことを考えた場合、ボックスを設けることによって再配達コストを抑えることが一番の目的なのかもしれんですね。せっかくの便利なサービスなので消費者としてはぜひ継続してもらいたいところです。

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