2018-08-31

日本に進出した中国系企業は中国系銀行との取引にこだわらない

 日本企業が中国に進出すると、(中国に限らず海外に進出した場合もそうかと思いますが)、多くの場合現地の邦銀の支店で口座を開設し、そこをメインの取引していくケースが多いかと思います。日本企業は海外進出に際して往々にして銀行に相談し、銀行は銀行で外国為替取引の取り込みを図るべく、また、日本国内拠点と海外拠点との間の連携も図られ、ようするに拠点間で情報共有され、海外進出の動きをフォローし続けます。そして最終的には邦銀で口座を開設し、その口座を利用し続けるということになります。もちろん、落ち着いてくると地場銀行にも口座を開設して利用するでしょう。最近の中小企業はどうなんでしょうか。メガバンクは昔みたいに中小企業の現地法人の口座開設の相談があればほとんど受け付けているのでしょうか。

 翻って中国企業を見てみましょう。最近は中国企業も日本に進出しています。日本国内にも中国系銀行の支店がありますので、日本進出する中国企業も上で紹介した日本企業と同じく、日本法人を設立すると中国系銀行に駆け込むのかと思いきや、それほどでもないようです。とある中国系銀行の東京支店副支店長に聞いた話ですが、中国企業が日本に進出し、中国系銀行で口座開設するというケースはもちろんあるにはあるのですが、それほど多くないようです。どうも中国企業は日本に進出すると日本の銀行のほうが利便性が高いと考えるようで、中国系銀行にそれほどロイヤリティを感じないようです。いまどき現金の入出金なんてあまり発生しないでしょうし、ネットバンキングも一般的になっているので、立地面で多少距離があったとしても中国系銀行と取引するかと思いきや、そうではないとのこと。ということで、結構取引先開拓には苦労しているようです。日本国内だったら日本の銀行と取引するのが当たり前という考えが強いようです。

 これってあれかな、日本企業は結構取引銀行の顔色を気にして、中国企業はあまり取引銀行の顔色を気にしないということなのでしょうか。企業にとっての銀行の位置づけが違うのかもしれません。日本の場合、何かあったらとりあえず銀行に相談、海外進出についても銀行の分野外のことでも相談、というようなケースがありますが、中国企業はそんなことを銀行に相談しないのでしょう。思えば銀行にいた時も中国進出相談をしょっちゅう受けていましたが、その内容は口座開設や貿易のこと以外は銀行業務の本質からはかけ離れた内容が少なくありませんでした。非日系企業は銀行に対してそんなサービスを期待していないように思いますし、中国企業も多分そうなのかなあと思いました。

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