2009-05-20

小売業向けサプライヤーは辛いよ

「危険」、「扭曲」(捻じ曲がっている)、「隐患」(潜在的な危険)。これは中国サプライヤー研究中心、中国農業科学院、国際行動援助組織等の組織が共同で北京で発表した《中国サプライヤー生存状態調査》、《農産品サプライチェーン調査》及び《中国茶葉サプライチェーン調査》等の3つのサプライチェーンに関する調査報告(以下、三部報告と言う)の中で多く使用された文字で、ウォルマート、カルフール、国美等の大規模小売業者の現行の利益計上スキームを批判する言葉として使用されたものである。批判の内容は納入業者に対する不合理な扱いだ。

北京商業管理幹部学院院長、中国サプライヤー研究中心主任の楊謙氏は、「現在の大型小売商の利益計上スキームは商品の経営ではなく、サプライヤーから費用を徴収することを通じてのものである」と言う。要するに小売業者とサプライヤーとの力関係があまりにもアンバランスであり、サプライチェーンの調査が危機的な状況にあるということを言っている。

上記の調査報告の調査対象サプライヤーは資本金500万元以下の企業が92.38%を占めているが、大部分のサプライヤーが小売業者との交渉で主導権を握れていないようだ。そして、77.67%のサプライヤーが、小売業者が絶対的優位的地位にあり、サプライヤーは価格交渉する力がなく、また80%近くの被調査者は小売商がサプライヤーと交渉するときに価格を強引に引き下げる行為があると示している。さらには52.73%の被調査者は、契約はしばしば小売業者により無断で変更や解除されると示している。

以上のほかにも色々とサプライヤーは虐げられており、どのような行為でサプライヤーを虐げているのか、それを円グラフにしたのが次のものだ。

a.支払期日の延長
b.価格引下げ要求
c.裁判すると脅す
d.注文の拒絶
e.注文を減少すると脅す
f.注文の延期
g.目の前の利益の放棄を要求
h.現在の一部の取決めの取消し
i.商品の損失の引き受け
j.正当な理由なく商品を陳列棚から撤去

と、ここまではサプライヤーがかわいそうだという話ばかりだが、三部報告ではサプライヤー側の問題にも言及している。商務部、国家発展改革委員会、公安部、国家税務総局、国家工商行政管理総局の五部委が2006年に共同で発表している《小売商サプライヤー公平取引管理弁法》が施行されて2年半になるが、67.82%もの被調査サプライヤーがこの存在を知らない、または聞いたことがあるが内容を理解していないとのことだ。

今回の調査の中で、88.44%の被調査サプライヤーは政府が小売商とサプライヤーの関係に介入することを望んでおり、66.46%の被調査者が政府は小売商とサプライヤーの関係に対して法律による介入が必要と考えている。また、28.4%のサプライヤーが政府は業界協会の組成をサポートすべきと考えており、その中で48.63%の被調査者が業界協会が権利維持等の方面でサポートを提供することを望んでいる。

要するに、三部報告では小売商とサプライヤーの力関係があまりにも一方、ここでは小売商に偏っているということを示しており、部門規章に過ぎない《小売商サプライヤー公平取引管理弁法》の法的効力をもっと引き上げたり、小売商の優越的地位の濫用行為を抑制するような細則の制定や、政府による干渉を必要だとしているといえる。

仕事を通じて小売御者に商品を納入するサプライヤーに話を聞いたことが何度もあるが、おしなべて小売業者の要求は非常に厳しく、自分達のことばかり考え、サプライヤーと共に発展して行こうという気が感じられないというものだった。今回のこの調査はそれを裏付けたものであるといえるだろう。このままではいい商品を適切なサービスを提供しつつより合理的な価格で提供することのできる小売業者が現れるには時間がかかるかもしれない。このような業者が現れるまでの間はデパートのような高級小売店が比較的高級な商品を取り扱いつつその役割を代替していくのだろうが、あくまでその対象は富裕層に限られる。庶民レベルは現状で満足しているのかもしれないが、本当であればもっと満足度の高い小売商が出てきてもいいはずだが、小売商の力が強すぎる間は改善が難しいように思われる。また、サービスというものに対する意識を変える必要もあるだろう。ここでいう意識の問題は二つあり、ひとつは人に何かをしてあげるというサービス精神が希薄であるという現状を変えなければならないということ、またこんな就職難の時期であるにもかかわらずサービスを提供する服務員という職業を嫌う人が多いのだが、これも結局人に対して何かをしてあげるということが低く見られていることにつながっているものと思われるが、こういう意識も変えていく必要があるだろう。要するにサービスと言うものに対する意識を向上させて初めて皆が満足するサービスを受けられるようになるだろうということだ。個人的に中国で気分の良くなるようなサービスを受けようと思うにはかなりの支出が伴うという印象がある。これをもっと庶民レベルでも感じられるようになるには以上のような「意識」を意識していく必要があるはずだと思うのである。

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です