2018-02-24

中国カルフールの今 ~その2

 かつて中国国内のスーパーといえば真っ先に名前の挙がったカルフール。確かに絶好調だった時もあるのですが、最近は凋落気味。カルフールは「大売場」という概念を中国の小売業界に持ち込み、これが大型スーパーのビジネスモデルになりました。サプライヤーから入場料を徴収する、代金支払いを引き延ばすなどして地コストで拡大を実現してきましたのは特にB2C製品を取り扱っている方であればよくご存じのことかと思います。

1.入場料ビジネス

カルフールの入場料は年々上昇し、サプライヤーの不満が大きく募りました。サプライヤーとしてはこの分をカバーしないともうけが出てきません。そして2010年の暮れにカンシーフ(康師傅)は商品価格を10%引き上げたいとカルフールに申し入れしたのですが、これが断られてしまい、これに対してカンシーフは全国のカルフールに対して商品供給をストップするという措置を取りました。商品力があればこその対応かと思いますが、なかなか思い切った判断ですね。これはたまたまカンシーフの話ですが、同じような話が毎年のように出てきて、中には日系企業でも同じような話がありました。カルフールは代表的な例ですが、その他補スーパーでも同じような話はありました。もうこれがスタンダードなビジネスモデルなのですよね。ところが近年は消費者にとって購入場所の選択肢が増えてきたことなどもあり、大型スーパーの売上はどんどん厳しくなってきています。大型スーパーがしんどくなってきているのは日本でも同じですよね。

2.ネット販売の成長

実店舗に代わるものといえばネット販売。サプライヤーもネット販売で販売すると消費者からの反応も早く、情報拡散も期待され、コストもまあ大型スーパーに出すよりも少なくて済むという時代になりました。もちろん、ネット販売だと実際に手に取ってみたり感じたりすることができないというデメリットはあります。売り場としてはここをセールスポイントにしていくべきでしょうし、実際に手に取り目にしてというのは商品購入にあたって大きな要素ではあるでしょう。

3.購入チャネルの拡大

また、カルフールで輸入品を購入するという消費者も多かったのですが、購入場所の選択肢が増えてきたと書きましたように、カルフールでなくても購入できる場所が増えてきました。もちろんネットでも購入することができます。輸入品をカルフールで買う必要はない、生鮮品もいまでは盒馬や永輝で買えばいいという時代になってきたのです。

4.サプライチェーン

いまではカルフールは集中購買をしていますが、以前はそうではなくて、各店の店長が自主購買権を持ち、基本的には全ての商品を配送センターではなくて店舗に直接配送させていました。これがカルフールの強みといわれている時代もありましたが、逆にこれを続けることでサプライチェーンの整理をするということができなかったといわれています。本国ではちゃんと自らのサプライチェーンを持っていて、中国だけは別だったのですが、2015年にようやく自社の配送センターを持つようになり、集中購買を行うようになってます。店長が自主購買権を持っていた時代は店舗の地域に合った品ぞろえができていたのが強みといわれた時代もありましたが(多分袖の下も相当横行していたのではないかと)、この辺りは時代の流れですね。

5.ターゲット

1995年に中国に進出したカルフール、当時は月収1500-3000米ドル程度の層をターゲットにしていました。多くの外資企業の中国市場開拓と同じく、まずは一・二線都市から入り、だんだん田舎に攻めていくというものですが、この一・二線都市で儲ける時代は本国フランスほど長くなかったようです。中国経済成長のスピードが速い分、人稼ぎできる期間も短期になったということでしょう。時代に合わせたビジネスを模索していく必要があります。

色々と模索しているようでして、3月から4月あたりに高級ホワイトカラーを対象にした新たな大型スーパーを開業するようですが。なんだかんだいってカルフールという名前は今でもそれなりの影響力はあります。中国事業売却の話もずっと取りざたされていましたが、永輝超市を通じてではありますが、テンセントや京東の出資を受けましたので、売却話もひと段落かと思います。ネット系企業の資本参加により今後どのような変化がみられるか、その動きを見ていきたいですね。

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