2019-08-05

上海新中間層ってどれくらいの人のことを言うのだろうか

 胡潤百富が発表した《2018中国新中産圈層白皮書》の中で、新中間層について紹介しています。ちょっくらその内容を見てみましょう。

  • 平均年齢:35歳
  • 職位:企業中間管理者63%、企業高級幹部18%
  • 業界:科学技術/メディア/通信30%、製造18%、金融11%、不動産11%、貿易6%
  • 企業性質:民営35%、外資35%、国有/事業単位/政府30%
  • 学歴:4大卒72%、修士以上24%、大専4%
  • 平均家庭年間収入;65万元
  • 平均家庭年間可処分所得:50万元
  • 婚姻状況:既婚94%

 年齢とか職位なんかはいいとして、平均家庭年間収入が65万元、ざっくり1000万円くらいですね。ネットで適当に検索したところ日本全体の平均世帯年収は、約560万円らしい。子あり世帯だとこれが約700万円、共働き世帯が約730万円だそうです。厚生労働省の平成28年の調査によると、全国の世帯年収の平均額は約545万円、そして全国の世帯年収中央値は約427万円だそうです。しかしあくまでこれは日本全体なので、東京だとこれよりはずっと大きくなると思いますが、東京都の平均年収は:612万円個あり共働き世帯だと800万円くらいなのだろうか。これだけ見ると上海の1000万円に劣るように見えますが、必ずしもそうではないのではないかと。というのも、最近サービス業のクライアントからの依頼で人材採用のお手伝いをしているのですが、職種にもよるのかもしれないですが、少なくともサービス業に関しては給料は決して高くないなあと思います。日本もそうか。ただ、ITや金融の上のほうだと日本よりも上かもしれないなあと漠然と思っています。要するに収入格差が日本よりもずっと大きいのかなあと思うのです。

 さて、話を戻してこの新中間層と呼ばれる人たち、不動産保有状況を見てみましょう。一つ持っていう人が42%、二つ持っている人が47%、3つ以上持っている人が11%、これら足し合わせると100%になるのですが、不動産を持たない新中間層っていないのか?会えて持たないという人がいてもいいと思うのですが、それは日本みたいに不動産バブルが崩壊してからのことになるのでしょうか。

 これの元記事では、家庭収入65万元だと、住宅ローンの毎月の返済額が2.7万元、借入期間30年とすると借入可能額が525万元、頭金を考えると、購入予算は800万元くらいと書いてある。家庭収入65万元に対して毎月の返済額が2.7万元って、返済比率が収入のざっと半分もするのだが、ちょっとこれは高すぎないか。私が銀行で住宅ローンを担当していた時は40%以内が上限だったように記憶しています。それと、そもそも800万元は高すぎるし、頭金を計算すると275万元(約43百万円)って、どっからその金が出て来るのかと思わざるを得ないです。親からなのでしょうが、新中間層の親ってこんなにすごい金額を支援できるのかね。これが本当ならすごいですよね。

 ちなみに、800万元の予算で購入できる住宅は上海市内のエリアごとにこんな感じです。

 黄浦だとたったの66㎡、長寧だとたったの68㎡、これは建築面積なので、日本基準の専有面積に引き直すと50㎡くらいにしかならない。自分だったらある程度の面積のちょっとした場所の不動産を持っていたら売っぱらって、お金を取り崩さずにある程度暮らせるだけを稼いで、どこかのタイミングで移民してしまうかもと思うのであります。

 さて、この新中間層とやら、不動産以外にも投資可能金融資産が家庭平均で108万元もあるとのこと。投資の内訳をみると、なんと不動産がトップ。2件以上物件を持っている人が58%もいるのでこうなるわけですな。そして銀行預金、株式、理財、商業保険と続きます。

 理財商品に対する満足度ですが、不動産がトップ。まあ、ずっと上がってきていますからねえ。

 財産保有に関する満足度、十分満足ととても満足を合わせると61%、そして不通と答える人が36%。普通じゃないって、十分持ってますってば。

 さて、今度な新中間層を世代別で区切ったデータです。70年代生まれ、80年代生まれ、90年代生まれのいずれもIT(科技)/メディア/通信業界の比率が最も高いです。わからんでもない。ITに対する評価が日本と比べると高いということもあるのでしょう。

 新中間層と呼ばれる人たち、非常にリッチなのが良くわかりましたが、言葉に惑わされてはいかんです。2018年の上海の平均賃金は7,832元、そして平均を下回る人のほうが多いと言われており、いいかえると持っている人たちが平均値を引き上げていといえます。7,832元って、年間で93,984元、共働きでかける2として187,968元です。新中間層の家庭平均年間収入の65万元を大きく下回ります。つまり、新中間層は平均的な人たちではなくて、平均よりも大きく豊かな人たちであることを忘れないでいただきたいと思います。

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