労務

中国の都市別の安心できるだけの給与

 給与安全感調査なるものが目に入りました。各々の都市の会社員がどれだけの給与がもらえれば安心感を感じられるのかというものです。年によって収入も違えば支出も違い、そして安全感を感じる収入は支出に左右されるでしょう。この統計は都市別の平均給与、物価上昇及び消費水準に基づいて算出されているとのことです。では見ていきましょう。

 

 上海:9250元

 深圳:8780元

 北京:8550元

 温州:8020元

 杭州:7880元

 広州:7750元

 蘇州:7320元

 厦門:6600元

 青島:6260元

 天津:5350元

 大連:5000元

 南京:5980元

 成都:5660元

 

 上海、深圳、北京が突き抜けていますねえ。上海にいて思うのは確かに物価は高くなってきてます。食品なんかがそうですが、値上げ幅も大きい。昨日とあるところにラーメンを食べに行ってきましたが、なんと15元だったのが21元にまで値上げしてます。絶対額で言えばたったの6元ですが、上昇率で見ると40%です。これまでは日本製品は品質はいいかもしれないけど値段が高いと言って敬遠されていたのが、その価格差が縮んできているので以前よりはチャンスは増えてきているのではないかと。とある台湾系の外食産業の方にも聞きましたが、以前は外国の味覚のまま中国で持ってきた場合成功することはまず難しかったのが、最近では中国テイストのアレンジしないのでも受け入れつつあるようになってきているそうです。もちろん味だけでなく価格面でも受け入れられるようになってきているのでしょう。

 

また、多くの都市で例えば大学同窓会や県人会やらがあったりしますが、これらの参加会費もかなり上がってきています。ちょっと前まではせいぜい200元くらいだったのが、今では250元とか高い者だと350元とかになっていたりします。物価が上がっている中でしょうがないのかもしれませんが、これだとたぶん若い人は参加しづらいのではないかと思います。若いわけではないですが、私も稼がないといけないですね!

労務派遣は無固定期限契約対象外になるのか

 現在作成途上にある《労務派遣規定》、主なポイントは以前にもご紹介しておりますが、同規定において労務派遣には無固定期限契約をあらためて要求しないということが検討されているようです。労務派遣は「臨時的、補助的、代替的」の職種に限定され、これまた決定しているわけではないのですが、派遣比率は10%以内に収めることと合わせると、果たして労務派遣において無固定期限契約が要求されないことにどれだけ使い勝手の良さがあるのかということになりますが、ないよりはましだと考えると企業にとってはメリットと言えるでしょう。一方で、派遣比率10%以内達成のために2年の過渡期間を設けるという見方がありましたが、これをなくすよう意見している人もいるようです。いずれにしても、労働契約法は7月1日から改正施行されており、もう一か月以上経過していることから、もういい加減にはっきりしてもらいたいところですね。

2013年の北京の給与指導ライン

 2013年の北京の給与指導ラインが8月2日に発表されました。給与指導ラインが関係するのは17業種、そのうち最低給与保障ラインは16800元で、これは最低給与1400元を単純に12倍にしたものです。

 

 今年の給与引き上げの指導ラインは基準が12%、上限が16.5%、下限が5%です。もちろんこれはあくまで指導ラインなので強制的なものではありません。とはいうもののこんなのが公になるとこれを根拠に行ってくる従業員も出てくるでしょう。企業からすると大きなお世話で、本来給与と言うのは会社全体の業績や本人の実績に基づいて決めるべきで、こんな指導ラインは「やかましい」存在と言えます。ただし、一点だけなるほどと思うところがありまして、「平均給与が全市従業員平均給与の1.5倍以上の時、その給与の伸び率は適宜引き下げる」と強調しているとのことです。2012年度の北京の平均給与が5223元、これの1.5倍ということは7835元ということになり、会社の平均給与がこれを上回る場合はその伸び率は適宜引き下げるということなので、あまり基準が12%、上限が16.5%、下限が5%の伸び率にとらわれることがないということになります。そこそこ給与の高い人に対してこの指導ラインがそのまま適用されたらたまったものではなく、この指導ラインは給与の低い層を対象にしているということがいえますね。なので、給与の高い人からガイドラインのパーセンテージをよりどころとして交渉されたら以上及び知識を以って対抗しましょう。

本日より改正労働契約法がスタート

 本日7月1日より改正労働契約法がスタートします。主なポイントはいくつかありますが、外商投資企業にとって最も気になるのは派遣会社を通じて派遣を受けている(実質的には雇用している)社員の取り扱いでしょう。派遣会社を通じて派遣を受ける社員は「臨時的・補助的・代替的」な職務に限定されるべきで、しかもその数が全体の一定比率以内に納めなければならないというものです。7月1日よりスタートするにもかかわらず、6月28日時点ではその比率はまだ発表されていません。メディア報道を見ているとこの比率は10%になるのではないかという見方が多いようです。

 

 さて、仮にこの10%がその通りに実行されるとすると、「臨時的・補助的・代替的」な職務に従事する派遣社員が全体の10%以内に収まっていなければならないのですが、この比率を計算するに当たり「臨時的・補助的・代替的」ではなく「補助的」のみに限定し、「臨時的・代替的」についてはこの比率の対象外とするという案があるそうです。これが仮にそうだとして、では「補助的」をどう判定すべきかという議論が出てきて、これについては起草段階におけるもっとも主流な意見が「企業が自主的に定める」というものだったようです。しかしこれだと企業が恣意的に判断することができるので、いちおう制限を設けようという考え方があり、それは労働契約法第4条にある「民主的フローで規定を定める」というものを参照することで対応しようという考え方があるようです。まあ、いずれにしてももうじき出るわけですが、気になると言えば気になりますね。

 

 派遣社員を厳しい規程を機械的に当てはめてしまうと混乱が生じることから、ちょっとした小技で対応できる、ハンドルでいうところの「あそび」の部分がいくつかあると言われています。まず一つ目ですが、既述しましたが「補助的」を企業がどう判定するかという部分です。次に、決まりができてもいきなり完全に対応することは不可能なので、猶予期間を2年くらい設けて徐々に正していくというやり方です。しかし、既に先を見越して面白い取り組みをしているところがあります。派遣社員と使用する企業との間の契約形態を変えてしまうというやり方です。

 

 派遣社員と使用する企業との間の契約形態を変えてしまう方法として、「転正」(正社員に転換)、「転外包」(アウトソーシングに転換)、「辞退」(辞めさせる)の3つの方法です。「転正」を選択する企業はごく少数だと思われます。「辞退」は荒業ですね。そして「転外包」ですが、これが面白い。とある派遣会社が経営範囲をどんどん追加して言っている例があるのですが、「自社のクライアントの業務のアウトソーシング」を経営範囲に追加して行ってるのです。つまり、同じ会社から人が派遣されるのですが、従来の「派遣」ではなく「アウトソーシング」として業務を受注するという形態をとるのです。今のところ「労務派遣」と「労務アウトソーシング」の違いについて法律上は明確になっておらず、そのあいまいな部分をついたやり方ですね。

 

 正式に通達が公布されて初めて今後どうすべきかというのが見えてきますが、すでにいろいろと考えているところもあり、しかも派遣会社が経営範囲にアウトソーシング業務を追加するという結構な変化球も見られています。今後の展開がどうなるか気になりますねえ。

 改正労働契約法の実施が7月1日に迫ってきています。注目は派遣従業員の取り扱い。派遣の定義づけが明確になることによって派遣が使いづらくなることは関心のある方であればすでにご存じのとおりですが、もう一つが派遣従業員の比率ですね。改正労働契約法の中で、「使用単位は労務派遣従業員の総量は一定比率を超えてはならず、具体比率は国務院労働行政部門が規定する。」という一文がありますが、この比率が今もなお発表されていません。議論の中でこの比率の上限は10%とするという意見があるようですが、今のところまだ確定はしていません。人数の多い会社は母数が大きいのでともかく、少ない会社だとある日突然比率を超過してしまう可能性があります。中国では日本よりも人の流動化が激しいので、ある日突然従業員が辞めますというケースも考えられ、それによってその瞬間に比率オーバーしてしまう可能性が生じるからです。やめられてしまうケースもそうですし、やめさせる場合もそうですが、例えば解雇したいと思っている、あるいは契約を終止しようと決めている正規雇用従業員がいたとして、でもその社員がいなくなってしまった瞬間に派遣従業員比率が上限を超えてしまうようであると解雇や契約終止をためらってしまうこともありえます。こういうこともありえますので、派遣従業員の比率が超過した時点で即罰則なのかという考え方に対しては専門家の中には様々な意見があり、超過した時点で期限を切って改善する方法や、過渡的措置として派遣比率が確定したのち、2年以内に徐々にその比率に抑えていく、といった意見も見られております。ただ、この10%をどう算出するのかということ自体にも議論があるようで、会社で働いている人の中には全日制の人もいれば非全日制の人もおり、労務関係の人もいれば、実習生や外国人もおり、母数をどうするのかという議論もあります。

 

 では、仮に10%となった場合どうなるでしょうか。設立したばかりの販売会社であれば従業員5人程度というのはざらにあります。このうちの一人が派遣であればその時点で20%となり、違反ということになります。小さい会社だと派遣は使えなくなってしまいます。10%だと10人以下の会社は一人も派遣従業員に来てもらうことができなくなってしまいます。10人以下でやっている会社なんていくらでもあると思うのですが、果たしてこの比率はどうなるでしょうか。なにせ改正労働契約法は7月1日からのスタートなので、今月中に出ないとまずいですよね。

北京の月間平均給与が5000元を突破

 2012年の北京市従業員の平均年間給与が62,667元、月間平均に引き直しますと5,223元(前年比+11.8%)とついに5,000元を突破しました。2010年から平均給与算出のための範囲を拡大し、それまでの国有、集団、聯営、私営、株式制経済・外商投資及び香港・マカオ・台湾系等の企業(これらを非私営単位という)までから、営業性個人も対象に含めるようになっています。私が1995年に広州にいた時は結構ちゃんとした人でも月収800元というのをよく聞きましたが、ついにここまできましたか。

 

 内訳を見ていきましょう。都市非私営単位と都市私営単位をそれぞれみていきます。

 

 

2011年

2012年

上昇率(物価上昇要素を除く)

都市非私営単位

75,482元

84,742元

+8.7%

都市私営単位

34,235元

42,882元

+21.3%

 

 非私営単位だけを見ていきましょう。

非私営単位

業種

非私営単位

トップ3

金融業

184,612元

IT

130,154元

科学研究・技術サービス

106,604元

ワースト3

住民サービス・修理およびその他サービス業

38,838元

農・林・牧・漁業

39,334元

宿泊・飲食業

42,016元

  一番少ないのでも月間3000元を超えてますね。

 

 私営単位だけを見ていきましょう。

私営単位

業種

非私営単位

トップ3

IT

68,161元

金融業(主として各種保険代理、質屋、投資コンサルティング業)

61,216元

推理・環境及び公共施設管理業

49,671元

 

 要は軒並み人件費が上昇してきているということを言いたいわけですが、このような状況に対して60%の企業が人件費コストが上昇しており(もっと大きい数値でもおかしくないと思うのですが)、41.9%の企業が採用が難しいと感じているとのことです。そして、採用が難しいのにあえて採用しようとすると待遇面で好条件を提示せざるを得ず、これがまた人件費コスト上昇の要因となっています。果たしてこの傾向はいつまで続くのでしょうか。そういえば所得を倍増させようという計画も昨年だったでしょうか、発表されており、まだ縛らうこの傾向が続きそうです。会社を運営する立場としてはそろそろ収まって欲しいのですが。。。

改正労働契約法があと1ヶ月で実施

 改正労働契約法が7月1日より施行されます。この改正で最も大きな話題となったのは派遣従業員の定義が明確になり、明確になりすぎたがゆえに派遣という形式を使いづらくなるのではないかところにあります。あらためて復習しますと、明確になった内容というのは派遣というのは臨時的、補助的、代替的な業務で行われるべきものであるということです。それぞれの定義は次の通りになります。

 

臨時的

継続期間が6 ヶ月を超えない職位

補助的

主要業務を行う職位にサービスを提供する非主要業務の職位

代替的

使用単位の労働者が職場を離れて研修したり、休暇を取得する等の理由で勤務できない一定期間において、他の労働者が代替可能な業務を行う職位

 

 次に、派遣の形式で問題となっているのは「逆向派遣」と呼ばれる形態です。これは使用会社がすでに労働者と事実上の労働関係を構築し、しかし使用会社は労働者と労働契約を締結せず、労務派遣会社を探して労働者と労務派遣契約を締結し、労働者は派遣従業員の名義で使用会社で勤務することを指します。フェスコや中智のような人材派遣会社を経由するパターンがこれですね。非常によくみられるパターンです。しかし、これは厳密には違反だという見方があります。中国では労働契約が基本で、あくまで労務派遣は補充的な形式にすぎず、臨時的、補助的、代替的な業務でのみ適用されるべきという考え方からです。そして、それを判断する基準として以下の三点があげられています。

 

1.労働者が労務派遣会社と契約を締結する前に、既に使用単位で勤務していたか否か。

2.労働者と労務派遣会社が自由意志であるか否か、使用単位の強制を受けたか否か。

3.労務派遣の職位が臨時的、補助的、代替的に当てはまるか否か。

 

 労働契約法の条文を厳しく解釈するともう派遣形式はほとんど使えなくなるなあと感じる人が多いでしょうし、私もそう思います。今のところまだスタートしているわけではなく、7月1日から施行されてからどのように運用されるか様子を見ていこうという人が多いでしょう。

 

 派遣形式が使いづらくなることに対してどのようにリスクヘッジばかりを考えているところが多いのではないかと思いますが、そんな小手先のことでなく、労働契約法をのものを受け入れて、それに基づいて会社としての人事制度・労務管理を行うのが本来あるべき姿ではないかと思います。

総経理になると人格が変わってしまうケース

 いつも読んでくださっているマニアの方々、ありがとうございます。書いている本人は多くの人に見てもらうつもりで書き始めたのですが、どうも読者はマニアックな方が中心だということが最近分かってきました。まあ中国ネタにほぼ限定して、しかも非日系に関する情報の比率も高いのでマニアックにもなりますね。さて、今日の話題は「総経理」についてです。

 中国の現地法人に駐在される駐在員は日本本社勤務の人が派遣されるのが通常です。最近では人材のグローバル化も進んできており、日本採用の外国人も増えてきています。ただし、日本採用の外国人にも二通りあり、日本育ちでアイデンティティが限りなく日本に近い外国人と、あとから日本にやってきた外国人、端的に言えば日本留学してそのまま日本に住み着いた外国人で、こういう人たちのアイデンティティーは日本にはあまりないでしょう。そして現地の総経理として派遣される人の中で後者のアイデンティティーが日本にはない外国人、中国の現地法人だとアイデンティティーが日本にない中国人が派遣されるケースがあります。そもそも中国人だし、言葉も当然できるし、その辺の日本人よりよっぽど中国のことをわかっているからという理由で選ばれていると思うのですが、こういう理由で選ぶというのはよく理解できますし、ありだと思います。しかし、こうした「アイデンティティーが日本にない中国人」が困った存在になるケースはよく聞きます。

 アイデンティティーが日本にない中国人も駐在員として派遣されるくらいですので、日本本社でも非常によく働く真面目な社員であるのは間違いないと思うのですが、どういうわけか中国の総経理として派遣されると「人が変わってしまう」ケースがあります。誤解のないように付け加えますともちろん全員がそうなるわけではありません。ただ、よく聞こえてくるのです。前職時代にあった話ですが、とある現地法人の副総経理の依頼を受けて私の上司がその会社に行ってきたところ、なんとその会社の総経理はつくえの上に足を乗せたまま話してきたそうです。あり得ない話です。こういう人なので当然問題で、だからこそ副総経理は社内を何とかしたいという思いからコンサルティング会社に来てもらったのですが、それにしてもびっくりです。不満に思う人は当然たくさんいるわけですが、現地の副総経理レベルが日本本社に総経理に関する不満を伝えても日本本社の方から言い返されてしまうそうです。なぜならば、そういう総経理は往々にして日本本社の偉い方とつながっていて、それこそ不満を伝えようものならかえって自分の身が危うくなってしまうのです。で、結局誰もそういったふるまいを止めることができず、現地で総経理は好き放題してしまうというパターンですね。結局この時の話は総経理がコンサル会社なんて全く必要ないということで、現状を変える機会にすることはできませんでした。

 この手の話は今でも時々聞こえてきます。先日も知人と話していたところ、現地に派遣された日本採用の中国人総経理の話になりました。なんでも日本にいるときは非常にまじめに働いていたのですが、現地に行ってからはやるべきこともちゃんとやらず、周りがとがめると露骨に嫌がったりして、非常に困っているという話です。私が、「派遣されてからその人は人が変わったでしょ」、「本社の偉い方にかなり気に入られている人でしょ」というと、まったくその通りですという返事でした。なにせ偉い方に気に入られていることもあって周りがおかしいと言っても受け入れられないのです。現地では総経理という権限も持っているだけにたちが悪い。まさにアイデンティティーが日本にない中国人の悪い意味での典型的な例と言えるでしょう。

中国税務当局によるPE認定が大幅に厳格化か

 個人的にインパクトが大きいと思いましたので、普段会社のウェブサイトにアップしているニュースレターの内容を転載します。

 

 2013年4月19日付で、《国家税務総局:非居住者企業派遣人員の中国国内における役務提供で徴収する企業所得税に関する問題についての公告》(国家税務総局公告2013年第19号)が公布され6月1日より施行されることとなりました。

 

 本公告は《中華人民共和国企業所得税法》及びその実施条例、中国政府が署名した二重課税回避協定(香港、マカオ特別行政区との間に署名した税収協定を含む。以下「税収協定」という)及び《国家税務総局:〈中華人民共和国政府、シンガポール共和国政府における所得に対する二重課税回避及び課税漏れ防止の協定及び議定書条文解釈〉印刷配布に関する通知》(国税発[2010]75号)等の規定(いわゆる租税条約)に基づいたものとなっており、非居住者企業(以下「派遣企業」という」)よりの派遣人員が中国国内役務提供するにあたってのPE認定について説明するものとなっています。

 

 

1.PE認定

 派遣企業の派遣人員が中国国内で役務を提供するにあたり、以下に該当すれば派遣企業は中国国内にて機構、場所を設立し役務を提供したとみなされます。

(1)

 ・派遣企業が派遣人員の業務結果に対し一部もし

  くは全部の責任とリスクを負担。

 

 派遣企業は中国国内にて機構、場所を

 設立し役務を提供したとみなさなけれ

 ばならない。

 ・派遣企業が通常的に派遣人員の業務成績を考

 査、評価。

(2)

 ・派遣企業が税収協定の締結国に属する企業。

 且つ、

 ・役務提供をする機構、場所が比較的固定性なら

  びに持久性を有している場合。

 当該機構、場所は中国国内に設立され

 た常設機構を構成するものとする。

 

 

 (2)についてはそもそも固定的施設を有しているということなので常設機構、すなわちPE認定されるというのは理解できます。

 しかし、(1)については解釈に仕方によっては余りにも厳しいと言えます。技術派遣のケースと駐在員のケースについてみていきます。

 まず、技術派遣についてみた場合、「派遣企業が派遣人員の業務結果に対し一部もしくは全部の責任とリスクを負担」するのは当然なのですが、これだとPE認定されてしまいます。次に、二つ目の駐在員のケースですが、親子会社であれば独立採算性とはいえある程度「派遣企業が派遣人員の業務結果に対し一部もしくは全部の責任とリスクを負担」するようなケースもあるでしょう。さらに、「通常的に派遣人員の業務成績を考査、評価」に至っては、駐在員の人事は本国の本社で管理しているところが大半かと思いますが、それすらもPEとみなされると読み取れてしまいます。そのため、ここでいう「通常」というのがどの程度なのかという問題が出てきます。ここでいう「通常」が日常的と同義であれば本社が節目節目で人事管理をしていても大丈夫かと思われます。保守的な対応としてはPE認定を避けるために本社が駐在員の人事管理を行わないようすることが考えられますが、現実的にはありえないでしょう。

 

 また、上述の判断を行うにあたり、以下の要素と合わせて確定するものとされています。

 

要素

筆者の推測

1    

 役務を受け入れる国内企業(以下「受入

 企業」と総称)が派遣企業に対し管理費、

 サービス費の性質を有する金額を支払っ

 ている

 管理費、サービス費という名目はかなり広範囲に

 解釈することもできることから、かなりの混乱がも

 たらされることが考えられます。

2     

 受入企業が派遣企業に対し支払う金額

 が、派遣企業の立替金、派遣人員の賃

 金、給与、社会保険費及びその他費用の

 立替払い額を上回っている。

 受入企業が派遣人員に対するコスト以上に派遣

 企業に対して支払いを行うことが、派遣企業の利

 益につながるという考え方によるものと思われま

 す。

3    

 受入企業が支払った関連費用を、派遣企

 業は派遣人員に対し全額支払わず、一

 定額の金額を留保している

 派遣人員に対するコストを派遣会社が負担しきっ

 ていないことが、派遣会社の利益につながるとい

 う考え方によるものと思われます。

4     

 派遣企業が負担する派遣人員の賃金・

 給与全額について中国で個人所得税を

 納付していない

 租税条約締結国であれば183日以下の短期滞

 在者免税規定があります。駐在員の場合は一般

 的に中国で個人所得税を納付していることから左

 記の要素にふれることはありません。しかし、技

 術派遣やコンサルティングで短期間派遣された人

 員の場合、PE認定されない限り中国で個人所得

 税を納付しないのが通常ながら、それを判断要

 素にするという点に違和感が感じられます。

5     

 派遣企業が派遣人員の数、任職資格、

 給与基準及び中国国内における作業場

 所を決定している

 派遣企業が中国で業務を行っているのに等しい

 という考え方によるものと思われます。

 

 以上の規定に合致する派遣企業は正確に取得した所得を計算して企業所得税を申告、納付を行う必要があります。事実通り申告出来ない場合、税務機関は関連規定に従いその課税所得額を査定することができます。

 

 また、以上の規定に合致する派遣企業及び受入企業は《非居住者請負工事作業と役務提供税収管理暫行弁法》(国家税務総局令第19号)の規定に従って税務登記、備案、税務申告及びその他税関連事項の手続きを行う必要があります。

 

 

2.PE認定されないケース

 派遣企業が受入企業への株主権利行使、合法的な株主権益保障のためのみに人員を派遣して中国国内で役務を提供する場合は、当該活動が受入企業営業場所にて行われたからといって派遣企業が中国国内にて機構、場所あるいは常設機構を設立したとは認定されません。なお、ここでいう役務とは、派遣人員が派遣企業のために受入企業投資に対する関連提案を行ったり、派遣企業を代表し受入企業株主総会もしくは董事会へ参加したり等の活動を含みます。

 

 

3.重点的な審査内容

主管税務機関は派遣行為に対する税収管理強化を強化し、重点的に下記の派遣行為と関連する資料及び派遣アレンジの経済実態と執行状況を審査し、非居住者企業の所得税納税義務を確定します。

 

 1  派遣企業、受入企業と派遣人員との間の契約協議または約定。

 2  派遣企業あるいは受入企業の派遣人員に対する管理規定(派遣人員の職責、業務内容、業 務

     考課、リスク負担等の方面の具体的規定を含む)。

 3  受入企業の派遣企業に対する支払金及び関連帳簿処理状況、派遣人員個人所得税申告納 付

     資料。

 4  受入企業の相殺取引、債権法規、関連取引あるいはその他の方法を通じた隠蔽性支払と派遣

     行為関連費用の有無。

 

 これを見る限りでは、受入会社は派遣会社から完全に独立していることを各種資料・規定を以って証明し、むやみに経費の立て替えや相殺を発生させないようにすることで税務局の審査に備える必要があるといえます。

 以   上

 

 ということで、とにかく凄いことを書いてます。条文通りに適用されるのであれば非常に厳しいなあと思いました。「少しでも中国ビジネスに関わったら税金取るぞ!」と言わんばかりです。ただでさえ理不尽なPE認定があるといわれているなか、これが本格的に始まるとさらに大変になりそうです。

 

 会社のウェブサイトには訳文も掲載しましたのでご参考ください。こちらです。http://www.tnc-cn.com/tnc/68.html

珠江デルタ、上がり続けるワーカーの人件費

 珠江デルタの302社の企業に対すスタンダードチャータード銀行の調査によりますと、2013年の農民工の給与増加率は9%以上と、昨年の7.6%を上回るという結果が出ています。

 

 302社のうち、80社(60%)がすでに給与を引き上げており、引き上げ幅は平均で7.9%となっています。そして36社(12%)が昨年より労働力不足の状況は改善していると回答しているものの、34%の企業が2011年から労働力く不足の状況がどんどんひどくなっていると回答しています。

 

 第十二五次五か年計画では、全国の最低給与標準の変換平均増加率を13%以上とし、地方は状況に応じてもっと高い標準を設定できるとしています。多くの企業が五か年計画以上の引き上げを行っていますが、103社の企業は最低給与標準が引き上げられていなくても給与を上げていると回答しています。最低給与標準も大事ですが、それとは関係なしに給与増を迫られている状況ですね。

 

 さらに多くの企業が過去6か月以内に工会(組合)または従業員代表と正式な給与協議を行っており、60%以上の企業が5%~10%の日聞き上げを要求され、32%の企業が10%~20%の引き上げを要求され、それ以外は20%以上の引き上げを要求されています。あまりにも激しいです。

 

 こんな状況なので珠江デルタから出ていこうという選択当然出てきており、91社(30%)が内陸への移転を計画、27社(9%)が中国から出ていくと回答しています。また、広西と珠江デルタの給与差は30%もあることから、広西へ移転するという回答も多いです。5年くらい前から来料加工に対して政策的に締め付けが厳しくなってきましたが、その時点で広西に移転してしまった香港・台湾系は結構あります。動きが速いなあと思ってみていましたので印象に残っています。中国国外で最も注目されているのはカンボジア、それ以外だとバングラデシュとベトナムです。日本で言われているのと変わらないですね。

 

 業種にもよると思うのですが、カンボジア、バングラデシュ、ベトナムって実際のところどうなんでしょう。アパレル会社の中にはベトナムは既に過去の国と言い切り、それこそカンボジア、ラオス、ミャンマーと言っているところがありますが、他産業も全く同じと言い切れるのでしょうか。日中間の政治的関係が発生してからより一層注目を浴びるようになったプラスワンですが、まだまだ中国生産の方が全体的に見て効率がいいという人もおり、プラスワンばかりに目が行っている人も現地のインフラや産業集積度の状況を見て、また中国を選択するという人も出てくるのではないかなあと思えますし、今から進出する製造業でも中国生産を検討しているところもあります。中国国内販売を目的としている企業なんかは特にそうですよね。トヨタなんてレクサスの中国生産を検討し始めましたし。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD2102K_R20C13A4TJC000/

 

 なんとなくプラスワンの流れもどこかでひと段落してまだ中国回帰の動きがきそうな気がします。もちろん業種によるとは思いますが。