労務

不動産賃貸を通じての横領

 知り合いの不動産仲介業者から聞いた話ですが、中国に駐在している人で自分が住んでいる物件を通じてお小遣い稼ぎをしているケースがあります。もちろん自分の物件を人に貸して賃料をもらうのは羨ましく思われるとはいえ後ろ指を指されることではありません。もっと別のスキームです。ちょっと具体的に見ていきましょう。

 

1.自己保有物件を賃借

 駐在員自身が物件を持っていてそこに住むのですが、不動産仲介業者とつるんで貸主不動産仲介業者、借主駐在員という形で賃貸契約を締結するパターンです。これによりどうなるかというと、例えば家賃2万元として会社に申告すると、会社は契約書はインボイスを基にその2万元を経費処理します。経費処理するということは貸主にその2万元を支払うということです。ここから先がポイントです。貸主である不動産仲介業者は実は駐在員と別途賃貸契約を交わしており、その契約書上で不動産仲介業者は借主、駐在員は貸主となっているのです。ということは、不動産仲介業者に入ってきた2万元は(幾分かマージンを抜かれた後)、駐在員の懐に入ります。住宅を持っていない人に対しては住宅手当が出ているのに対して、住宅を持っている人に対してはそういう福利厚生がないことから、一見許されそうにも見えますが、やはり会社のコンプライアンス上はまずいと言えるでしょう。これを未然に防ぐケースとしては物件の権利証を確認するということですね。まあ、自分の物件を持っている人はそれほど多いわけでもないので、あるとしてもレアケースだとは思います。

 

2.大家とつるむ(その1)

 これはもっとシンプルですし、発覚しにくいがゆえに結構多いかもしれません。例えば本来は2万元が妥当な水準の物件があるとします。これに対して駐在員が大家に契約書を25000元で締結するように話を持ちかけます。会社は契約書を信じるので、それに基づいて支払いを行います。25000元と2万元の差額部分5000元が発生しますが、これを駐在員が懐に入れるというやり方ですね。これは対外的にはちゃんと契約書を締結しているので非常にわかりにくいと思います。いちいち大家にも聞いていられないですしね。

 

 

3.大家とつるむ(その2)

 これは基本的には先ほどのケースと同じです。KTVのホステスの小姐が持っている物件に住む(同棲のケースもありそう)ケースです。ホステスの稼ぎがいいとは言っても、実際に住んでいるところはせいぜい2000-4000元程度のところではないかと思います。ここでは中を取って3000元としましょう。実際は3000程度の価値のところなのですが、この駐在員は小姐と15000元の契約書を作成します。会社としては15000元という金額には違和感を覚えませんので、契約書に基づいて支払います。この場合、駐在員自身は自分の懐にはお金が入りませんが、実質的には会社の金を使って小姐に貢いでいることになります。この場合、権利証を見たからと言って不正がわかるわけでもないですし、いちいち住んでいるところまで見に行くこともしないでしょうから、やはり発覚しづらいと思われます。ただ一点挙げるとすると、なんでこのエリアで家賃がこんなにするのだろうかと気づく人がいるかもしれないという点です。

 

 以上のケース、どれをとっても会社的には横領に該当するのではないかと思います。まあ、1のケースに関しては物件を持っていない人に対しては家賃が補助されるのに対して、物件を持ってしまったがゆえに何も補助されないとなるとかわいそうにも思いますが、会社の現在のルールではそういう補助はおそらく想定していないでしょうから、ルール上は横領になってしまうでしょうし、まあばれないように契約書を締結している時点で悪意があるでしょうから、やはり結論としてはダメということになるでしょう。個人的には物件を持っている場合は賃貸と同じ程度とまでは言わないものの、少しくらいは補助してあげたらいいのではないかと思います。

 

 いずれの手口も中国で見られるケースですが、別に中国だけではなくほかの国でも考えられるケースなので、内部管理を行っている人は参考にしてもらいたいと思います。ひょっとして不正を行おうとする人の参考になったりして。

広東省で労働者に対する罰金が禁止の方向へ

 広東省で労働者に対する罰金を禁ずる条例の公布が検討されています。《広東省労働保障監察条例(改正草案)》の中で、「雇用者は規章制度を制定する等の方式を通じて労働者に罰金経済処分を実施する場合、人力資源社会保障行政部門が期限を切って是正を命じる。紀元を超えて是正されていない場合、一人当たり2000元以上5000元以下の標準で処罰を行う。労働者に損害をもたらす場合、賠償責任を負わなければならない。」という文言が入っており、これが成立すると労働者に罰金を科すことができなくなってしまいます。以前は罰金を科す場合の根拠が一応存在しており、1982年に公布された《企業従業員賞罰条例》という行政法規の中で、「従業員がしばしば遅刻、早退、無断欠勤、仕事を怠ける場合、雇用者は経済処罰を科してよい」というルールが存在していたのですが、同条例は2008年に廃止されてしまい、全国的なルールとしては罰金を科す根拠というのがなくなってしまってます。しかしながら、実務上の必要性から企業が罰金を科すことに対して地方性法規が公布されているような地域もあります。例えば、2008年に施行された《深セン経済特区和諧労働関係条例》において、雇用者は従業員に経済処罰を科することができるが、同時に処分金額は労働者の当月給与の30%を超えてはならないというものがあります。深センも広東省なので、冒頭に紹介した改正草案が通過してしまうと罰金制度を維持することができなくなってしまいます。そもそも《企業従業員賞罰条例》が廃止された時点で罰金制度そのものが本来はもうダメなのではありますが。

 

 罰金制度とだけ聞くと印象は悪いですが、ワーカーの職務意識に対するレベルの差が激しいためオペレーション上はあった方がいいと思います。上海界隈でも罰金制度がある工場は結構あると思います。私が過去接した日系工場で導入しているところはありましたし、管理者として効果はあると認識されていました。2008年よりスタートした労働契約法もそうですが、従業員のレベルが一定以上であればともかく、そうでない現状においてかなり労働者寄りに作られている感は否めず、今回の改正草案もまたしかりです。改正草案が実現してしまうと企業にとっては労務管理が今までよりも大変になってきそうです。

京の賃金トップの業種は不動産ディベロッパー

 北京の今年の給与指導ラインが発表されました。この指導ラインは北京の17の業種の生産経営が正常で、利益能力が良好な企業の2011年の販売収入、従業人員労働報酬等のデータに基づいて整理したものです。

 

 

 多くの業種で賃金が上昇していますが、不動産ディベロッパーが相変わらずのトップで、平均月給は102,191元、年収で10万元を超えている唯一の業種です。これはスーパー小売業の3.67万元の3倍近くになります。スーパーの場合は配置されている部署によっては給料が安いでしょうし、不動産ディベロッパーはオフィスワーカーが多いでしょうからこういった差につながるのでしょう。上位の業種を見ると出版が2位で、ネット関係が3位となってます。出版って結構いいんですね。小売業は平均賃金に対して一人当たり売上額が大きい、つまりコスパがよいとも指摘されています。票を見ると確かにそうなりますね。しかし、この指導ラインというのも困ったものですねえ。構成力があるわけではないのですが、こんなものがお上から出されるとこれにかこつけて昇給を言ってくる人がいるに決まってます。企業の自主判断に影響するという意味で、個人的には好きになれない指標です。まあ、企業からすると「自分たちでちゃんと考えて決めるから放っておいてください。私たちも大人なので自分のことは自分で決めます。大きなお世話です。」といったところでしょう。

 

 ところで、平均給与のトップ業種は不動産ディベロッパーなのですが、なんだかんだ言ってたくさん給与を出せるということは調子は悪くないのでしょう。不動産バブルがはじけると言い続けている人がいますが、上海で10年ほどいますがこの間に不動産バブルがはじけるなどということはさんざん聞いてきました。確かにやばいと思ったこともありますが、なんだかんだ言って戻してきています。今となっては不動産バブル崩壊というのは狼少年的な感じがします。でもいつかは不動産市場も落ち着くので、その落ち着き方がちょっと下げ幅の大きいものだったりすると「私が言っていた通り不動産バブルは崩壊したでしょ」という人も出てくるんでしょうねえ。何年も言い続けてればそりゃあそのうち当たるときも来るでしょう。時期をピタリと当てるとすごいと思いますが、そんな人はなかなかいないでしょう。そういう意味でそういった発言は「読み物」として面白くは読ませてもらってます。まあ、私はマクロの研究家でもないのでこの手の予想を聞かれても困るのですが、感覚的にはやっぱり狼少年的な印象がぬぐえないですねえ。

求人広告で発展空間をアピール

 facebookに何気にアップした写真に結構反響がありましたのでここでもアップします。

 写真は蘇州の街歩きをしている時に見つけたユニクロの求人広告です。スタートは2500元からと大した給料ではなく、それだけだと魅力に感じないでしょうが、どれだけの期間を経過すると等級が上がり、要するに給料も上がるかを示しています。いわゆる昇給・昇格プランですね。この広告だとそれがP1級からP4級まで最短で15カ月で到達するということがわかります。P4級に達しますと最短6か月でさらに昇格し、今度は「店舗管理組」、「品牌店店長」、「さらに大きな発展空間」というように、より上のレベルでの仕事へのステップアップの可能性を視覚でアピールしています。あえて気になる点といえば最初の15カ月でたどり着く給与が3700元という水準であることと、その後の6か月を加えた合計21か月を経てようやく「店舗管理組」というポジションにたどり着くまでの期間を長いと感じる人がどれだけいるかという点でしょうか。しかしながら、このような社内でのステップアップがわかりやすく紹介されているのはしばしば「発展空間」という言葉で将来のキャリアアップを渇望する中国人には受けがいいと思います。いい見本と言えますね。

 

各地の平均給与

 2011年の都市で勤務している従業員の平均給与が発表されました。第1位が北京の4672元/月、その次が上海で4331元/月で、最下位は甘粛省で2742元/月という結果です。

 国家統計局のデータによりますと、2011年の全国都市非私営業単位在職従業員の平均年間給与は42452元で2010年の37147と比べて5305元、伸び率にして14.3%も伸びています。物価上昇要因を除いたとしてその伸び率は8.5%に達しています。全国平均の42452元を上回っているのは北京、上海、浙江、江蘇、広東、寧夏、青海の7つで、北京と上海は5万元の大台を突破しています。  伸び率8.5%より下回っているところとしては陕西(7.7%)、重慶(7.6%)、広東(6.3%)、河北(6.3%)、広西(1.54%)の5つの省があります。逆に伸び率の大きいところとしては福建(19.4%)、海南(18.3%)、江西(17.1%)がトップ3です。寧夏と青海が平均を上回っているのがクエスチョンマークですが、統計数値を出す際に国有企業、城鎮集体単位及び聯営経済、株式制経済、外商投資経済企業のみが含まれており、収入の低い私営企業と個体工商戸(営業性個人)は除かれておることが原因のようです。そう考えると、この数値に肌感覚で納得いかない人もいるでしょうし、果たしてどこまで正確なのだろうかという問題にもつながってきますね。

 

いまだにあいまいな派遣

 《労働契約法》の改正案がここ最近審議されていますが、注目されている改正点としては、

(1)労務派遣における臨時性、補助性、代替性等の「三性」の境界
(2)規定に違反して労務派遣行為を乱用する行為への処罰の程度
この二つです。

 日系企業の場合、労務派遣を「活用する」使い方をしているケースが大半で、「濫用」しているケースはあまり聞かれないことから、ここでは「三性」について考えてみましょう。

 「三性」の一般的な定義は次の通りです。
 臨時性:使用者の勤務ポストの存続期間が6か月を超えない。
 補助性:使用者の勤務ポストが主営業務単位ではない。
 代替性:使用者の従業員が一時休職して勉強する、休暇を取る等の原因で当該勤務ポストで勤務できない一定期間について、派遣される労働者が代替的に勤務することができること。

 ところが、この「三性」は強制的な解釈というわけでもないため、現状維持を望む声に押されてうやむやになっているような状況にあります。

 現状維持を望むのは覇権を活用する企業側はもちろんですが、派遣会社側も現状維持を望んでいます。派遣が「三性」に限定されてしまうと派遣対象が大きく減少し、ビジネスが大きく減少することにつながってしまうからです。

 労働契約法が施行されたのが2008年1月1日ですので、もう4年半が経過しています。当初から話題になっていた派遣の問題は今でもこんな状況で、バシッと明確な線引きができていないのは相変わらずです。こんなんだったら最初から派遣を縛るような文言なんて入れな狩ればよかったのにと思いますね。

《労働契約法》改正法案(意見募集稿) ~労務派遣は今後どうなるのか~

 《労働契約法》の派遣社員に関する部分について改正を行うという話題が以前からあったが、どうやらそれも3月末に完成し、現在関連部門等に意見をうかがっている段階にあるようです。

 派遣社員に関する問題としては派遣社員であるがゆえに正社員と待遇が大きく異なることが問題になっていました。しかしながら、このような問題を起こしているのは中央企業が多く、日系企業にとってはあまり関係のない話であります。日系企業にとって関係あるそうな話としてはやはり派遣社員の定義についてです。現行法令の派遣社員の定義は次の通りです。

 労働派遣は一般に臨時性、補助性または代替性のある勤務ポストで実施される。

 ポイントは「臨時性・補助性・代替性」の3つのキーワードですが、現在はこの辺りがうやむやのまま、ごく一般の社員についても労働派遣形式で勤務している人は少なくありません。いちおうこれらキーワードのそれぞれの意味するところはおおよそ次の通りです。

 

臨時性・・・雇用単位の勤務職位の存続時間が6か月を超えない。

補助性・・・雇用単位の勤務職位が非主営業務単位である。

代替性・・・雇用単位の従業員が休暇等の原因により勤務できない一定期間を代替。

 

 そして、今度の改正で労務派遣の定義が次のようになる方向にあるようです。

 労働派遣は臨時性、補助性または代替性のある勤務ポストで実施される。

 

 現行との違いは「一般に」という用語がなくなっている点です。「一般に」という用語がなくなることでどんな影響が生じるかが日系企業にとっては気になるところです。「一般に」がなくなることで、「一般的にはこうだよ、でもね・・・」という意味合いから「こうなのです」と言い切ってしまうように感じられ、「とにもかくにも臨時性、補助性、代替性だけが労務派遣の対象だ」ということになると、派遣形式の使い勝手が悪くなってしまいます。あくまでネガティブに考えてみただけなのですが、そうなってしまう可能性も否定できず、結構気になるところです。

《女性従業員特殊労働保護条例(意見募集稿)》

 昨年11月に《女性従業員特殊労働保護条例(意見募集稿)》というものが発表されておりますが、これが今採集の修正段階に入っていまして、今年上半期には国務院より正式に公布されることが見込まれています。

 意見募集稿の段階で注目された点としては、国際労働機関(ILO)の規定を参照して、産休を90日から14週に増加し、あわせて流産による休暇について細分化されています。また、女性従業員が生育保険に加入していない場合、雇用単位により支払うものとすると明確にされている点です。

 産休が90日から14週に増えるのはたかだか8日間なので大きく影響はしないでしょう。

 流産の場合、現行規定では病院の証明書に基づいて一定期間の休暇を与えるという決まりがありますが、意見募集稿では妊娠4カ月未満の流産(人口流産を含む)の場合、2週間以上の休暇、妊娠満4カ月の流産だと6週間以上の休暇という文言が含まれています。

 私は男性なので流産というものがどれだけ身体的な負担が大きいかわからないのですが、4カ月未満の場合だと段階によって身体的負担は結構違うのかなあと思ったりしてます。この辺りそんなことないよということであればご指摘いただきたいのですが、早い段階で人口流産という方法を選択した場合も2週間以上の休暇だとちょっと多いような気もします。逆に言えばそんな早い段階でわかるということがあまりないのでしょうか。それと、既婚者はともかく未婚者の場合だと申告しにくいのかなあとも思います。色々と思い目ぐさせましたが、流産自体がそもそもそんなに頻繁に起こることでもないのでそれほど心配する必要もないでしょう。

中国のMBA

 近年中国のMBAの学費がもの凄い金額になっているというのは以前にも書いたことがあります。国内一流どころのビジネススクールのパートタイム(仕事しながら勉強)の学費が40万元近くに達しているものもあります。それなのに申込者は増えていってるのです。いくつかの観点から見ていきましょう。

 

1.     学費

 まず中国EMBAの学費ランキングトップ5を見てみましょう。

  1.長江EMBA:65.8万

  2.清華EMBA:56万

  3.中欧EMBA:53.8万

  4.上海交大安泰EMBA:53.8万

  5.北大光華EMBA:53.8万

 凄い金額ですねえ。この学費は急激に上がってきているのです。下のグラフを見るとよくわかります。10年前と比べてざっくり2-3倍に跳ね上がっています。でもひょっとすると不動産の値上がりほどではないかもしれません。

  

 トップ5は全部50万元以上です。全体的な物価水準等を考えるとこれはもう尋常じゃないでしょう。申し訳ないですが、勉強する場所というよりは人脈を作る場所という位置づけで見ている人が多いですので、いわゆる勉強で学んだことはどこまで生かせるのかというとちょっと疑わしいですね。そもそも勉強している人自体がそこで得られる人脈に期待している人が多いので、まだまだ勉強よりも人脈の方が大事だと思っている人が多いかもしれません。お金持ちの親が自分の子供を有名大学に入れることにあまり意味を感じていない人も多く、それはなぜかというと親は以前大学で勉強してきたけれどもお金持ちになったのは大学で勉強してきたことと関係なく、むしろ別のポイント(人脈かな?)の方がよっぽど貢献しているという考え方から来ているものです。それはわからなくもないですし、人脈もない寄り合った方がいいとは思うのですが、経済的にも依然と比べてスマートになってきている中で人脈を前面にアピールするのもいかがなものかと(もちろん人脈を全否定するつもりは毛頭ありません)思うのであります。そういう意味では中国人よりも外国人の方が勉強熱心なのではないでしょうか(個人的推測)。 

 

2.給料

 フルタイムのMBA卒業生の5年後の平均給与は41.6万元に達しており、これは入学前の4.5倍にもなります。卒業後の給与の伸び率は17%にもなります。パートタイムのMBA卒業生に入学した卒業生の5年後の平均給与は34.4万元に達しており、これは入学前の2.8倍にもなります。そして、卒業後の給与の伸び率は12.6%になります。学費はめちゃめちゃ高いですが、それなりのリターンがあるといえるでしょう。これは平均値ですが、学校別でみる戸すさまじい数値があらわされており、中欧の2007年のフルタイムMBAの卒業生は入学前後で比べると給料が156.8%も伸びており、その後もなお14.1%の伸び率を維持しており、卒業後5年でのリターンは97.1万元にもなります。他の学校もすごいのですが、ちょっと数が多いのでここでは割愛します。

 

3.職位

 収入が上がっている以外に、職位にも変化が現れています。MBAの勉強する前はわずか10.7%が高級管理者(総監以上の職位)しかいなかったのが、卒業後1年でこの数値が22.4%、卒業後5年には32.3%にも達しています。

 

4.就職業界

 お金と職位以外だと働く業界にも影響が生じています。ビジネススクールで勉強する前は金融業界で働く人は9.2%しかいなかったのが、卒業後1年でこれが14.7%に増加しています。やっぱり中国でも金融は人気なんですねえ。なお、勉強する女性も増えており、2007年の卒業生は19.1%だったのが、2011年には26.9%と大幅に増えています。

 

 以上、4つのポイントで見てきましたが、2007年と2011年を比較する表を作ってみました。 

 

2007年

2011年

フルタイム

パートタイム

フルタイム

パートタイム

入学前平均給与及び卒業後給与伸び幅

9.3万元

94.2%

12.2万元

51.5%

14万元

57.5%

16.6万元

44.8%

入学前平均勤務年数

6.3年

7.3年

5.8年

7.7年

 2011年は2007年と比べると給与の伸び幅は大分下がってきているんですね。まあ、2007年よりも2011年の方が給与のベースが上がってきたということなのでしょう。しかしそれにしても学費の高さがすごいですね。日本だとMBAの勉強したくらいでこんなに待遇が変わるんですかねえ?さすがにここまで変わらないですよねえ?

外資系企業の初任給の伸び幅と離職率が高すぎ

 中欧博尔捷という会社が発表したところによりますと、2012年の大学卒業生数が過去最大の700万人を突破するそうです。そして調査対象の1079社の企業のうち、83%の企業が新卒の採用を選択し、また大学生全体の初任給の伸び率も15-20%に達しているということです。

 

 2011年の新卒の平均初任給は2010年と比べて10-15%伸び、2012年については次のような感じとなっています。

 大科:2212元(+18%)

 本科:3059元(+15%)

 修士:4699元(+15%)

 博士:8650元(+20%)

 これは全国の大学生の平均なので、地方によってはこの金額は大きく変わってくると思います。

 

 上海について見ていきましょう。とある調査会社が2011年の上海の外資企業の給与状況について調べたところ、2011年の新卒の初任給の伸び幅は大きく、2010年と比べて17.25%も伸びています。そのうち、本科生の初任給が前年の2864元から3358元にまで上がっています。コストがこれだけ上がってもちゃんと仕事してくれてちゃんと続けてくれればいいのですが、気になるのが離職率です。離職率のトップ3は広告(47%)、医薬(44%)とインターネット業界(41%)です。募集の不足率が高い業界はインターネット(42%)、物流(35%)、販売会社(35%)となっています。しかしトップ3だけ抜き出しているとはいえ離職率がとにかく高い!トップ3はいずれも40%以上です。ちょっとありえないですねえ。いくら転職が多いと言ってもこれはちょっと。転職が多いのは今に始まったことではなく、ずっと以前からあった問題であり、それをなんとかしようと多くの会社が悪戦苦闘してきていますが、それでもなおこの結果を見ると、かなり能力の高い人間を雇用し続けるか、離職率が高いのを全体に組織を組む方向に行かざるを得ないように思います。あくまで理論ではありますが。まあ日本でも外資系企業の離職率は一般企業よりも高そうなイメージがありますが、上海でも同じということなんでしょうか。