呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国を中心としたビジネスの最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社 TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

偽通達

 先日(8月15日)ちょっと変わった通達が公布されました。《国家税務総局:ある者が47号公告を偽造したことに関する声明》という通達です。47号公告とは《国家税務総局:個人所得税改正の若干問題の規定に関する公告》((2011年47号)というもので、賞与の個人所得税の計算方法が変更になったというものですが、これがおそらくネット上だと思うのですが発表され、ご丁寧にも解説までされていたというものです。これに対して国家税務総局がそんな通達は出しておらんという冒頭の通達が出されたわけです。要するに偽通達が出回ったということですね。今回国家税務総局がわざわざこんな通達を出したのは影響力が大きかったからではないと思われます。新聞記事にまでなったくらいですから。メディアもいっぱい食わされたわけですね。

 

 振り返ってみますと、最近確かに役所のオフィシャルサイトよりも早くどこかしらで通達がアップされるケースが多いように思います(たどっていけばおうおうにして見つかるのですが)。中にはオフィシャルサイトで発表されないものもあります。そのため、今回のような国家税務総局のオフィシャルサイトでアップされていなかったものでも、内容的に「それらくい」、「もっともらしい」ようなものだと確かに引っ掛けられてしまうかもしれません。私はたまたま新聞で掲載されたこの記事を見ておらず、国家税務総局による偽通達声明の方を先に見たので引っ掛けられなかったのですが、偽通達は通達番号まで付されているので、これを見て信じてしまった人もいると思います。仕事柄通達類は常にチェックしているのですが、オフィシャルサイトにアップされていないような通達は今後要注意ですね。

柔軟性

 今日は流行美(http://www.binf.cn/)という会社について紹介します。

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 この会社は女性用のヘアピンを販売する会社です。創業者の頼氏は最初から女性をターゲットにするビジネスを考えていたのですが、卸売価格数元の女性用ヘアピンが数十元で売れているのを見たときにこれだ!と思ったそうです。

 

 一番最初は1998年5月に広東省仏山市で店舗を開設しました。お店の雰囲気や取り扱う商品はデンマークの“COLORS IN FASHION”という会社の商品を参考にしたとのことです。“COLORS IN FASHION”のヘアピンは機能的で、デザインも美しく、店内に入ってもらうことまではできたのですが、購入してもらうというところまではなかなかいたりませんでした。その原因を探っていくうちに、機能的なヘアピンであるのですが、その使い方をどうやらお客さんにわかってもらえなかったということがわかりました。いい商品であってもその良さをわかってもらえないと確かに購買行動にはつながりませんよね。「いいものでさえあれば売れるのだ」というわけにはいかないということですね。

 

 そこで今度は店員にヘアピンの使い方を指導することにしました。いろんな使い方を整理し、マニュアルまで作成し、さらには販売インセンティブを導入したところ、一気に売れ始めました。このビジネススキームを安定的なものにするにはもう一工夫必要だと感じて、その次に行ったのが、ヘアピンを使って巻き髪をする過程の映像を店舗内の目立つところで流すということでした。これが口コミで広がりこれまた売り上げの増加につながりました。なるほど。

 

 商品のよさももちろんですが、ヘアピンの使い方を教える店員の接客のノウハウが売り上げの大きな要素になっていたわけですが、今度はそれを覚えた店員が辞めてしまい自分で同業の店舗を開くという動きが見られるようになりました。当然これが広がっていくと自社への影響は免れません。これに対する対策としてフランチャイズ制を導入しました。自分でやりたい人はフランチャイズに加盟してくださいということです。これまた功を奏して今では全店舗2000店あまりのうち、実に9割がフランチャイズです。小売総額も10億元にまで達しました。発想の転換ですね。変なことされるくらいならそうならないように取り込んでしまえということですね。とはいうものの、フランチャイズ化したからには自社の看板を掲げてもらっているので、いい加減なことをやられるわけにはいきません。その対策としてフランチャイズとしては当たり前のことですが加盟店に対して研修を頻繁に行い、技能や管理水準の引き上げを絶えず行うようにしたのです。フランチャイズも全国的に広がってくると、本部としての管理も難しくなってきます。そこで全国を5つのエリアに分けて、分公司を設立して研修や日常運営、管理を行うようにしました。本部はまさに本部としての機能を担うようになったわけです。これが2003年のことで、その後北京、上海、広州といった一線都市に進出するにいたりました。

 

 ところどころで書きましたが、このストーリーの肝はいい商品なのだがそれをわかってもらうためにどのようにすればいいか、真似されるくらいなら取り込んでしまえ、この二つかと思います。前者に疑問を感じる人はいないでしょうが、後者に関しては気持ち的に受け入れられない人もいるかもしれません。真似してしまった人を受け入れるのは確かに心情的には受け入れがたいですが、これから真似しようとする人であればOKですよね。このあたりの柔軟性は見習いたいものです。