呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国を中心としたビジネスの最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社 TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

来料加工廠の現地法人化に関する指導意見

 8月22日付で商務部、人力資源社会保障部、税関総署が《珠江デルタ地区の全国加工貿易モデルチェンジ・アップグレード模範区の建設に関する指導意見》というものが発表されました。この中で、模範区の加工貿易でまず4つの転換を実現させようという内容が含まれています。具体的には次のとおりです。 

 

・ 製品加工のローエンドからハイエンドへの転換

・ 産業リンケージ(産業連携)を短から長(より長く)へ

・経営主体を単一から多元へ転換

・営業市場を輸出主体から国内外の二つの市場へ転換

 

 これを3年程度以内に実現することを目標としています。ここ最近の加工貿易に対して向けられている全体的な流れですね。来料加工工場の独資法人化を促す通達はいくつも公布されていますが、その背景にはもう単なる加工屋で終わるのではなくてちゃんと付加価値のあるものを作っていこう、輸出ばかりでなく国内でも売っていこうというものがあります。

 

この《指導意見》では「主要な措置」が謳われています。 

 

・加工貿易管理モデルのイノベーション

・加工貿易産業配置の最適化

・加工貿易モデル転換の加速

・輸出基地と対外貿易の公共サービスプラットフォームの建設の加速

・加工貿易の産業リンケージ(産業連携)の延長の促進

・モデルチェンジ・アップグレードに対する融資・保険のサポートの強化

・非法人来料加工廠を独立法人企業への転換の奨励

・加工貿易企業の国内販売市場の開拓の奨励

・就業サービスと雇用指導の強化

・職業教育研修体系の完備

・保税物流体系建設の積極推進

・省エネ・環境保護生産の発展の加速

・モデルチェンジ・アップグレード模範企業育成の十項目

 

 この他には組織指導と考査評価の強化、テスト試行の奨励、及び交流と経験の普及の強化の要求、といったものが含まれています。

 

 現状がどれだけ進んでいるかですが、来料加工のメッカである深センと東莞の状況についてみていきますと、深センではまだ3500以上が来料加工廠の状態にあり、東莞ではすでに2700の来料加工廠が法人化を行っています。これでも深センの来料加工廠は下図をごらんいただければお分かりいただけるように年々減少しています。

87d2d009e6b8dbddf5f8eaeeed3c9d34

 

  来量加工廠の法人化を促す政策が過去にいくつも発表されていますが、それでもなお法人化しない理由として様子見するというのがありますが、もうひとつ印象に残ったのが、転換するわけには行かないというものでした。来料加工は海外から受注するわけですが、「輸出限定・内販禁止」という条件で請け負っているところが多く、そのため内販すると従来の受注がなくなり工場として終わってしまうということになってしまいます。「いまさら急に内販といわれても」ということでしょう。しかも内販は外資系企業にとってだけでなく、いままでそれをやってなかった地場企業にとってもハードルの高いものといわれています。そもそもまず内販の基盤を作っていかないといけないですし、基盤ができたとしても売掛金回収問題はついてまわります。中国人でも内販、特に地場企業向けをやれといわれると構えてしまう人は少なくないと利きます。内販何年も前から法人化しないといけないことはわかっていたのでしょうが、目の前の業務を失いことを恐れ身動きがとれなかったということですね。かといっていつまでも来料加工工場を続けることもできなくなってきた場合、このマーケットを誰が取っていくのかというステージが出てきそうですね。

298,000元のお酒

 五糧液というお酒をご存知でしょうか。異常な値上がりをしていることで当地では結構話題になっているお酒です。

399f0369b533529ef0609ad0aa51f063

 

 そしてこの中秋節という贈り物の季節がやってきたのですが、なんと298000元もする五糧液が売られているのです!298000元って360万円ですよ!そもそも本当にそれだけの価値があるのでしょうか。90年物ということですが、量は600ml、そしてケースがなんと180gの24金でできているのです。やりすぎですね。

9ba416bb9441b7c2d80db77820404e43

 昨年4月に《食品と化粧品の商品の過剰包装要求の制限》という通達が公布されています。特に月餅などであまりにも過剰な放送がされていたのを制限するために公布されたもので、初期方法以外のすべての放送のコスト総額は商品販売価格の20%を超えてはならないとされています。今回の五糧液は24金を使っているのでこの規定に違反しそうなものですが、24金を初期包装とみなすという考えをとっているのかもしれません。仮に初期包装とみなしたとしてもお酒自身の価格と24金の価格を比べた場合に、話してお酒メインで24金包装したのか、24金のケースにお酒を沿えたのか、どっちが正しいのかという議論が出てくるでしょう。いずれにしても、やりすぎ感は否めないですね。

 

 ちなみに以前このお酒がオークションの対象となったことがあるのですが、そのときについて最高価格が508.8万元です。異常だー!

358077ca4e8ac33b7372c8b5d5c2f6a2

4a8e9f85afebded162d69eb209662a77

 

フライト遅延の要因は?

 中国国内の飛行機を利用したことがある人はよく知っていることかと思いますが、中国の航空会社のフライトはとにかく遅れます。国際線でも遅れます。あらかじめ遅れることを想定しないといけないくらい遅れます。

 

 民航局の副局長が、日常のフライト業務において2時間以上ディレイしたフライトについて、空管部門は優先的に離陸を手配し、そして扉を閉じて30分以内に離陸することを確保しなければならないというコメントをしています。でも30分以上機内に閉じ込められたことのある人は少なくないでしょう。そういえばあまりに待たされ過ぎて先に食事が出て、食事を終えていない人が大半という状況で突然離陸したこともありました。

 

 『2010年民航業界発展統計広報』というものが発表されています。この中でフライト状況に関するデータがあります。それによりますと、フライトの正常率が75.8%で、前年比5ポイントダウンです。正常率75.8%ということは、そうでないのが、要するに遅れるのが24.2%ということになりますが、感覚的にはこんなんじゃ収まらないです。同じ感覚を持つ方は少なくないと思います。なお、遅れる理由として挙げられているのが、航空会社自らの要因(41.1%)、交通規制(27.6%)、天候要因(19.5%)、その他(11.8%)ということになってます。航空会社自らの要因というのは自身の体験の中では一回もありませんでした。しかしながらこれがトップということは、交通規制や天候要因という理由で説明しておきながら、本当は航空会社自身に原因があったということだと推測できます。ひどいよなあ。この間も上海台北のフライトが突如キャンセルになりましたが、振り替え可能日は3日後、しかも天候要因なので宿泊費は顧客自己負担というものでした。ほかの航空会社はびゅんびゅん飛んでるのに。。。
 しかし、フライトが遅延するのは過密ダイヤが原因であることは間違いないでしょう。その当たりのデータを見て見ましょう。
 まず、2006-2010年の旅客運総数です。延べ2.68億人です。2008年の伸びがかなり鈍化していますが、リーマンショックが原因だったのでしょうか。それ以外はいずれも15%以上伸びています。
 

ff20e22465b976f2b99cece94a4a4e80

 

 
 やっぱり飛行機の便数が多すぎるんでしょうねえ。高速鉄道ももう少ししっかりしてもらわないと、まだしばらくこの状態が続きそうですね。

8d2c35747736e40d0b5ce6735da1bb9b

 次に、2006-2010年の飛行機の発着数です。2010年は553.2万回です。これも2008年以外はいずれも10%以上伸びています。

 

売り場はきれいなのですが

 上海の正大広場の地下にあるロータスというスーパーがあります。一時模様替えしていて閉まっていて足が遠のいていたのですが、久々に行ってきました。模様替えしたことにより確かに高級感が出ていました。うわさに聞いていたとおりです。いわゆるデパ地下というやつですね。輸入ものもたくさんあって、品揃えはなかなか豊富です。売り場面積も大きいですからね。ということで、品物を選ぶというところまでは心地よかったのですが、レジでお金を払うときにがっくりです。その辺のスーパーと変わらんのですよね。かごに入れている商品を手で出すことを面倒くさがり、かごを横に倒して台の上に乗せてました。卵割れたらそうしてくれんねん!かごを横に倒されたのは初めての経験なので、実は今迄で一番いやな思いだったかもしれません。売り場というハードがきれいになったんですが、店員のレベルはついてきてないようです。締めがよかったら気分もぜんぜん違うんですけどねえ。このあたりはまだまだ時間がかかりそうです。

偽通達

 先日(8月15日)ちょっと変わった通達が公布されました。《国家税務総局:ある者が47号公告を偽造したことに関する声明》という通達です。47号公告とは《国家税務総局:個人所得税改正の若干問題の規定に関する公告》((2011年47号)というもので、賞与の個人所得税の計算方法が変更になったというものですが、これがおそらくネット上だと思うのですが発表され、ご丁寧にも解説までされていたというものです。これに対して国家税務総局がそんな通達は出しておらんという冒頭の通達が出されたわけです。要するに偽通達が出回ったということですね。今回国家税務総局がわざわざこんな通達を出したのは影響力が大きかったからではないと思われます。新聞記事にまでなったくらいですから。メディアもいっぱい食わされたわけですね。

 

 振り返ってみますと、最近確かに役所のオフィシャルサイトよりも早くどこかしらで通達がアップされるケースが多いように思います(たどっていけばおうおうにして見つかるのですが)。中にはオフィシャルサイトで発表されないものもあります。そのため、今回のような国家税務総局のオフィシャルサイトでアップされていなかったものでも、内容的に「それらくい」、「もっともらしい」ようなものだと確かに引っ掛けられてしまうかもしれません。私はたまたま新聞で掲載されたこの記事を見ておらず、国家税務総局による偽通達声明の方を先に見たので引っ掛けられなかったのですが、偽通達は通達番号まで付されているので、これを見て信じてしまった人もいると思います。仕事柄通達類は常にチェックしているのですが、オフィシャルサイトにアップされていないような通達は今後要注意ですね。

柔軟性

 今日は流行美(http://www.binf.cn/)という会社について紹介します。

4adf9661d03b6ffc5ea17513f3b51f65

 

 

 この会社は女性用のヘアピンを販売する会社です。創業者の頼氏は最初から女性をターゲットにするビジネスを考えていたのですが、卸売価格数元の女性用ヘアピンが数十元で売れているのを見たときにこれだ!と思ったそうです。

 

 一番最初は1998年5月に広東省仏山市で店舗を開設しました。お店の雰囲気や取り扱う商品はデンマークの“COLORS IN FASHION”という会社の商品を参考にしたとのことです。“COLORS IN FASHION”のヘアピンは機能的で、デザインも美しく、店内に入ってもらうことまではできたのですが、購入してもらうというところまではなかなかいたりませんでした。その原因を探っていくうちに、機能的なヘアピンであるのですが、その使い方をどうやらお客さんにわかってもらえなかったということがわかりました。いい商品であってもその良さをわかってもらえないと確かに購買行動にはつながりませんよね。「いいものでさえあれば売れるのだ」というわけにはいかないということですね。

 

 そこで今度は店員にヘアピンの使い方を指導することにしました。いろんな使い方を整理し、マニュアルまで作成し、さらには販売インセンティブを導入したところ、一気に売れ始めました。このビジネススキームを安定的なものにするにはもう一工夫必要だと感じて、その次に行ったのが、ヘアピンを使って巻き髪をする過程の映像を店舗内の目立つところで流すということでした。これが口コミで広がりこれまた売り上げの増加につながりました。なるほど。

 

 商品のよさももちろんですが、ヘアピンの使い方を教える店員の接客のノウハウが売り上げの大きな要素になっていたわけですが、今度はそれを覚えた店員が辞めてしまい自分で同業の店舗を開くという動きが見られるようになりました。当然これが広がっていくと自社への影響は免れません。これに対する対策としてフランチャイズ制を導入しました。自分でやりたい人はフランチャイズに加盟してくださいということです。これまた功を奏して今では全店舗2000店あまりのうち、実に9割がフランチャイズです。小売総額も10億元にまで達しました。発想の転換ですね。変なことされるくらいならそうならないように取り込んでしまえということですね。とはいうものの、フランチャイズ化したからには自社の看板を掲げてもらっているので、いい加減なことをやられるわけにはいきません。その対策としてフランチャイズとしては当たり前のことですが加盟店に対して研修を頻繁に行い、技能や管理水準の引き上げを絶えず行うようにしたのです。フランチャイズも全国的に広がってくると、本部としての管理も難しくなってきます。そこで全国を5つのエリアに分けて、分公司を設立して研修や日常運営、管理を行うようにしました。本部はまさに本部としての機能を担うようになったわけです。これが2003年のことで、その後北京、上海、広州といった一線都市に進出するにいたりました。

 

 ところどころで書きましたが、このストーリーの肝はいい商品なのだがそれをわかってもらうためにどのようにすればいいか、真似されるくらいなら取り込んでしまえ、この二つかと思います。前者に疑問を感じる人はいないでしょうが、後者に関しては気持ち的に受け入れられない人もいるかもしれません。真似してしまった人を受け入れるのは確かに心情的には受け入れがたいですが、これから真似しようとする人であればOKですよね。このあたりの柔軟性は見習いたいものです。