消費

P&Gに学ぶ

 P&Gの中国での展開について紹介します。ネタ元はやはり中国の新聞からです。新聞上のタイトルは『在中国全方位“本土化”』というものですが、要するにいかに現地化を徹底して行っているかというものです。現地化といえばまずヒトの現地化が思い浮かぶかと思います。まずそこから見ていきますと、P&Gのグレーターチャイナの中国籍人員は98%以上、副総監級以上の高級管理人員の中国国籍比率は10年前には3分の1だったのが、今では65%以上になっています。工場の場合当然のことながら中国国籍が多くなりますが、高級管理人員が65%以上ともなるとなかなかと言えますね。最近では日系企業でも職位の高い中国人は増えてきています。現地化をアピールするための飾りのような高級管理人員もいると思いますが、それでも増えてきていると思います。まあ、それでも駐在員は多すぎるとは思います。さて、ヒトの現地化はともかくとして、中国で成功した要因についても巣溶解されています。言われてみれば当たり前のことばかりだとは思います。でもそれがなかなかできないのですよね。たとえて言うならば空手の試合中に後ろから「もっとフットワークを使って!組みつかれないように!」とアドバイスをされても「そんな余裕ないよー!」みたいな感じでしょうか。とはいうものの、せっかくなのでが紹介しますね。

 

1.チャネルに入り込むのが競争相手対比早かった

競争相手が一線都市を攻めているときには既に三四線都市の目を向けており、マーケットの主導権を掌握、つまり先行者利益を得たということですね。マーケットに入るに当たり、最初の段階は赤字からスタートすることは多いでしょう。そして、その赤字を極小化するにはいつ算入すべきかということを読むことになりますが、これがなかなか難しい。この見極めはかなりの事前調査が必要意なりますし、したからといってそれでリスクがすべて解消するわけではありません。ただし、リスクを低減させることはできますので、リサーチは本当に重要になりますね。

 

2.中国消費者の中でも多様性があることを認識

洗剤でいうと、中国と外国の水質が違うのは当然のことなのですが、中国国内の水質の違いにまで踏み込んで商品開発したこと、ポジショニングに際しても色んなレベルの消費者のニーズに合わせたことが紹介されています。

この他には、歯磨き粉の開発に当たって中国人は多くの効能があることを好むという観点から、10年の時間をかけて「全優7効」という歯磨き粉を開発したことも紹介されています。中国人にとって口腔の七つの問題を解決することができるイメージ(本当に効くかどうかは使ったことがないのでわかりません)がヒットの要因となってます。

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3.タオパオ

ネット販売もいろいろ言われていますが、こんな使い方もあるのだなあと思ったのがこのケースです。P&Gでへ斬新な商品を販売するに当たり、まずはタオパオを通じて販売し、購入者に連絡を取って意見を聴取する等して消費者調査を行っているそうです。要はテスト販売ですね。P&Gの例ではないのですが、タオパオの客単価がどうしても低いため、在庫処分品をまわしているという企業があります。要は使い方ですね。

 

4.広告プロモーション

海飛絲(Head-Shoulders)というブランドで「中国達人秀」という番組(簡単に言うと素人が参加して何かしらの競争をさせるリアリティ番組)があり、大昔の日本の番組でたとえるとスター誕生のような番組なのですが、これをスポンサーし、その効果もあって業務量が40%増加したとのことです。

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その後このプロモーション方法はベトナム、タイやヨーロッパの一部の国にも広がったとのことです。個人的にはこういうリアリティ番組は感情移入しやすい私はとても好きです。このプロモーションがうまく行ったということは、一般の中国人も結構感情移入するタイプの人が多いのかもしれないですね。

ネットショッピングモールへの出店も楽じゃない

 中国のB2Cショッピングモール(プラットフォーム式を含む)でのシェア最大はタオパオモール、二番手が京東商城というところです。2011年上半期で見ますとタオパオだけで約半分、京東商城が2割弱のシェアとなっています。

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 こういったところを販売チャネルとして活用することを検討しているところもあれば既に活動しているところもありますが、一般的にはネットショップのほうがコストが安くつくと思われています。たんに出店するだけであれば確かにそうですが、ネットショップを以下に気づいてもらうかという課題が別にあります。ここでは出店コストに焦点を当てます。量販店に商品を供給するに当たり、中国では入場料やらその他何かと名目をつけてはいろんな費用を徴収されるという慣行にありますが、なんとネットショップにも似たような構図があるのです。メディア報道で京東商城のケースがとりあげられていますので、それを紹介します。

 B2Cモールとサプライヤーとの間の契約ですが、量販店に対して入場料等を支払うのと同じような感じで粗利益の保証や、サービス費用等を徴収しており、京東商城、当当網、アマゾン、天猫網(タオパオのB2Cモールの新名称)のいずれも料率は異なるものの徴収しているとのことです。

 京東商城では有名ブランドには前払いをしたりその他色んな優遇条件を提示して入ってもらっているのですが、一方でそうでないブランドに対しては異なる対応をしており、支払いも1-2か月待たされることもあるようです。そして契約書の中にこんな条件まで含まれています。

・京東への供給価格は他への供給価格を上回ってはならない。これに違反した場合、購買金額の5%を補償として徴収。

・同一または類似したショッピングサイトでの最低小売価格が京東の販売価格を下回っている場合、京東はサプライヤーに通知してその価格に合わせる権限を有する。

・京東の粗利率が15%を下回る場合、サプライヤーは不足部分を補償として翌月以降京東商城に対して翌月以降に現金支払いまたは控除の形で決済する。

 なかなか厳しいです。京東商城の他にもある大型デジタル家電のショッピングモールが同時に当当網にも商品供給しているサプライヤーに対して、

・当当網での販売価格が当ショッピングモールの販売価格を下回る場合、サプライヤーに対するすべての決済を停止する。

 いやあ、かなり凶暴な表現ですねえ。

 京東商城がこのような覇道条項(横暴な条項)を盛り込む原因として3つ挙げられています。

1.粗利率が低すぎること。

2.短期内に覇道条項を通じて粗利率を引き上げ、IPO機関の印象をよくしたいこと。

3.自身の物流コストが高すぎるために高コミッションでバランスをとる必要があること(京東は自社で物流を構築している)。

 このような厳しい条件ではあるものの、サプライヤーの声としては、「量販店向け販売よりまし」ということで我慢しているようです。

 中国の小売業ってどうしてもこうなるんですねえ。この間中国最大の外資スーパーの大潤発(台湾系)の人と話したのですが、「台湾では入場料を取っていないが大陸では取っている。もっともうちの場合はカルフールみたいな金額はとってないけどね」と言ってました。量販店は量販店でコストがかかるのは知れ渡ってますが、だからといってネットも決してコストは安くないということもあらためて知っておく必要がありますね。

ポジショニングと消費者誘導

 中国には多くのホテルがあります。それこそ超高級の5つ星ホテルから招待所まで多くのランクにわたって存在しています。最近ではモーテル168、漢庭、如家のようなチェーン型エコノミーホテルと呼ばれる比較的リーズナブルなビジネスホテルも多く現れてきており、利用する側からしても選択肢が多くなってきています。このような中で、布丁酒店というホテルが現れました。このホテルのポジショニングは、チェーン型エコノミーホテルに泊まる人でもなく、招待所に泊まる人でもなく、その間を狙ったものです。

 

創業者はもともとホテル業界を経験してから起業したのですが、チェーン型エコノミーホテルはどれもこれも外観が似ていること、一線・二線都市のビジネスマンを狙っていること、同じようなところに立地し、多くの都市でエコノミーホテル街のようなものができてしまっていること、要するに差別化が図れないままに同じカテゴリーの中でパイの奪い合いをしているように感じたといいます。 

チェーン型エコノミーホテルの価格帯に泊まれない人は招待所レベルのところに泊まることになります。チェーン型エコノミーホテルと招待所の価格差は50~100元くらいといったところですが、価格レベルにしては価格差は大きいといえます。利用者としても治安面、衛生面とも劣る招待所には決して泊まりたいわけではないのですが、やむを得ず招待所を利用してきた人も少なくありません。ここに商機を見出しこういう層を対象にしたのが布丁酒店です。ターゲット層は18~35歳、月収2000~6000元レベルの人です。 

 チェーン型エコノミーホテルは三ツ星ホテルをベースにファシリティーを減らすという方法をとることで価格を抑えています。例えばレストラン、会議室、サウナ、ショップをなくしたり、アイロン、クローゼット、湯船等の客室内のファシリティを減らしたりです。布丁酒店はチェーン型エコノミーホテルをベースにさらにファシリティを減らすという方法をとりました。まず朝食をとるレストランをなくしました。客室面積も減らしました。歯磨き、石鹸といった等もなくしました。こうしたことを通じて招待所以上チェーン型エコノミーホテル未満の価格帯を実現しました。しかしながら、利益率は決して劣らない水準です。しかしやはり一番インパクトの大きいのは部屋面積の小ささで、注号のホテルは割とゆったりとした面積のところが多いのですが、布丁酒店の客室面積は約11㎡(7畳弱)しかありません。スタートしたばかりの時は全く受け入れられず、稼働率も20%にも至らない状態でした。それでも差別化したポジションを維持するために価格帯や客室面積はあえて変更せず、利用者の意見を集めながら微修正を行い、また、若者が集まるエリアでのプロモーションも行い、こうした努力を通じて3か月後には稼働率が80%を上回るようになり、今ではほぼ満室状態になっています。

この勢いで2つ目にトライしたのですが、ここで創業者はさらなる挑戦を行いました。部屋をもっと狭くしたのです。なんと従来の約半分の5-6㎡にまで小さくしました。カプセルホテルほど狭いわけではないですが、中国のホテルとしてはかなり革命的な面積といえるでしょう。しかしこれも当初はなかなか受け入れられず、軌道に乗るまでには7か月を要しましたが、今ではドル箱の物件となっています。これらの動きを通じて創業者は消費者がどこまでなら受け入れられるのかを知ることができたというのが収穫といいます。そして、消費者のニーズは尊重しないといけないものの、すべてに対応するのも現実的でなく、また限界もあります。消費ニーズにすべてこたえるよりもむしろ誘導する必要がるのもだと認識したとのことです。ムーブメントを作り出したということですね。

この布丁酒店の動きから読み取れることとしては二つあります。一つは自社のポジショニングを明確に定めたことです。他との競争に巻き込まれないためにどこを狙うべきか、そのためにはどうすべきか、それを突き詰めた結果が多くのファシリティを削って低価格を打ち出したという点です。そしてもう一つが消費者誘導です。消費者に100%満足してもらうことが勿論理想ではありますが、コストとパフォーマンスを切り分けるのではなくコストパフォーマンス一体で考えた場合、どうしても削らざるを得ない部分が出てきます。布丁酒店の場合はどこまで削れるかを試し、最終的には消費者がそれを受け入れる方向へ誘導することができました。しかし、それができたのも究極的にはやはりポジショニングにブレがなかったところにあるといえるでしょう。

日系企業が中国で事業展開する場合、最初から何事もうまくいくとは限りません。俗に成功しているといわれる日系企業も過去に苦い思いをしながら、それを糧にした今日の成功につながっているといえるでしょう。そういう意味では、事業を始めるに自社のポジショニングはどこに置くべきか、ターゲットとしてはどこが狙い目か、うまく行かなければどのように修正すべきか、そしてもう一つ成功の基準をどこに置くべきかが大事といえるでしょう。特に成功の基準を設けていない場合、何を以って成功なのかあるいは失敗なのかがはっきりせず、ただずるずると事業を続けていく羽目にもなりかねず、あらためてその重要性をフォーカスを当てる必要があるといえるでしょう。

中国の高級メンズブランド

 中国でメンズの高級ブランドが登場しました。「社稷」というブランドで、海外では「SORGERE」という名称を使います。ゼニヤのデザイナーのフランチェスコという方が首席デザイナーをやっています。この方は中国で6年生活し、中国文化については相応に理解している方です。この方が言うには「SORGERE」は決してゼニヤのコピーではなく、中国的要素を取り入れたものであるといいます。ちょっと見てみましょう。

 

 

 

  

 ゼニヤのコピーかどうかはともかく、それなりに良さげな感じはしますね。材料はオーストラリアの羊毛や内モンゴルのカシミヤを利用し、イタリアで手作りし、インナーの生地は日本のものを使っており、中国はブランドとマーケティングを行っていくというたてつけです。

このブランドのスーツの一般的な価格は3万~8万元の間で、国外の有名ブランドのオーダーメード価格の半分くらいだそうです。おおきく分けるとスーツ、中山服、カジュアル、手編みセーターという4つのシリーズがあります。

 

 中国ブランドでありながら材料、製造は国外のものであり、中国ではそれ以外のものをやるということで、工場でいえば海外のメーカーが中国国内で調達・製造するのとは全く反対の動きです。中国国内で高級品というのは作り手としてもプラスイメージを持てないのでしょう。確かに中国の高級メンズブランドなんてちょっと今の状況ではイメージしづらいです。なんだかんだでそれなりの値段なので、それだったらアルマーニの同じ価格帯のものを買った方がいいと考える人も多いはずです。そういう意味で、こういう中国ブランドを中国の消費者がどこまで受け入れられるかというのはちょっと注目ですね。

小売店とメーカーの協同

 中国でよくみられる失敗事例としてあげられるのが、国外の製品、サービスまたは商業モデルを持ってきさえすれば中国で成功すると思っているというものです。実際にはこれが原因で失敗している例は少なくありません。逆に海外の企業が本国のスキームをそのまま日本に持って来てどれだけ成功できるのかとイメージするとわかりやすいでしょう。国外の成功モデルを持ってくるだけで成功にいたらないため、逆に過度に中国市場に迎合するようなケースもありますが、中国においてはそれがコンプライアンスに抵触するような事件につながり、そうなるとブランドイメージに影響を与えてしまうことになってしまいます。2011年10月に重慶で発生したウォルマートの豚肉の偽装販売がそれにあたるといえるでしょう。この事件は通常の豚肉を有機飼料だけで育てた豚と偽って販売したものです。これによりウォルマートには偽装販売などを理由に同市内にある全13店舗の15日間の営業停止と269万元(約3240万円)の罰金を科す処分が科せられました。また、同社の中国のトップが引責辞任することとなりました。

 

1995年に中国に参入したカルフールは2004年に小売業が解放されたとき、すでに全国17都市に30店舗を構えていました。当初は3か月の決済期間を設けたうえでの仕入販売を通じて利益を上げていくモデルだったのが、いつの頃か決済期間も5か月以上となり、入場料やプロモーション費用等を徴収するモデルを取るようになりました。ウォルマートはカルフールと比べて単一店舗当たりの売り上げで負けていたのですが、同社も2007年からこのモデルを採用し始めた。しかしこのモデルはサプライヤーとの間で緊張関係が発生しやすいこと、お金さえ払えば品質の劣るものまで棚に並べてしまうようなことが発生しやすく、これに加えて最近では経営コストの増加や、人材の流動性が高いことにより運営がより難しくなってきています。 

 

小売店は消費者のニーズと短期利益を過度に追求したために、多国籍企業が本来持つグローバルな競争力を中国に持って来るのではなく、既述したような中国モデルを採用することとなってしまいました。ではなぜそのような状況に陥ったのでしょうか。主に三つの要素があるといわれています。 

 

1.国内の販売店はコストコントロール能力が弱く、単位面積当たりの販売効率が低く、サプライチェーン管理能力が欠如しているため、仕入販売差額を通じて利益計上することが難しい。

2.小売店の販売量は小売販売総量に占める比率は高く、家電類の多くの子類別は80%を超えているが、これだけのシェアを持つためにサプライヤーの価格競争力が劣ってしまっている。

3.消費者が価格に対する要求があまりにも厳しく、販売店はサプライヤー絶えず値引きを行わせることをもたらした。

 

 小売店向けにいくら売っても全然儲からないというボヤキを聞きます。しかしながら、最近では小売店とサプライヤーが協同するような事例も出てきています。蘇寧電器ではERPシステムをサプライヤーに対して開放しており、サムスンやハイアールといったメーカーは随時自社製品の販売と在庫状況をフォローすることができるようになっています。小売店とサプライヤーが売る側と納める側という対立構造でではなく、協同するようになってきているのです。このほかには同じく蘇寧電器の事例ですが、同社は昨年三菱重工と家庭用エアコン販売の合弁販売会社を設立することを発表しています。この動きの中で、蘇寧電器の本部がある南京に研究開発センターを設立し、三菱重工の製品ラインナップの充実化につなげるという動き、そして蘇寧電器を通じて三、四級市場の消費情報を共有し、現地消費者のニーズに合わせた製品を研究開発するという動きが行われます。中国の家電量販店といえば蘇寧電器と国美電機の二大巨頭がおり、このうちの一つと組むということはもう一方との関係が微妙になるのは容易に想像がつくと思います。そういう意味ではかなり思い切った戦略だといえるでしょう。三菱電機のこの取り組み、すなわち小売店とメーカーが協同するような戦略が果たして今後どのような展開を見せるのか、また今後同じような動きを取るようなメーカーが出てくるのか、このあたりが気になりますね。

飲食店のフランチャイズ展開

 日本の飲食店の好事例の記事を見つけました。日本の飲食店のポジティブ記事ってそんなに多くないので目を引きました。雅山というお店です。主なメニューは牛丼をはじめとする丼もの、とんこつラーメンです。北京を中心に展開しているので私自身はまだ見たことがないのですが、フランチャイズ展開をしており60店舗ほどあるそうです。 

http://www.gazan.com.cn/index.html (ウェブサイトのアドレス)

 

 牛丼といえば吉野家、最近だと松屋やすき家が思いつくところですが、雅山(GAZAN)という名前は全然知りませんでした。日本の独資ではなくて中国との合弁なのですが、中国現法のCEOである朱さんという人はもともと日本のファストフード店のノウハウをパクとうとして調理師を日本に派遣したのですが、ファストフード店のかなめであるメニュー開発、物流、セントラルキッチン、管理といったことに触れることができ、パクるということは失敗に終わったのですが、その後縁あって雅山と組むことになりました。 

 

 雅山の中国展開のポイントですが、(1)フランチャイズ加盟の発展、(2)二・三線都市での展開、の二つです。2009年にまず北京、武漢等の都市で直営店を始め、その後フランチャイズ展開を開始しました。朱さんはファストフード店のフランチャイズ展開にあたり日本と中国の違いを感じたそうです。中国のフランチャイズ展開というのは一店一店開店し、成功モデルを別の店舗の展開していくというものです。日本の場合は先にセントラルキッチンをかっちりと作り上げ、そこから製品とサービスをアウトプットして行くというものです。現地でのフランチャイズ加盟に当たっては特に大きなプロモーションをしていることはなく、店舗の存在自体がプロモーションになっているようです。例えば、雅山長沙店のフランチャイジーは武漢の加盟店を見て加盟を申し込んだとのことです。

 

 さて、中国の飲食店の多店舗展開ですが、今のところある程度の店舗数があるは吉野家(約150店舗)、サイゼリア(約80店舗)、coco壱番屋(約20店舗)あたりでしょうか。こうしたそうそうたる銘柄の中で雅山の60店舗というのは目立ちます。しかもフランチャイズ展開をスタートしたのは3月からで、もともとの10店舗程度から一気に60店舗程度にまで増やしています(フランチャイズ展開するに当たってはまず2店舗の直営店を1年以上運営しておく必要がありますのでこのような順番になります)。やっぱり一気に店舗を増やすのであればフランチャイズ展開ですね。まあ、台湾系の85度Cのように大量の直営店を一気に展開する方法もあるのでしょうが、それをやるには資金力が入りますから。フランチャイズ展開は商品やサービスのレベルの維持が難しいという問題もあり、それを嫌気する企業も少なくないですが、それをやれている企業もありますので、もっともっと研究されてもいい分野なのではないかと思います。そういえば昨年フランチャイズ経営に関するセミナーを開催しましたが、飲食業の参加者はいるにはいましたが、思ったほど多くなかったです。もっと注目されてもいいように思います。

中国人旅行客が買わないもの

 日本ではお正月が近づいてきていますが、中国のお正月は旧正月を祝います。ということで、日本の正月ではなく旧正月の時期に旅行に出かける人が多いです。中国人観光客のショッピングの掻きいれ時とも言えるでしょう。

 シャネルの総裁によると、中国人旅行客は非常にファッショナブルで、ショッピングの特徴としては、購入前に十分に研究してから来るので、店員に勧められて買うようなことは嫌がるという傾向があるそうです。また、ダンヒルのマーケティングオフィサーによると、中国人旅行客は一つ一つの商品よりも既に組み合わされているもの(コーディネートされているもの)を好んで購入する傾向にあり、また衝動買いは非常に少なく、自分が尊重されているという感覚を味わいたがるそうです。VIPルームで応対されるのなんかがそれに当たります。テレビで紹介されている中国人旅行客はガバガバ買い物しているように紹介されているのが多いので、衝動買いが少ないというのはちょっと意外な感じがしましたが、こういった高級ブランドを買う前にはかなり下調べして決め打ちで買っているということなのでしょう。

 海外に出る中国人旅行客の層について紹介しますと、最近では中小都市からの旅行客が増えているそうです。北京や上海といった大都市に住む人は収入もそこそこあるのですが、旅行に出る人には中産階級の人が多く、大都市で生活するが故の生活コスト、非常に高額な住宅価格、こういった経済的なプレッシャーがあり、消費支出に一定の歯止めがかかります。これに対して、中小都市からやってくる人というのはお金持ちや役人の人が多く、大都市と違って生活コストも住宅コストも非常に低く、また消費に対する意欲が旺盛な傾向にあります(ここで役人が出てくるのも問題かと思いますが)。こういった人たちは特に商品知識が乏しく、よりどころとなるのはブランド名のみなので、海外ではガバガバ買っていきます。ブランド名だけがよりどころなので、品質の良いノーブランド品には見向きもしません。

 大都市からであれば中小都市からであれ、中国人旅行客が買わない4文字の商品があります。「中国製造」、絶対買わないらしいです。まあシャネルやダンヒルのようなグローバルブランドならそれでもいいですが、いまどきなんでもかんでもメードインチャイナの商品が氾濫している日本で、中国人旅行客が「非中国製造」の商品を買うのは結構大変でしょう。日本だと電気製品を買っていう人も多いですが、これも意外と日本以外の国で生産しているものが多いですし、中国生産品も多いでしょう。品質基準は厳しいので、メードインチャイナでも結構しっかりした商品ではあると思いますが、わざわざ中国からやってきてメードインチャイナの電気製品を買うものなんだかなあという感じです。中国聖餐でも日本規格で中国ではあまり売っていないものであればいいのでしょうが、ここまで気にすると結構日本でのショッピングもめんどくさいかもしれないですね。

80後の消費の特徴

 《2011-2102年中国贅沢品報告》というものが発表されており、ここで「80後」(80年代生まれ)に焦点を当てた調査結果が紹介されています。「80後」の消費の特徴として5つがあげられてます。 

 

1.更乐观(より楽観的) 

2.更自我(より自己的に)

3.更从尚主流品牌(より主流ブランドを尊重)

4.更数字(よりデジタル)

5.更追求购买价值(より購買価値を追求)

 

 「彰显身�、地位」(身分、地位を示す)はすでに特徴としては挙げられておらず、「自我愉悦」(自己の喜び)や「自我奖励」(自己の奨励)が消費の主な要因になってきています。これと同時に、「80後」は主流贅沢品ブランドを好む傾向も示されています。カルチェ、オメガ、ロレックス、シャネル、ルイ・ヴィトン、グッチ等のブランドの発祥地や歴史伝承が最も重視する要素になってきているそうです。本当にここまで気にして買っているのだろうかと個人的には思いますが。

 「彰显身�、地位」(身分、地位を示す)を追い求めないという割には「更从尚主流品牌」(より主流ブランドを尊重)ということで、いささか矛盾した結果が出ているように思います。なぜならば、まだまだ消費に当たってはブランド力に左右されているように思えるからです。ブランドに左右されないものだと単純に価格だけが購買要因になっていると思います。良いものを安く買いたい、これは世界中のどこの人も同じ考えですが、その良いものをどうやって見極めるかが、中国ではもう少し時間がかかるように思います。少なくとも今後はどんどん更追求购买价值(より購買価値を追求)にはなっていくのでしょうが、ブランドにとらわれず、本当に「更追求购买价值」(より購買価値を追求)していく時代、この時代に到達すればもう少し入りやすい市場になるでしょうが、以前とある企業に訪問してお話を伺った際に、「売れるポイント?値上げしたら途端に売れました!」という返事が返ってきたたくらいですから、それがいつになるのかとなると、それを読むのは結構難しいですね。

VANCLに何が起こっているのか

 アパレル系B2CネットショッピングサイトのVANCL、以前か紹介したことがあります(右側の検索欄にVANCLと入力して検索してみてください)。私も商品を購入したことがありますが、タオパオC2Cで購入するのと違ってとても丁寧に梱包された商品が届けられるのが印象的でした。かなりの勢いで伸びているのかと思いきや、どうもそうでもなくなってきているようです。

 

 2010年の売上高が20億元、実態は17-18億元とも言われてますが、まあ誤差の範囲ということにしましょう。そして、2011年の目標が100億元、5倍ですね。大きく打ち出したものの、今年の着地は35億元あたりになりそうだというのがもっぱらの見方です。これが32億元という見方もありますが、いずれにしても100億元との乖離はかなり激しいです。売上高もそうですが、コスト負担も大きいことが指摘されていません。以前一着当たりの広告費が10元というのを紹介したことがありますが、広告費のコストはかなり大きいようです。とある広告代理店が計算したところによると、11月26日までのテレビ広告費用が6101万元、10月末までの新聞広告が146万元、10月末までの雑誌広告が1510万元、12月6日までのネット広告が1.26億元、このほか屋外広告は全体の3割を占めているとのことです。これらを合計するとざっと3億元程度になります。そもそもVANCLの広告費は同業対比でもかなり多いようで、当当網は営業収入の3.6%に過ぎないのに対してVANCLはなんと10%ほどもあります。これはあくまで広告コストだけの話ですので、その他のコストもろもろを勘案すると、35億元の売り上げということであれば7億元ほどの赤字になると言われています。ファンドによる資金も入っているので当面は問題ないのでしょうが、これだけの知名度を誇る会社のネガティブ情報はちょっと寂しい限りです。 

 11月5日にアメリカで上場申請を提出したものの、結局は上場計画を延期したこと、3月に5%もの人員削減を行っていること、11月末に副総裁が離職していますが、この人を代表格に少なからずの古参メンバーも離れて行っていること、とにかくあまりいい話が聞こえてきません。あっ、そうそう、アパレルだけだったのが取扱商品を広げ過ぎているのも問題だとも言われていますね。 でもとりあえず安かったのでトランクを一つ買ってしまいました!

有機野菜 ~どこまで信じられるか~

 以前にも紹介したことがありますが、中国の有機食品について紹介します。

 

 消費者は無公害製品、緑色食品(無農薬もしくは低農薬、そして遺伝子組み換えでもない、すなわち自然で良質な食品のことを指します)、有機野菜の区別があまりついていないと思います。私も細かくは知りませんが、いちおう次のようなくくりになっています。

 

無公害製品 産地の環境、生産過程、製品品質が国家関連標準に符合し、認証証書を取得して無公害製品マークの使用が認められる加工を経ていないまたは初歩的加工を経た食用農産品。
緑色食品 特定の生産方式で生産し、専門機構の認定を経て、緑色食品マークの使用が認められる無汚染の食品。
有機野菜 農薬、化学肥料、激素、除草剤等の人口合成物質の使用が絶対に禁止。

 

 無公害製品は低毒化学肥料と農薬を使ってもいいのですが、農薬の残量が基準を超えてはいけません。緑色AA等級はいかなる有害化学合成物質も使用してはいけません。そして、有機野菜はこの二つよりももっと条件が厳しく、そもそも何も使うことはできないともいえます。畑も過去三年において農薬を使用したことのないような畑である必要があります。

 

 有機野菜と名乗るための基準はこれだけ厳しいわけですから、当然値段も高くなります。値段が高いということはそれだけ生産者としては儲けを狙うこともできるでしょう。有機野菜と名乗るためには認証を取得する必要があります。ところがこれがいい加減なところが多いといわれています。有機の認証機構のフィーの水準は大体2万元程度で、要する期間は1-3ヶ月程度です。ところが、いい加減なところは1ヶ月で全部済ませてしまいます。そういう業者の認証の進め方は次のような感じです。ちなみに中国の新聞記者の取材によるものです。

 

 認証は認証機構が行うのですが、これにコンサルティング会社がかんでいます。仲介するような形ですね。このコンサルティング会社が業務全体を請け負います。コンサル会社が人を派遣して畑を見に来る、要するに現地考査を行うのですが、これが一日もかかりません。というか、きて一目見るだけというのが正しいです。そして製品をコンサル会社指定の実験室にもって行き、実験室から有機検査報告を発行します。新聞記者が「これらの製品は大量に農薬を使っているので、有機と認められないのでは」と伝えたところ、「何も心配要らない、検査結果に手を加えるから」との返事。要するに改ざんですね。

 

 報告書が出来上がった後、コンサル会社は仲良しの認証機構と連絡を取り、そこで認証手続きが完了するのです、いちおうこの認証機構は正規のですが、現実はこんな感じのようです。認証機構も結局は依頼主からお金をもらっているので、生き残っていくためには甘くせざるを得ないといったところでしょうか。依頼主に厳しくいえない会計事務所のようなものといえばわかりやすいでしょうか。認証機構は23しかないのでなにも粋のころなんぞ考えずに清々とやればいいと思うのですが、そうはなっていないようです。

 

 スーパーにいくと有機野菜がいい値段で売られています。見せ方もきれいです。おいしそうですし体にもよさそうに見えます。でも実態はいい加減みたいなので本当の有機ってどれくらいあるんでしょうねえ。例えば、上海蟹も販売量が漁獲量の10倍あるといわれています。要するに胡散臭いのが90%占めているということなのですが、有機野菜も上海蟹バリに胡散臭いかもしれないですね。