消費

日中間の出資案件、うまくはまればお互いにハッピー

 上海に外婆家というレストランがあります。全国で200店以上あるちょっとした外食チェーンです。いつも並んでいて、並ぶのが嫌いな私はまだ一度も食べに行ったことがありません。

 

 この会社のオーナーの私と同じ苗字の呉さんはよく日本に行くのですが、東京に行ったときにとあるレストランで非常においしい鳥スープの飲む機会がありました。仕事がら1000杯以上の鳥スープを飲んできた呉さんですが、こんなにおいしいスープは飲んだことがないというほどの絶品だったとのこと。そこで呉さんは店主にこの味を伝授主てほしいとお願いしたところ断られました。このお店はそれほど大きくないながらもミシュランガイドに掲載されているお店で、非常に格式のあるお店でありました。このようなお店が軽々しく味を伝授するわけにもいかず、当然のことながらお断りされたわけです。呉さんはそれでもあきらめず、ライセンスをもらえないかと聞いては断られ、設備を売ってほしいとお願いしては断られ、中国でお店を出すように提案しても断られ、最後に株主にならせてくれといったところ、なんとこれが受け入れられたのであります。株主になったわけでありますから、厨房に入ることもできるようになり、秘伝の鳥スープも手に入れることができたわけであります。

 

 さて、日中間のM&Aにおいて、日本側が中国側を買うまたは出資する、これに対して抵抗する人はあまりいませんが、中国側が日本側を買うまたは出資する、これに抵抗感を感じる人は少なくありません。特に中小企業であればあるほどその傾向があるように思います。しかし、今回の外家婆のケースを考えてみましょう。呉さんは日本で出くわしたお店の味を中国に持って帰りたかっただけで、日本での経営にまで手を伸ばそうという気持ちは毛頭ありません。日本側は今まで通りの経営を続けることができるわけです。そして中国側は中国で日本のノウハウを活用して業績を伸ばしていくことを目指します。日本側が出資金を受け取る以外に、しっかりとライセンスフィーをもらうことさえできれば(私の見たニュースソースにはここまで書かれていないのですが)、日本側の経営に口を出されることもなく、しかも中国からフィーをもらうことができ、中国側も手に入れたノウハウで業績を伸ばすことができる。誰にとっても損のない話なんですよね。もちろん、中にはたちの悪い中国企業もいるでしょうが、おそらくおおくの中国側の日本側に対する買収や出資はここで紹介しているようなケースが多いのではないかと思います。ビジネスライクに考えればいろいろ面白そうな動きはもっとあってもいいように思います。外婆家の呉さんは秘伝の鳥スープをサブブランドの宴西湖という高級店舗に導入したとのことです。

 

 しかし、日本という国はミシュラン掲載店舗が世界最大だそうで、東京だけで226店舗あり、これはパリの94店舗もよりもはるかに上回っています。あまり意識して食べに行こうと思ったことはないですが、いつかちゃんと調べていってみたいものです。そこまでするのも仰々しいので、まずは秘伝の鳥スープを提供する宴西湖に行ってみることにしましょう。

上海大丸の苦闘

 昨年2月に試営業開始、5月よりグランドオープンした上海大丸(上海新世界大丸百貨)。私も何度か行ったことがありますが、ちょっと人の入りが少ないなあという印象がありました。オープンしてから1年強経過しましたが、昨年度(中国の決算は12月)の営業成績がメディアで紹介されています。それによりますと、営業収入が4.02億元(約66億円)、そして純利益がなんと▲4.14億元(▲68億円)です。なんと収入額よりも赤字額が大きいのです。

 

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 立地は南京東路という繁華街。繁華街なので人通りも多いのは確かなのですが、この繁華街は観光客ばかりが多く集まるという特徴があります。この立地している場所は地方からの観光客が多く、残念ながら地元民でもあまりお金を落としてくれる人がたくさんいるイメージのない場所です。要するにお金を落としていかない人たちが多く集まる場所です。休日の日はとにかく黒山の人だかりになる場所です。

 

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 大丸は高級店なので、明らかにマッチしていないといえるでしょう。日本人になじみの百貨店だと上海には伊勢丹(数字見つけられず)と久光(年間営業額26.4億元)というのがありますが、この2店舗のいずれもが繁華街であることは間違いなく、観光客がメインに集まる場所でもなく、むしろハイクラスの店舗が多く並ぶ通りにあり、高級百貨店が立地するという点ではいい感じの場所ではあります。大丸とは正反対とまではいわないまでも人の集まり方がかなり違う場所であるといえるでしょう。大丸としては現地企業との事業提携契約を締結し、マーケティング、商品構 成計画、内装デザイン、従業員への販売サービス教育、カード政策等、百貨店の開業準備に関わる 技術支援を行うという形態でのプロジェクトなので、リスクをあまりとっておらず痛手は少ないかもしれません。しかし逆に、現地企業のプロジェクトでありながらなぜこの立地なのかという疑念が残ります。事業提携相手が運営している上海新世界商城が比較的うまくいっている(年間営業額35億元)ことから、コンセプトの違う大丸でもうまくいくと思ったのかもしれません。となると、これは日本大丸よりも中国側の失策であるといえるでしょう。

 

 大丸だけの記事かと思いきや、日系ということで高島屋まで引き合いに出されています。2012年に上海に進出した高島屋、当初年間130億円の売り上げを計画したのですが、ふたを開けるとその半分しか達成できませんでした。このような状況を挽回すべくいろんな取り組みをしているようで、連休中に高島屋に行ってきましたが、名探偵コナンのイベントが開催されており、かなりの行列ができていました。私が見たときは100分待ちくらいでした。

 

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 さて、また大丸の話に戻ります。一階と二階は主にラグジュアリーブランド、時計、化粧品が主体で、フェラガモ、グッチ、ティファニー、バーバリーといったラグジュアリーブランド、資生堂、SKⅡ、ランカム等の化粧品ブランドがあります。ヴィトン、プラダ、エルメスといったブランドはありません。ディオールとシャネルは化粧品だけです。そして、フロアーが上がっていきますと客数はどんどん少なくなり、そこにあるのは日系ブランドが多く、日系ブランド好きにはいいのですが、一般的には中国での知名度は高くないものばかりです。いろいろと取り組んでいるようですが、なかなか成果は出ていないようです。

 

 さて、この大丸のある南京東路という立地、長く上海に住んでいる人であればおよそショッピングのために行く場所ではないというのはわかっています。繰り返しになりますが、地方からの観光客が多く、またそういった上海に慣れていない人たちをカモるための人たちも多いので、あまりいい印象はありません。しかし、何も知らない人が来ると、あまりの人通りの多さに圧倒され、立地が良いと勘違いしてしまう人がいます。数年前にこのエリアに進出した飲食店のイベントの招待されたことがあり、その時になぜこの立地に出店したのかを聞いたことがあります。その飲食店は立地として厳しいのは十分にわかっていたようで、しかし賃料がそれほど高くなかったこともあり、テスト的にやってみようというお話でした。こういう割り切りがあったうえでの出店であればわかりますが、一番最初にこのエリアに出店するというのはちょっと考えにくい。さて、今後どうしていくのでしょうか。立地の劣勢を挽回するのはかなり難しいように思うのですが。。。

2015年中国チェーンストア業態別ランキング

昨日は中国全体のチェーンストアのランキングを紹介しましたが、今日は業態別のランキングをご紹介いたします。

 

1.日用消費材

 日用消費財というカテゴリーですが、スーパーと考えていただけるとわかりやすいと思います。売上高1位の華潤万家は俗にVANGUARDと呼ばれており、華潤万家、蘇果、Ole’、blt、V+、楽購express、V>nGO、歓楽頌、楽都匯、Voi_la!、e万家といったブランドで店舗展開をしています。なじみのブランドも多いのではないでしょうか。2位の高鑫は大潤発は欧尚のスーパーを展開している台湾系になります。そして3位がウォルマートと続きます。

 

日曜消費材

 

2.コンビニ

 コンビニに関しては売上高ではなく店舗数でのランキングです。そのため、決して売上高がそのままランキングに直結しているわけではありません。コンビニは日本でもほく見られるセブン、ファミマ、ローソンの点かというわけではありません。1位と2位はガソリンスタンド会社で、要はスタンドに併設している店舗です。この2社が店舗数では明らかに抜きんでています。そして、なぜか東莞にも7000店舗以上を要する会社があります。では、なじみのブランドがどこなるかというと、9位にファミマ(全家)、19位にローソン、44位にセブンがランク入りしています。日本における業界マップとはやや異なりますね。

コンビニ

 

3.百貨店・ショッピングモール

 上海百聯集団が突き抜けた存在です。しかしこの表をよく見ますと、売上高がマイナスになっているところが目立ちます。店舗数が増えているにもかかわらず売上高がマイナスになっているので、店舗当たりの売上高の減少はかなりきついのではないかと思います。

 

百貨店

 

4.外資チェーンストア

 1位は冒頭でも紹介した台湾系の高鑫,2位がウォルマート、3位がピザハットややケンタッキーを展開するやむグループですね。カルフールは近年あまりいい話を聞かないのですが、売上高がなんと▲12.3%、落ち込みが激しいです。少し下を見ますと、11位にイケア(宜家)があり、27.9%も伸ばしています。全体的に伸びがしんどい状況の中、絶好調といえるでしょう。

外資チェーンストア

 

5.ネット販売

 これ小売りのランキングなので、アリババは入ってきません。そうなると1位はやはり京東、2位には蘇寧が入ってきていますがお、この差がなんと約7倍。そんな京東も損益を見ると大赤字なので、はたから見ると何をやっているのかよくわからんと思う人もいるでしょう。

ネット販売

2015中国チェーンストアトップ100

 中国連鎖経営協会が“2015中国チェーンストアトップ100”を発表しました。トップは蘇寧、2位が国美と家電量販店が続き、3位が華潤万家、4位に高鑫と続き、ここまでが10兆元企業になります。

 

 これによりますと、2015年チェーンストアトップ100の販売規模は2.1兆元で前年比プラス4.3%、店舗総数は11.1万店舗で前年比4.7%となっており、店舗数の増加とほぼ同じパーセンテージでしか売上高が延びていないことが分かります。この4.3%という販売額の伸び率は近年最も低い数値で、過去の推移を見ますと2010年(+21.0%)、2011年(+12.0%)、2012年(+10.8%)、2013年(+9.9%)、2014年(+5.1%)というように、年々下がってきていることが分かります。業態により伸び方が異なっており、専門店(+16.1%)、コンビニ(+15.2%)、スーパー(+4.1%)、百貨店(▲0.7%)となっており、伝統的小売業のスーパーや百貨店の凋落ぶりがよくわかります。

 

 売上高の伸びが鈍っている以外の悩ましい材料としては人件費コストと賃料の上昇です。トップ100企業で見た場合、人件費コスト(+4.2%)、賃料(+8.6%)となっており、出店ペースも鈍っています。

 

 明日は業態別のランキングを見ていきます。

 

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日本ブランドの化粧品は中国でどの位置を占めているのか

 初めて中国大陸に長期的に滞在したのが1995年。その当時、道行く女性はほとんど化粧をしていませんでした。当時成都に旅行に行ったときにバスの女性運転手が化粧をしていたのを見てかなり衝撃を受けた記憶があります。あれから20年たち、かなり多くの女性が化粧をするようになってきました。下表をご覧ください。左から「毎日化粧」、「必要な場合に化粧」、「化粧しない」の順です。この表を見る限り、毎日化粧をする人が上海や北京でも30%強しかないといえばそうなのですが、それでも結構な比率かと思います。

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 どれだけの比率で化粧をしているのか、これは収入水準にもよります。下表をご覧ください。

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 家庭月間収入が4万元以上だと42%の女性が毎日化粧をしています。これは全体データの27%を15ポイントも上回る数字です。2万元から4万元の間でも37%と比較的高い数値を示しています。

 

 さて、最近は中国人が日本で化粧品の類を買いあさるというニュースがしばしば見られますが、中国人が中国国内でどこの国のブランドの商品を購入しているのかを主要都市別にみていきましょう。あれたけ爆買いしているので、きっと日本ブランドはすごいのかと思いきや、

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  中国なので中国ブランドの比率が高くなっているのは横に置いておくとして、外国ブランドだと韓国ブランドの比率が圧倒的に高いのです。日韓を比較した場合、日本ブランドが上回っているのは、上海だけで、それ以外は全敗です。韓国化粧品の中国での勢いは時々ニュースで見ますが、ここまで強いとは思っていませんでした。では、これも収入別にみてみましょう。

 

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 どの収入水準においても日本は韓国に全敗です。というか、中国ブランドを別にすると、外国ブランドでは韓国がすべてトップなのです。

 

 あれだけ日本の爆買いニュースばかり見ていると、日本ブランドの化粧品がさぞかし強いと思う人が多いでしょうから、意外に思う人もいるかもしれませんね。ドラマや芸能人をはじめとするコンテンツが日本のものよりも入り込んでいるのが原因かと思われます。このあたりは政治的な部分もあるでしょうから、なかなかいかんともしがたいところですね。日本アニメは人気があるといっても、これだけだと化粧品にまで波及しづらいでしょうし、やはり生身の人間でアピールできるコンテンツがもっと入り込まないとほかの面に波及させていくのも難しそうですし、そのあたりちょっと工夫が必要でしょう。政治的な要素が大きいのでしょうか。中国の動画サイトで映画やドラマを検索しても、アメリカや韓国というカテゴリー表示はされるのですが、日本というカテゴリーがなかったり、日韓というカテゴリーでありながらほとんど韓国のコンテンツだったりします。なんだかなあ。

2015年中国アパレル上場企業売上ランキング

中国の分野別アパレル上場企業の売上高ランキングです。上からスポーツ、メンズ、カジュアル、靴、レディース、ビジネス、アウトドアです。

 スポーツは軒並み増収増益です。kappaブランドの中国動向だけが減益となってますが、売り上げは増加。安踏のスポーツシューズの売り上げはなんとナイキを上回ったとのこと。李寧は前年度赤字だったのが少ないながらも利益を計上することができ、店舗数も2011年以来初めて純増となり、なんと6133店舗もあります。しかしどこも店舗数がめちゃくちゃ多いですねえ。ジョギングをする人が増えたのでこの分野は調子が良かったようです。

 

 メンズは何とも言えないですねえ。増収となったのがざっと半分、増益となったのもざっと半分。メンズがしんどかった理由がいくつか挙げられていますが、この業界はしんどそうです。

 

 全体的にみると伸びているのはスポーツ、カジュアル、アウトドアですね。

 カジュアルの捜於特(http://celucasn.com/main.html)を見ると韓国ブランドっぽいイメージです。アウトドアの探路者(http://www.toread.com.cn/)は、まあアウトドアそのものですね。いちおう一番売り上げが大きいのはメンズの雅戈尔(ヤンガー)の145億元ですが、売上高の増減率を見る限り、そう遠くないうちにスポーツの安踏やカジュアルの森馬に追い抜いて行かれそうです。中国でかっちりしたメンズデザインを売るのはもう難しくなってきていますね。

 

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中国における高級ブランドの2015年の売り上げを振り返る

中国における高級ブランドの2015年を振り返るということで、本日はラグジュアリーブランド、化粧品、国際ブランド(うまい表現が見当たらないのでとりあえず)、の3つの分類で、ブランドごとの売上高、店舗数、そこからはじき出される店舗当たりの売上高等のデータをご紹介いたします。

 

1.ラグジュアリーブランド

ラグジュアリーブランドの2015年の中国国内の売上高及び店舗数です。高額品が売れなくなってきているといいますが、中には伸ばしているところもあります。とはいうものの、大きく伸ばしているところはその前の年委大きく落ち込んだところばかりのようです。売り上げの一番大きいシャネルはほぼ横這い、第2位のエルメスもマイナス8%なので、全体の傾向としてはやはり落ち込んできているのでしょう。

ラグジュアリー

 

2.化粧品

トップ4はランカム、エスティーローダー、ディオール、シャネルで、これはほぼ変わらないとのことです。売上高を見ると前年比ディオールが7%、ランカムが2%伸ばしていますが、エスティーローダーが3%減、シャネルが1.5%減となっています。そしてこれらブランドの店舗当たりの売上高は軒並み10%前後落ち込んでいます。その理由として挙げられているのは、これらブランドの90%以上が百貨店ルートからなのですが、百貨店自身が落ち込んでいることによります。

母数の小さいところはともかく、ある程度のところで目立つのはinnisfreeという韓国のブランドです。なんと前年比166.7%も伸ばしており、2015年通年では16億元も売り上げています。ここ要注目ですね。

化粧品

 

3.国際ブランド

ここでいう国際ブランド品は上記のラグジュアリーや化粧品を除いており、主に衣類やカバン類が多く挙げられています。安いとは言いませんが、めちゃくちゃ高い部類のものではないです。相対的に早い時期に中国市場に入ってきたカルバンクラインやJuicy Coutureがマイナスとなっていますが、それ以外ははみんな伸ばしていますねえ。とにかく高いものを買うという時代からちょっと高いものを買うという時代に変わりつつあるようです。

国際

もっと成熟してくるとブランドよりも商品そのものに対する評価に基づいて購入する用意なると思うのですが、ラグジュアリーブランドや国際ブランドがそれほど多くない日本ブランドにとってその時代の到来が待ち遠しいのではないでしょうか。

越境ECの政策変更、振り幅が激しいよ!

4月8日から越境ECで輸入する商品に対する税収政策が変更し、多くの商品が税金徴収対象となることが話題になっていました。逆に言えば税金さえ払えばいいということなのですが、これよりももっと大変なことが起こっています。4月8日の1日前付で、実際の発表は前日なのですが、《越境EC小売り輸入商品リスト》なるものが発表されました。簡単に言えば、このリストにある商品以外は、越境EC小売り輸入の方式で中国国内に輸入することができないというものです。どんな商品が対象になっているかといいますと、話題になっているのは粉ミルク、化粧品、一般食品に属さない保健食品です。粉ミルクについては中国国内での登録が行われたもののみ取り扱い可能、化粧品についても初回輸入のものは不可ということなので、逆に言えば輸入許可を取得したもののみが可能、保健食品も登録したもののみが対象となります。保健食品は一般食品扱いであればこの問題は回避することができますが、日本企業にとって影響が大きいのは化粧品ではないでしょうか。

 

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《越境EC小売り輸入商品リスト》の化粧品部分一部抜粋

 

 化粧品販売を行う日本企業にとっての越境ECの魅力は中国に現地法人を作らなくていい、輸入許可を取得していないものでも中国人消費者向けに販売でいる、この二つが大きなよりどころであったと思うのです。現地法人を作らなくてもいいのは今後も変わりませんが、輸入許可の問題は頭が痛いと言わざるを得ません。体力のある化粧品会社は投資とみなしてコストをかけて中国の輸入許可を取得しますが、この費用は決して安くないために、体力的に劣る中小企業レベルあたりだとなかなか踏み切ることができません。また、実際にこのような輸入許可を取得していない中小企業が持つ商材を中国人消費者に越境ECを通じて販売したいというニーズがまた強いのです。このような商品は知名度が劣るため簡単には売れないでしょうが、しかし挑戦することすら制限されるというのはあまりにも厳しい。もちろん、輸入許可を取得さえすればいい話ではあるのですが。。。

 

 保税輸入御場合はこのような管理を受けるため、直送にすればいいではないかという発想が出てきます。直送する場合は小ロットになるため価格対比運送費が吸収できるような金額の商品でないと逆にしんどいかもしれません。また、直送に対しても今後管理が厳しくなっていくことが予想されます。個人の空港持ち込みについても免税は5000元までというルールがつい最近実施され、始まったばかりだからかもしれませんが、空港での検査がえらく厳しくなっているようです。直送については、EMSに対する管理を厳しくするという通達が6月より実施するという通達が出ているため、通達通り厳格に管理していくということであれば保税輸入スキームを回避して直送スキームで対応するという代替案も意味のないものになってしまいます。どこまで本当に管理できるかという問題はありますが。

 

 品目制限につては中国製品保護という名目のようですが、一方で中国人消費者保護はどうなるのだという声が上がっています。あまりにもショートノーティス且つふり幅の激しい変更であるため、これに対応するのは大変です。いままでさんざんあおっておきながら今回の政策変更は厳しい。希望のつなだった越境EC、今後どうなっていきますでしょうか。

2015年中国百貨店・SC・アウトレット売上高ランキング

 2015年の中国の左から百貨店、ショッピングモール、アウトレットの売り上げランキングトップ30です。

 百貨店のトップは北京SKP、元神鋼天地といったほうが通りがいいかもしれません。毎年ののようにトップなのですが、78億元(約1340億円)、日本と比べてみると高島屋横浜店と同じくらいですね。

【2015年 全国百貨店 店舗別 売上高ランキング】
順位 店舗名     売上高   対前年比
1位 伊勢丹新宿本店  2,584億円  (-2.6%)
2位 阪急うめだ本店    1,978億円  (+2.9%)
3位 西武池袋本店   1,873億円  (+1.6%)
4位 三越日本橋本店  1,655億円  (-4.7%)
5位 高島屋横浜店   1,348億円  (-0.4%)
6位 高島屋日本橋店  1,298億円  (-0.0%)
7位 JR名古屋高島屋 1,260億円  (+4.7%)
8位 松坂屋名古屋店  1,256億円  (+1.2%)
9位 高島屋大阪店   1,225億円  (+1.5%)
10位 そごう横浜店    1,129億円  (+2.8%)

 

 次にショッピングモールとアウトレットを見てみましょう。中国のSCトップは南京徳基広場の70.2億元(約1209億円)、アウトレットは上海青浦で41.7億元(約718億円)です。日本の統計はSCとアウトレットがひとまとめになっていますが、日本のSCで1000億円以上を売り上げているところはないですね。やりますなあ。アウトレットを見ると日本は御殿場が761億円でかろうじて上海青浦を上回ってます。

【2015年 ショッピングモール(SC) 店舗別 売上高ランキング】
1位 成田国際空港ビル・・・・・・・972億円
2位 ラゾーナ川崎プラザ・・・・・・767億円
3位 御殿場プレミアムアウトレット・761億円
4位 ららぽーとTOKYO-BAY・・・・ 724億円
5位 イオンレイクタウン・・・・・・580億円
6位 阪急西宮ガーデンズ・・・・・・542億円
7位 テラスモール湘南・・・・・・・526億円
8位 玉川高島屋SC・・・・・・・・・503億円
9位 モゾ ワンダーシティ・・・・・・491億円
10位 ららぽーと横浜・・・・・・・・481億円

 

 本当は坪効率も見たほうがいいと思うのですが、そこまでやるのは面倒なので、単純売上高比較でご勘弁ください!

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中国小売店舗面積、都市部はまだまだ増加の予測

 個人消費が力をつけてきた中国、そしてそれを当て込んで小売り店舗が増加するのはわかります。下図は2016-2018年までの新たに増加する小売店舗の面積の予測図です。今年も多いですが、来年はもっと多い。右側に高中低と色分けされておりますが、これは供給過剰によるリスクの程度を示しており、北京・上海を代表とするいわゆる一線都市のリスクは中リスクや低リスクで収まってますが、武漢、長沙、成都当たりは高リスクと予測されています。低リスクとなっているのはある程度打ち止め感が出てきているところでしょうか。

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 ここ最近目立つ現象として、ラグジュアリーブランドの店舗閉鎖のニュースが多く聞かれます。わずかではありますがラグジュアリー(奢侈品)ブランドの店舗数が減少し、その逆にファストファッション(快时尚)や複数ブランドを販売する店舗(多品牌买手店)が大きく増加しているのが分かります。最近高級品に関係するお話をよくいただくのですが、みんなそろいもそろって「最近は厳しい」といいます。日本で中国人旅行客が好んで購入するのは高級品と逆の「品質の割にはとてもリーズナブルな日用品」が多いと思うのですが、高級品と日用品はシーソーのような関係かもしれません。

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 さて、最後に小売店舗の賃料相場を見てみましょう。北京、上海はわずかですがまだ上がるようです。広州あたりで去年はもう下落し今年も減少する見込み、二線年は昨年も今年も上がる物件もあれば下がる物件もあるというような感じです。さて、みなさんはこの賃料相場通りの賃料で契約できていますでしょうか?

 

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