Date: 1月2012

ポジショニングと消費者誘導

 中国には多くのホテルがあります。それこそ超高級の5つ星ホテルから招待所まで多くのランクにわたって存在しています。最近ではモーテル168、漢庭、如家のようなチェーン型エコノミーホテルと呼ばれる比較的リーズナブルなビジネスホテルも多く現れてきており、利用する側からしても選択肢が多くなってきています。このような中で、布丁酒店というホテルが現れました。このホテルのポジショニングは、チェーン型エコノミーホテルに泊まる人でもなく、招待所に泊まる人でもなく、その間を狙ったものです。

 

創業者はもともとホテル業界を経験してから起業したのですが、チェーン型エコノミーホテルはどれもこれも外観が似ていること、一線・二線都市のビジネスマンを狙っていること、同じようなところに立地し、多くの都市でエコノミーホテル街のようなものができてしまっていること、要するに差別化が図れないままに同じカテゴリーの中でパイの奪い合いをしているように感じたといいます。 

チェーン型エコノミーホテルの価格帯に泊まれない人は招待所レベルのところに泊まることになります。チェーン型エコノミーホテルと招待所の価格差は50~100元くらいといったところですが、価格レベルにしては価格差は大きいといえます。利用者としても治安面、衛生面とも劣る招待所には決して泊まりたいわけではないのですが、やむを得ず招待所を利用してきた人も少なくありません。ここに商機を見出しこういう層を対象にしたのが布丁酒店です。ターゲット層は18~35歳、月収2000~6000元レベルの人です。 

 チェーン型エコノミーホテルは三ツ星ホテルをベースにファシリティーを減らすという方法をとることで価格を抑えています。例えばレストラン、会議室、サウナ、ショップをなくしたり、アイロン、クローゼット、湯船等の客室内のファシリティを減らしたりです。布丁酒店はチェーン型エコノミーホテルをベースにさらにファシリティを減らすという方法をとりました。まず朝食をとるレストランをなくしました。客室面積も減らしました。歯磨き、石鹸といった等もなくしました。こうしたことを通じて招待所以上チェーン型エコノミーホテル未満の価格帯を実現しました。しかしながら、利益率は決して劣らない水準です。しかしやはり一番インパクトの大きいのは部屋面積の小ささで、注号のホテルは割とゆったりとした面積のところが多いのですが、布丁酒店の客室面積は約11㎡(7畳弱)しかありません。スタートしたばかりの時は全く受け入れられず、稼働率も20%にも至らない状態でした。それでも差別化したポジションを維持するために価格帯や客室面積はあえて変更せず、利用者の意見を集めながら微修正を行い、また、若者が集まるエリアでのプロモーションも行い、こうした努力を通じて3か月後には稼働率が80%を上回るようになり、今ではほぼ満室状態になっています。

この勢いで2つ目にトライしたのですが、ここで創業者はさらなる挑戦を行いました。部屋をもっと狭くしたのです。なんと従来の約半分の5-6㎡にまで小さくしました。カプセルホテルほど狭いわけではないですが、中国のホテルとしてはかなり革命的な面積といえるでしょう。しかしこれも当初はなかなか受け入れられず、軌道に乗るまでには7か月を要しましたが、今ではドル箱の物件となっています。これらの動きを通じて創業者は消費者がどこまでなら受け入れられるのかを知ることができたというのが収穫といいます。そして、消費者のニーズは尊重しないといけないものの、すべてに対応するのも現実的でなく、また限界もあります。消費ニーズにすべてこたえるよりもむしろ誘導する必要がるのもだと認識したとのことです。ムーブメントを作り出したということですね。

この布丁酒店の動きから読み取れることとしては二つあります。一つは自社のポジショニングを明確に定めたことです。他との競争に巻き込まれないためにどこを狙うべきか、そのためにはどうすべきか、それを突き詰めた結果が多くのファシリティを削って低価格を打ち出したという点です。そしてもう一つが消費者誘導です。消費者に100%満足してもらうことが勿論理想ではありますが、コストとパフォーマンスを切り分けるのではなくコストパフォーマンス一体で考えた場合、どうしても削らざるを得ない部分が出てきます。布丁酒店の場合はどこまで削れるかを試し、最終的には消費者がそれを受け入れる方向へ誘導することができました。しかし、それができたのも究極的にはやはりポジショニングにブレがなかったところにあるといえるでしょう。

日系企業が中国で事業展開する場合、最初から何事もうまくいくとは限りません。俗に成功しているといわれる日系企業も過去に苦い思いをしながら、それを糧にした今日の成功につながっているといえるでしょう。そういう意味では、事業を始めるに自社のポジショニングはどこに置くべきか、ターゲットとしてはどこが狙い目か、うまく行かなければどのように修正すべきか、そしてもう一つ成功の基準をどこに置くべきかが大事といえるでしょう。特に成功の基準を設けていない場合、何を以って成功なのかあるいは失敗なのかがはっきりせず、ただずるずると事業を続けていく羽目にもなりかねず、あらためてその重要性をフォーカスを当てる必要があるといえるでしょう。

農民工の送迎リムジン

 地方から出稼ぎに出かけている農民工も春節には田舎に帰りたいものです。長い間電車に揺られて到着する時間にはすっかり公共交通機関がなくなっていることもあるでしょう。そんな農民工に対して重慶でいきな計らいが行われました。現地の老板と警察が協力して車で送迎したのです。しかもその車がリムジン車ですよー!私でも乗ったことがないのに。

   

 

中国の高級メンズブランド

 中国でメンズの高級ブランドが登場しました。「社稷」というブランドで、海外では「SORGERE」という名称を使います。ゼニヤのデザイナーのフランチェスコという方が首席デザイナーをやっています。この方は中国で6年生活し、中国文化については相応に理解している方です。この方が言うには「SORGERE」は決してゼニヤのコピーではなく、中国的要素を取り入れたものであるといいます。ちょっと見てみましょう。

 

 

 

  

 ゼニヤのコピーかどうかはともかく、それなりに良さげな感じはしますね。材料はオーストラリアの羊毛や内モンゴルのカシミヤを利用し、イタリアで手作りし、インナーの生地は日本のものを使っており、中国はブランドとマーケティングを行っていくというたてつけです。

このブランドのスーツの一般的な価格は3万~8万元の間で、国外の有名ブランドのオーダーメード価格の半分くらいだそうです。おおきく分けるとスーツ、中山服、カジュアル、手編みセーターという4つのシリーズがあります。

 

 中国ブランドでありながら材料、製造は国外のものであり、中国ではそれ以外のものをやるということで、工場でいえば海外のメーカーが中国国内で調達・製造するのとは全く反対の動きです。中国国内で高級品というのは作り手としてもプラスイメージを持てないのでしょう。確かに中国の高級メンズブランドなんてちょっと今の状況ではイメージしづらいです。なんだかんだでそれなりの値段なので、それだったらアルマーニの同じ価格帯のものを買った方がいいと考える人も多いはずです。そういう意味で、こういう中国ブランドを中国の消費者がどこまで受け入れられるかというのはちょっと注目ですね。

銀行の口座維持手数料

 一定以上の残高があれば色んなサービスがつく代わりに、残高要求を下回れば口座維持手数料を徴収する、いわゆる口座維持手数料ですが、日本でもその概念はあります。とはいうものの、一部外銀を除いて実際に口座維持手数料が発生するような口座って日本にはそんなにはないのでしょうか。なんで口座持ってるだけで手数料を払わなければならないんだというのが大半の方の思うところでしょう。

 さて、中国ですが、中国でも口座維持手数料の概念があります。残高に応じてキャッシュカードが普通カード、ゴールドカード、プラチナカードのようにランク分けされています。メリットは確かにあります。以前深センの空港に行った時に知ったのですが、このカードを持っていることでVIPルームでチェックインすることができるというサービスを受けたことがあるのです。でもメリットってこれくらいでしたが。実はこのカードのために痛い目に会いました。

 ずっと以前は普通カードだったのですが、何年か前に銀行員の勧められるままにカードのランクを上げました。カードのメリットはいろいろと聞きましたが、デメリットに関する説明はナッシングでした。このカードに有効期限があったことからたまたま発覚したのですが、以前ある程度まとまったお金を中国においていてもしょうがないので日本に送ったことがあったのですが、どうもその時に残高要求を割ってしまったようです。気が付くとなんと毎月150元、累計で1350元も手数料が引かれていることがわかりました。ええええええええ?カードのランクアップした時には口座維持手数料の説明など全くありませんでした。これってちょっと前くらいに当地では結構話題になった銀行がガンガン手数料を取っていて問題になっているケースそのまんまで、まさか自分の身に起こるとは思いませんでした。ダチョウ倶楽部じゃないですが、「聞いてないよー!」です。いくらなんでも1350元はやり過ぎでしょう。さすがにこれは銀行にクレームしました。もちろん全額返金を求めるためです。もうかなり文句言いました。だって、知らないうちに1350元ですよ!一つ1元の肉まんが1350個も食べられるのですよ(このセリフ銀行にも言いました)!クレームしてから回答が来るまでの反応は鈍かったのですが、いちおう全額返金する方向で銀行内で申請するという連絡が来ました。もしその申請が通らなければまた文句を言うと思いますが、たぶん返金してくれるでしょう。言ってみるものです。

 中国で駐在している方もひょっとすると口座維持手数料をひかれている人がいるかもしれませんので、念のためにチェックしてみてはいかがでしょうか。

2012年中国大学ランキング

 いつも武書連というところが中国の大学ランキングを発表していますが、最近2012年のが発表されています。武書連については過去記事をご覧ください。ではランキングをご覧ください。

 そうそうたる名前ですね。浙江大学が北京大学や清華大学よりも上なんですね。なんとなく北京大学や清華大学や復元大学の方が上のランクのように思えるのですが、必ずしもそうではないようです。トップ100(総合ランキングと学部別評価の二つの表が下の方にあります)をご覧ください。

 新卒を採用する企業のとってはこういうの情報は大いに参考にできますね。

中国女性の結婚相手に求める経済的条件

 民政部中国社会工作協会結婚紹介所業界委員会と百合網というところが共同で《2011中国人結婚恋愛調査報告》というものを発表しています。

 女性が結婚に当たり男性に求める条件

安定収入があること 92%
家があること 70%近く

 恋愛相手に求める月収

4,000元以上 80%近く
10,000元以上 27.1%

 4000元未満の人はチャンスがかなり小さいですね。それにしても給料が高いにこしたことはないのですが、1万元以上を要求する人は4分の1以上もいるとは。貧富の差が激しいので引き合いに出すべきではないのかもしれませんが、上海の平均月収が4000元くらいです。そんななかで月収1万元以上の要求は結婚相手に求める条件ではなく恋愛相手に求める条件なので、さすがにハードルが高すぎるように思います。

 しかしながら、57%の女性が「“よく稼ぐ”は“いい結婚をする”に及ばない」(原文:”干得好不如嫁得好” )と考えており、これは2010年の71%から比べると14ポイントも下がっています。結婚における経済的要素が下がっているということがいえるのですが、収入に対する要求が高いので、ひょっとするとこの辺りの金銭感覚がマヒしてきているのかもしれません。

 男性が家を購入するという状況において、

権利証に妻の名を入れたくない男性 約40%
権利証に自分の名を入れてほしい女性 約40%

 完全に裏表の関係になっています。このほか、50%近くの女性が男性が家購入代金を全額または頭金を支払うべきと考えています。 

しかし相変わらず条件が厳しいですねえ。そもそも結婚時に持家があるというのは果たして合理的なのでしょうか。最初は二人だけの生活なのでそれほど広いところである必要はない、生活していくうちに子供が生まれるので、子供のためのスペースも必要となる、こういうサイクルで考えると、最初は小さく、そしてだんだん広くという行動をとるべきなのですが、これが最初から持家となるとこのサイクルをまわす簡単ではなくなるでしょう。やはり最初は賃貸で、そして生活環境は家族構成や将来の見通しが出た段階でそれに見合う家を購入する方が合理的かと思うのですが、まだそういう考えにはなっていないようですね。

増値税改革試点地域における0税率・徴収免除の対象取引

 2011年12月29日付で《財政部 国家税務総局:課税サービスの増値税0税率と免税の適用の政策に関する通知》(財税[2011]131号)が公布され、本年1月1日よりスタートしております。増値税の適用税率が0税率であったり免税であったりするケースについて明確にしております。 

 

1.0税率の適用

国際運輸サービス、国外単位に提供する研究開発サービスと設計サービスは増値税0税率を提供する。 

ここでいう国際運輸サービスとは、

(1)  国内で旅客または貨物を輸送して出国

(2)  国外で旅客または貨物を輸送して入国

(3)  国外で旅客または貨物を輸送

以上の3つをいいます。

 

また、国外単位に提供するする設計サービスには国内不動産に対し提供する設計サービスを含みません。

 

2.0税率の処理方法

 (1)0税率の課税サービスを提供する場合、増値税一般税額計算方法を適用するケースに属する場合、免除控除還付の還付を実行することになります。簡易税額計算方法を適用するケースに属する場合、増値税徴収免除方法を実行することになります。

 

 (2)0税率の課税サービスを提供する場合、月ごとに主管の税額還付の税務機関に増値税免除控除還付または免税手続きを申告処理する。具体的な管理方法は国家税務総局商財政部が別途制定。

 

3.免税の適用

以下の課税サービスは増値税が徴収免除となります。

(1)  工事、鉱産資源が国外の工事・実地調査サービス。

(2)  会議展覧地点が国外の展覧サービス。

(3)  保管地点が国外の倉庫サービス。

(4)  対象物が国外で使用される有形動産リースサービス。

(5)   1(0税率の適用)に該当するものの、輸送方式に応じた経営許可証を取得していない国際運輸サービス。

(6)   国外単位に提供する以下の課税サービス

  1.技術譲渡サービス、技術コンサルティングサービス、契約エネルギー管理サービス、ソフトサービス、電気回路設計及びテストサービス、情報システムサービス、業務フロー管理サービス、商標著作権譲渡サービス、知的財産権サービス、物流補助サービス(倉庫サービスを除く)、認証サービス、鑑定サービス、コンサルティングサービス。ただし、契約対象物が国内にある契約エネルギー管理サービス、国内貨物または不動産に対する認証サービス、鑑定サービスとコンサルティングサービスは含まれません。

  2.広告が国外で出される広告サービス。

 

国外向けの多くの増値税対象サービスが0税率や徴収免除となっております。増値税改革が行われなければ営業税が付加されていたようなものも対象となっており、企業にとってはメリットの大きい通達であると言えるでしょう。

中国はアニメに力を入れるといいますが、、、

 2011年12月27日付で《財政部 国家税務総局:アニメ産業の発展を扶助する増値税営業税政策に関する通知》(財税[2011]119号)が公布され、施行期間はバックデートで2011年1月1日よりスタートし2012年12月31日までとされています。ちょっと内容を見てみましょう。
 
1.増値税
 増値税一般納税人に属するアニメ企業が自主開発生産したアニメソフトを販売する場合、17%の税率で増値税を徴収したのち、その増値税の実際の税負担が3%を超過する部分について、即時徴収即時還付が行われます。
 アニメソフト輸出については増値税の徴収が免除されます。
 
2.営業税
 アニメ企業がアニメ製品の開発のために提供するアニメ脚本編纂、イメージデザイン、背景デザイン、動画デザイン、カット分け、動画政策、撮影制作、トレース、着色、画面合成、吹き替え、音楽吹込み、音楽効果合成、編集、字幕制作、圧縮変換(オンラインアニメ、モバイルアニメフォーマット向けの適切な変換)役務、及びアニメ企業が国内でアニメ版権譲渡取引収入(アニメブランド、イメージまたはコンテンツの授権及び再授権を含む)について、3%の税率に減じて営業税を徴収します。
 
 アニメ産業の発展に関する通達はちょっと調べたところ、2006年4月に公布された《国務院弁公庁による財政部等部門への転送:我が国アニメ産業発展の推進の若干意見に関する通知》(国弁発[2006]32号)が一番初めかと思われます。色んな地域で投資誘致に当たりアニメ産業に力を入れると打ち出しているところがありますが、一方で中国でアニメなんてまだまだと言って積極的にならないところもあります。確かに2006年の通達からもうかれこれ6年近くになりますが、この6年近くでどれだけ中国のアニメが力をつけてきたかと思うと個人的には「?」です。日本からのアウトソーシングを受けて絵を描く技術等はそれなりに力をつけてきたかと思いますが、作品自体の魅力がまだまだといえるでしょう。確かに、『喜羊羊与灰太狼』という子供向けアニメは国産モノとしてかなりの大ヒットでしたが、これはしょせんチビっ子向けのものです。青年や成年が楽しむような、つまりストーリー自体を楽しめるようなものが果たして現れたかというとまだ現れていません。では、そのうち出てくるのでしょうか。そりゃあ時間がたてば出てくるでしょうが、まだまだ先の話になりそうです。まず、ストーリーを作り出すにはそれなりの空想力や想像力が必要になってきますが、これは生まれ育った背景や現在の生活背景に追うところが大きいと思うのです。例えば、日本の学校ではクラブ活動が当たり前のように行われていたり、高校生でもアルバイトしている人がいます。一方で中国ではクラブ活動はない、高校生は結構勉強に追いまくられている、つまり学校の授業時間以外の活動があまりにも違うというのが一つ要因として挙げられるでしょう。また、日本のアニメなんかでは不良役が主人公だったりするのがありますが、そんなアニメを果たして中国の審査で認められるかというとこれまた「?」でしょう。ところが実際はそんなアニメが面白かったりします。中国のアニオタ達もそう思っています。そうこう考えると、やっぱり中国のアニメはまだまだなのかなあと。工業は確かに発展してきましたが、アニメに関しては精神・風俗に関係してきますので、これが工業バリのスピードで果たして発展(ストーリーの面白さ)するかというとこれも「?」だと思うのであります。チビっ子向け作品は別として、ストーリー的にはしばらく「カタい」作品がこれからも続いていくように思います。

小売店とメーカーの協同

 中国でよくみられる失敗事例としてあげられるのが、国外の製品、サービスまたは商業モデルを持ってきさえすれば中国で成功すると思っているというものです。実際にはこれが原因で失敗している例は少なくありません。逆に海外の企業が本国のスキームをそのまま日本に持って来てどれだけ成功できるのかとイメージするとわかりやすいでしょう。国外の成功モデルを持ってくるだけで成功にいたらないため、逆に過度に中国市場に迎合するようなケースもありますが、中国においてはそれがコンプライアンスに抵触するような事件につながり、そうなるとブランドイメージに影響を与えてしまうことになってしまいます。2011年10月に重慶で発生したウォルマートの豚肉の偽装販売がそれにあたるといえるでしょう。この事件は通常の豚肉を有機飼料だけで育てた豚と偽って販売したものです。これによりウォルマートには偽装販売などを理由に同市内にある全13店舗の15日間の営業停止と269万元(約3240万円)の罰金を科す処分が科せられました。また、同社の中国のトップが引責辞任することとなりました。

 

1995年に中国に参入したカルフールは2004年に小売業が解放されたとき、すでに全国17都市に30店舗を構えていました。当初は3か月の決済期間を設けたうえでの仕入販売を通じて利益を上げていくモデルだったのが、いつの頃か決済期間も5か月以上となり、入場料やプロモーション費用等を徴収するモデルを取るようになりました。ウォルマートはカルフールと比べて単一店舗当たりの売り上げで負けていたのですが、同社も2007年からこのモデルを採用し始めた。しかしこのモデルはサプライヤーとの間で緊張関係が発生しやすいこと、お金さえ払えば品質の劣るものまで棚に並べてしまうようなことが発生しやすく、これに加えて最近では経営コストの増加や、人材の流動性が高いことにより運営がより難しくなってきています。 

 

小売店は消費者のニーズと短期利益を過度に追求したために、多国籍企業が本来持つグローバルな競争力を中国に持って来るのではなく、既述したような中国モデルを採用することとなってしまいました。ではなぜそのような状況に陥ったのでしょうか。主に三つの要素があるといわれています。 

 

1.国内の販売店はコストコントロール能力が弱く、単位面積当たりの販売効率が低く、サプライチェーン管理能力が欠如しているため、仕入販売差額を通じて利益計上することが難しい。

2.小売店の販売量は小売販売総量に占める比率は高く、家電類の多くの子類別は80%を超えているが、これだけのシェアを持つためにサプライヤーの価格競争力が劣ってしまっている。

3.消費者が価格に対する要求があまりにも厳しく、販売店はサプライヤー絶えず値引きを行わせることをもたらした。

 

 小売店向けにいくら売っても全然儲からないというボヤキを聞きます。しかしながら、最近では小売店とサプライヤーが協同するような事例も出てきています。蘇寧電器ではERPシステムをサプライヤーに対して開放しており、サムスンやハイアールといったメーカーは随時自社製品の販売と在庫状況をフォローすることができるようになっています。小売店とサプライヤーが売る側と納める側という対立構造でではなく、協同するようになってきているのです。このほかには同じく蘇寧電器の事例ですが、同社は昨年三菱重工と家庭用エアコン販売の合弁販売会社を設立することを発表しています。この動きの中で、蘇寧電器の本部がある南京に研究開発センターを設立し、三菱重工の製品ラインナップの充実化につなげるという動き、そして蘇寧電器を通じて三、四級市場の消費情報を共有し、現地消費者のニーズに合わせた製品を研究開発するという動きが行われます。中国の家電量販店といえば蘇寧電器と国美電機の二大巨頭がおり、このうちの一つと組むということはもう一方との関係が微妙になるのは容易に想像がつくと思います。そういう意味ではかなり思い切った戦略だといえるでしょう。三菱電機のこの取り組み、すなわち小売店とメーカーが協同するような戦略が果たして今後どのような展開を見せるのか、また今後同じような動きを取るようなメーカーが出てくるのか、このあたりが気になりますね。

飲食店のフランチャイズ展開

 日本の飲食店の好事例の記事を見つけました。日本の飲食店のポジティブ記事ってそんなに多くないので目を引きました。雅山というお店です。主なメニューは牛丼をはじめとする丼もの、とんこつラーメンです。北京を中心に展開しているので私自身はまだ見たことがないのですが、フランチャイズ展開をしており60店舗ほどあるそうです。 

http://www.gazan.com.cn/index.html (ウェブサイトのアドレス)

 

 牛丼といえば吉野家、最近だと松屋やすき家が思いつくところですが、雅山(GAZAN)という名前は全然知りませんでした。日本の独資ではなくて中国との合弁なのですが、中国現法のCEOである朱さんという人はもともと日本のファストフード店のノウハウをパクとうとして調理師を日本に派遣したのですが、ファストフード店のかなめであるメニュー開発、物流、セントラルキッチン、管理といったことに触れることができ、パクるということは失敗に終わったのですが、その後縁あって雅山と組むことになりました。 

 

 雅山の中国展開のポイントですが、(1)フランチャイズ加盟の発展、(2)二・三線都市での展開、の二つです。2009年にまず北京、武漢等の都市で直営店を始め、その後フランチャイズ展開を開始しました。朱さんはファストフード店のフランチャイズ展開にあたり日本と中国の違いを感じたそうです。中国のフランチャイズ展開というのは一店一店開店し、成功モデルを別の店舗の展開していくというものです。日本の場合は先にセントラルキッチンをかっちりと作り上げ、そこから製品とサービスをアウトプットして行くというものです。現地でのフランチャイズ加盟に当たっては特に大きなプロモーションをしていることはなく、店舗の存在自体がプロモーションになっているようです。例えば、雅山長沙店のフランチャイジーは武漢の加盟店を見て加盟を申し込んだとのことです。

 

 さて、中国の飲食店の多店舗展開ですが、今のところある程度の店舗数があるは吉野家(約150店舗)、サイゼリア(約80店舗)、coco壱番屋(約20店舗)あたりでしょうか。こうしたそうそうたる銘柄の中で雅山の60店舗というのは目立ちます。しかもフランチャイズ展開をスタートしたのは3月からで、もともとの10店舗程度から一気に60店舗程度にまで増やしています(フランチャイズ展開するに当たってはまず2店舗の直営店を1年以上運営しておく必要がありますのでこのような順番になります)。やっぱり一気に店舗を増やすのであればフランチャイズ展開ですね。まあ、台湾系の85度Cのように大量の直営店を一気に展開する方法もあるのでしょうが、それをやるには資金力が入りますから。フランチャイズ展開は商品やサービスのレベルの維持が難しいという問題もあり、それを嫌気する企業も少なくないですが、それをやれている企業もありますので、もっともっと研究されてもいい分野なのではないかと思います。そういえば昨年フランチャイズ経営に関するセミナーを開催しましたが、飲食業の参加者はいるにはいましたが、思ったほど多くなかったです。もっと注目されてもいいように思います。