Date: 8月2012

カルフール中国事業売却の噂

 カルフールの中国事業が売却されるという噂が流れています。そして引き受け手はと噂されています。今のところ正式なコメントは発表されていません。

 

 カルフール中国事業売却に関しては以前にもありました。2009年の時ですが、その時はウォルマートが買収しようとしたのですが、カルフール側から拒否されています。そして今年に入ってからは康師傅集団、中粮集団がカルフールに接触して来たのですが、価格が折り合わなかったそうです。そして、現在は華潤が本命と見られています。商務部(日本の経済産業省に相当)は華潤がカルフール中国事業の引き受け手になることを促したい意向のようですが、これも噂です。

 

 2005年までは中国市場のトップを走っていたカルフールですが、近年はウォルマートや大潤発が台頭し、1位の座から転落し、近年は事業売却されるという話が聞こえるようになってきています。ただし、縮小しているのは中国だけではありません。2006年には韓国撤退、2009年にはロシア撤退、2010年には日本からも撤退、イタリア南部市場撤退、ベルギーで21店舗閉鎖、2011年にはタイ業務を売却、今年に入ってからは6月にギリシャからの撤退を発表しいてます。

 

 事業売却の話が出てくる背景として株式構造の変化によるという見方もあります。カルフールの最大株主はハーレー一族だったのですが、2008年3月以降に株式譲渡が行われ現在はLVMH(CEO個人)、ベルナール・アルノー(フランスの実業家)、米コロニー・キャピタルで組成されたブルーキャピタルが最大株主となっています。ハーレー一族は小売業に集中していましたが、新たな株主はカルフールが世界的に業績が落ちてきている状況を見て、部分的に売却して資金回収し、それをそのほかの投資に振り向けたい意向のようです。

 仮にカルフールの中国事業が売却されるとしても、エリアを区切って売却される可能性が高いようで、中国事業全てが売却される可能性は低いとの見方があります。あるいは個人的には持分の一部譲渡もありかと思います。

 

 主な外資スーパーの売上高推移を見ていきます。

 

 

 

 店舗数は年末時点のものですので、新店舗出店時期や閉店した店舗の時期がいつだったかという要因は無視しています。どこも売り上げは増えていますが、店舗当たりですとテスコ以外は落ち込んでいますねえ。テスコも最近は業績があまりよくないという声が聞こえてきていますが。それにしても大潤発の数字は突出してますねえ。ウォルマートちょっとしんどいかも。どうしてもカタカナ銘柄のカルフールやウォルマートに目が行きがちかと思いますが、大潤発はもっと注目され、そして研究されるべき会社なのではないかと思います。

中国の水市場

 今日は中国の水市場について紹介したいと思います。水と言ってもミネラルウォーター、天然水、アルカリイオン水等々、いろいろとありますね。中国では水道水を直接飲むことができないので、一般的に家庭では飲料水をボトルで買うことになります。ちなみにオフィスでも大茶用にボトルを購入していますが一本19リットルのものです。

 日本でもペットボトル水にたくさんの種類があるように中国にもたくさんあります。身近なものでいうと娃哈哈、農夫山泉、エビアン(中国では結構いい値段します、確か200円くらいだったと思います)なんかがあったりします。そして高級水マーケットは毎年80%のスピードで伸びており、これは包装水市場の生産量の増加率25%をはるかに上回っています。そして、今後どんどん高級化が進んでいくのではないかという予測があります。いくつかのポイントで現状について見ていきましょう。

 

1.製品

  《中国居民日常飲水指南》というものによりますと、中国の飲用水の種類は4つに分かれており、高海抜の雪山のミネラルウォーター、天然ミネラルウォーター、河川湖水、水道水に分かれており、高海抜の雪山のミネラルウォーターは等級の最も高い水となっています。また、業界の中でもから氷河水、天然ミネラルウォーター、ミネラル質水、純浄水に分かれています。これらから高地の氷河水もっともよい水ということがわかります。このような水は崑崙山、5100、格莱由紀、天格尔、珠峰冰川といったブランドがあり、一般大衆的な娃哈哈、農夫山泉とは違うセグメントのものと言えます。

 

2.今までの流れ

 5年ほど前は中国国内の高級水市場はそれほど大きいものではなく、中国では高級な部類に入るエビアンも外国人やお金持ちという限定された人たちが対象で、中国の高級ミネラルウォーターも販売量はもっと少なかったです。ところが、その後5100というブランドが鉄道部の大量の注文を受けて一気に伸び、しかしなぜかその注文が取り消されてから売り上げは大幅にダウン。その一方で、崑崙山というブランドは大量の広告とテニスプレーヤー李娜を起用して大幅に知名度を上げました。

 

3.チャネル

 以上がざっくりとした概要です、販売チャネルについて見ていきましょう。

 崑崙山の定価は5元で、これはミドルハイレベルに位置します。どのような人がターゲットになるのかについて生活スタイル等を研究し、販売チャネルのうち20%を加多宝集団(王老吉という飲み物で有名)の大衆的なチャネルを、80%を自らが開発した高級チャネルを通じて販売するようにしました。高級チャネルというのは高級住宅付近の売り場や、ガソリンスタンドや、高速道路のサービスエリアや、映画館や、観光地といったところでの販売を指し、全国で100以上の都市で販売することができています。

 格莱雪集団の天格尔天山雪融水もまたミドルハイレベルの商品で、販売チャネルとしては同一グループ内の商品で会員制を設けているのがあるのですが、それとは一線を画し、ガソリンスタンド、スーパーと鉄道チャネルを通じて販売しています。現在のところ江蘇・浙江・上海一体の中石化、中石油のガソリンスタンドはほぼカバーし、北京エリアでもある程度カバーしているとのことであり、着々と全国へ広げようとしています。ガソリンスタンドで買う人はケースで買う人が多いそうです。鉄道の場合は入札を経てということになるのですが、まずは上海と北京発の高速鉄道と動車での販売権をゲットしてます。ただし、スーパーについてはまだ入り切れていないようでして、確かにスーパーで販売すると広告価値は高く、知名度向上につながることもあり、まだまだブランド育成期ではありますが食い込んでいこうとしています。他のブランドも同様にはスーパーのチャネルに入り込む、あるいはもっと入り込むことに力を入れています。

 崑崙山と格莱雪集団は実力のあるディーラーを探し、そのディーラーの販売網を活用して販売して行こうという方法を取っています。ディーラーが多くの商品を取り扱っているため、今のところ販売量に制限があり、そのためまだもうけが出るほどではないようですが、マーケットを育成するという割り切りの中で進めているようです。

 

4.会員制

 格莱雪氷川水はハイエンドのポジショニングで、300ccで15元もします。高いですね!これだけの価格なので今のところターゲットとなっているのはやはりお金持ちになります。そして、会員制をとることによってサービスレベルを上げるという手法をとっています。高級品のような価格帯が高すぎる水は普通に店舗で販売するというのは難しいようで、会員制で販売するスタイルの方が多いようです。そして口コミで広がっているのが今のところは堅実のようです。

 

 

 高級品を取り揃えているスーパーなんかに行きますと、それはそれは多くの種類の水が売っていますが、今現在だけを考えるとそれほど儲かっていなさそうですね。ギフト商品として扱ってみてはどうかというコメントを見かけましたが、一本たかだか10元程度のペットボトル水があったとして、それを1ダース12本として100元以上になります。まあ、いちおうの格好がつく贈り物にはなりますね。あとは健康に対するアピールですかね。おいしいだけでなく健康にいいという要素が加わると、引きが強くなるんじゃないでしょうかね。

スターバックスがやってきたこと

 スターバックスは1999年に北京に初めて出店してから十数年が経過しました。今では48都市に計570店舗もあります。進出したころは「中国人が珈琲なんて飲むの?」という目で見られていたかと思うと隔世の感があります。さて、そのスターバックスがいかにして今の地位を築いてきたかを紹介する記事を見つけましたので、それについて紹介してみたいと思います。

 

1.周到な事前調査

 これは以前台湾系の85度Cのケースの時にも紹介していますが、やはり入念な市場調査を行ったようです。そもそも中国にはお茶文化があり、そこに珈琲が果たして割って入れるのかというところがポイントかと思います。スターバックスが行った調査結果によりますと、中国の中産階級が増加する意連れ西洋文化のコーヒーが受け入れられるようになるだろうというものでした。確かに私が広州にいた95~96年あたりはコーヒーショップなんてホテルくらいにしかなかったので、コーヒーショップがあちらこちらにできるイメージはありませんでしたが、それよりもっと先にはそうでなくなると読んでいたということですね。社会が開けてくるにつれて西洋文化がより浸透してくるというのは今で腰そりゃあそうだろうと思いますが、その当時だとその判断を下すのは結構勇気が必要だったのではないでしょうか。

 

2.ポジショニング

 中国のお茶文化と対抗するのではなくそれを利用することを考えました。例えば、緑茶等の現地の葉っぱを使ってブレンドしたりしたのがそうです。コーヒーが苦手でもこれなら受け入れられるという人も多かったようです。味覚に関してもかなり調査を行ったようで、いかにして東洋と西洋の味覚を融合させることで中国人受けするのかについてはかなり分析したようです。以上は味覚面ですが、それ以外ですと店内の雰囲気ですね。上品な内装、心地よい椅子、耳触りのいい音楽、これは競争相手との差別化につながるだけでなく、若者を引き寄せるという意味でも効果的でした。そもそも最初のころはコーヒーの味を分かっていたのか疑わしかった(実際にコーヒーの味はそれほど好きではないという人は少なくなかった)ですが、コーヒーを飲むためにスターバックスに行くのではなくてコーヒーを飲む自分を感じたいためにスターバックスに行くという人は多かったのではないかと思います。

 

3.研修

 既にマーケットが確立しているところからバリスタ(コーヒーを入れる人)を新マーケットに呼んできて研修を行ってます。これを通じて新店舗でもスターバックスに対する理解が深まっていくそうです。このあたりはスターバックスに限らず他の会社でもやっているところが多いのではないかと思います。以前近くのショッピングセンターに行った時に日本から来たと思われる人が中国人スタッフに積極時のお辞儀に仕方を教えているのを見たことがあります。

 

4.現地との提携

 中国進出に当たっては中国の外資受け入れ政策がどんどん開放されて以降独資を選択する企業が増えています。その考え方には間違いはないと思いますが、果たして合弁って全然だめなのかというのをあらためて考えてみてもいいのではないでしょうか。特に飲食業に関しては多店舗展開できているところの多くが合弁の形態をとっているように思います。中国は面積が大きく、地域によって違いがあります。味覚もその一つです。スターバックスは北は北京美大珈琲公司と、東は台湾統一企業と、南は香港美心食品有限公司と、これらのパートナーと合弁会社を作って運営しています。こうしたパートナーと手を組むことで現地で何をすべきか、現地の消費者の好みはどんなものか、こうしたものを把握することができたうえで運営を行っています。なお、今では北京と香港については持ち株を買い取ることで提携関係を解消しています。

 

 

 以上のような取り組みを行っています。色々と書きましたが、要するに進出前に入念に調査して、現地の嗜好を把握して、現地のことをよくわかっているパートナーの協力を仰ぐ、この3つに集約されるのではないかと思います。もちろん合弁が必ずしもバラ色とは限りません。合弁相手に泣かされるケースも少なくないでしょう。合弁と揉めるくらいなら独資の方がいいという考えももちろんあります。そう考えるとマーケットの見極めも大事ですが、合弁相手の見極めもかなり重要になってきますね。

京東商城が停戦を宣言?

 なんともあっけないものです。

つい2日前に京東商城がしかけた仁義なき価格戦争、たった2日で停戦宣言という報道。

なんじゃそりゃ?

このまま続けてると3社(京東商城・蘇寧・国美)とも共倒れになってしまうからだそうです。

仕掛けた時点でわかっては話かとは思いますが。と思ってたら、今度はま京東のトップが微博(ウェイボー)で、「それは誤解だ、価格戦は永遠に終焉を迎える日はない!昨日2億元余りの優待券を配ったばかりで、蘇寧がついてくるのを待っているところだ!、「もう一度言う:戦争が既に終わったなんて言ってない、むしろ戦争は始まったばかりだ!」なんじゃそりゃ?結局価格戦は続けるのかいな。なんだかなあ。

国美電器の京東商城への対抗宣言

 国美電器が京東商城が仕掛けてきた価格戦に対し、対抗心をむき出しにしてます。以下はその中で出てきた宣言です。

 

 1.華南エリアの国美電器が京東商城の価格情報員に無料で弁当を支給し、情報員の身柄は安全だと宣言。(これ結構嫌味なコメントですよね!)

 2.国美電器はキャッシュフローは全く問題ではなく、京東商城をやっつけてしまったらもう価格戦はしない。

 3.私はまさに価格戦から這い上がってきたのであり、価格千を行っていたとき劉強東(京東商城のトップ)はまだ中関村にいた。

 4.国美電器のチェーン店は京東商城の商品の価格表を持っており、リアルタイムで更新しており、絶対に京東商城より安い。

 

 おおおお、仁義なき戦いだああああ!この戦いは国美電器と京東商城だけでなく蘇寧電器も巻き込んだ戦いですが、果たしてこの戦いはいつまで続くのでしょうか。こんなの続けてると共倒れになってしまいますよ。続いている間は消費者にとってもいいのですが、共倒れになったら消費者も大変です。安いのはありがたいことですが、それにも限度があるでしょう。そういえば、以前日本でマクドナルドが59円バーガーなる者を打ち出した時には2期連続赤字に陥っています。激安路線は継続性がなく集客が一過性となってしまったことが原因で、その後は激安企画は期間限定としています。今回の家電価格戦はどこかがつぶれるまでの期間限定の様相が見受けられます。勝った方も痛みが伴います。勝ったとしても赤字に陥る可能性もあります。こういうのを見ると何回も言ってますが、楽天がいったん撤退したのはやっぱり大正解だと思います。

ネット販売大戦争

 中国B2Cネット販売大手の京東商城のトップである劉強東さんが微博(ウェイボー)で爆弾発言してます。

 

 

今日(8月14日のことです)あらためて一つの決定をしました。京東大家電は三年間粗利0!もし三年以内に、いかなる仕入販売人員であれ大家電に威1元でも粗利を乗せればすぐにクビにします!今日から、京東の全ての大家電は国美、蘇寧チェーン店より少なくとも10%以上安いことを保証し、会社は速やかにその実現方法を発表します!

 

本日より、京東は全国で5000名の国美・蘇寧の価格情報員を募集し、各店に2名派遣します。いかなるお客さんも国美、蘇寧で大家電を購入するとき、携帯電話で京東のクライアント端末で価格を比較し、安さが10%に満たなければ、価格情報員が現場で事実であるか確認し、京東はただちに値引きまたは現場でチケットを発行し、確実に10%安いことを保証します!退職者の申込みを歓迎します、月給は3000元以上。

申し込み:zhanglingling@360buy.com

 

 

 なりふりかまわずの価格戦です。京東商城は株主との会議の中で、「今回のこの手段はたくさんの現金を消耗することになりますが、皆さんはどう思いますか」と伝えたところ、とある株主が「私たちにはお金以外に何もない!安心して下さい!思い切ってやってください!」と返ってきたとのこと。これを受けて今度は国美電器が「8月15日9点よりネットショッピングモールの全商品の価格を京東商城より5%安くする」微博(ウェイボー)で宣言。異常です。楽天の中国撤退をネガティブに報道しているところもありましたが、この状況を見る限りでは楽天の撤退は大正解だと思います。こんな価格戦付き合ってられないでしょう。消費者にとってはありがたい話ですが、ちょっと行き過ぎ感がします。これってサプライヤーにもしわ寄せが行くのではないでしょうか?大変なマーケットです。個人的にはネットショッピングモールを活用して販売する、あるいは自社サイトで販売する、というところまではいいのですが、ネットショッピングモールを運営するというのは今のこの状況だと積極的に進めていく必要はなく、もう少し落ち着いてからでもいいのではないかと思います。放っている間にどんどん入りにくくなるという考え方もありますが、もうすでにメガレベルのショッピングモールが存在し十分入りにくくなっているので、やっぱりもう少し落ち着いてからでもいいかなと思います。

甘やかしすぎですよね

 中国の新学期は9月から。9月から大学生になる若者がいろいろと買い揃え始める頃です。新聞でこんな記事を見つけました。『女子大生が「アップル三点セット」を欲しがり母親が怒りの涙を流す』というような見出しです。内容は大学入学に備えて買い物をしていたところ、娘がIphon4S、Ipad3、Macパソコンをねだったところ(しかもどれもこれもスペックが一番高いやつ)、母親がしぶったところ娘が「買ってくれなきゃ大学で恥ずかしい思いをする」などと言い母親を放ったらかしにして立ち去ってしまったという話です。「何様じゃあああああ」と私でなくても口に出してしまった人もいるのではないでしょうか。まあ、大学入学のお祝いなので一つくらいは買ってあげてもいいでしょうが、これ最高のスペックのものを三つもそろえると2万元を超えてしまうのですよね。2万元て。。。甘やかしてはいけません。

 

 そういえば最近楽器店でお話を聞く機会があったのですが、そこで聞いたのが、例えば音楽に興味を持った若者がいたとします。「あのギターが欲しいなあ、よし、バイトしてお金を貯めて手に入れるぞ!」。これが日本の若者。中国の若者は「親に買ってもらうもん」だそうです。アップル三点セットと同じですね。バイトしてためたお金で欲しいものを買う、そうすることでよりありがたみがわかるはずです。日本だと高い買い物であれば全額貯めるのは難しくても、少しくらいはためるでしょう。バイクを買う時に私もお金を貯めたものです(少し助けてもらいましたが)。消費という観点からはありがたい話なのでしょうが、道徳的にはなんだかなあと感じます。何の苦労もなく何でも買いそろえてもらうのが当たり前の感覚って問題ですよね。これを当然と思う若者がこれからもどんどん出てくるでしょう。聞くところによると「80後」よりも「90後」の方が全然扱いにくいそうです。「90後」の一番年長者が22歳、ということは「90後」の大卒の新入社員がこれからどんどん社会に出てきます。消費してもらうという意味では「90後」はなかなか魅力的でしょうが、働いてもらうという意味では企業は結構苦労するのではないでしょうか。

アディダスが中国でやっていること

 2011年に中国の中・小型都市で1000店舗を出店しましたが、今年さらに500-600店舗の出店を計画しており、二・三線都市はもちろんのこと、300-400店舗は三線以下の小型都市への出店にあてようとしています。東部および南部への出店スピードを緩めて、西部と西北部への出店を増やそうとしています。

 

 さて、アディダスが日常的に何をやっているかを見ていきましょう。

 

データ取集

 毎日75-80%の店舗の販売データを集計し、どの店舗で何がよく売れているかを分析し、消費者が欲しがっている製品は何かを調べるということをやっています。このあたりは店舗網を持っているところであればやっているところも多いのではないかと思います。

 

 中国の消費者は変化が速く、その変化について行く必要があります。一つのデザインが受け入れられる期間も短いようで、常にそれに対応していく必要があります。例えば、2012年の春夏物はほぼ終わっていますので、現在は過去5-6年の春夏販売のデータを集め、売れ筋を分析しています。そして過去の情報に基づいて、2013年の春夏のどのような商品を販売するかの予測を行っています。

 

消費者との交流

 有名人や影響力のある人と交流し、これからの流行のトレンドをキャッチし、それを商品企画に反映しようとしています。この他、市場調査を通じて一般消費者と交流を図り、何を好んでいるか、熱中しているスポーツは何かをキャッチアップすることを行っています。

 

現地ディーラーとの関係

 二・三線都市の店舗は大部分がディーラーが所有しています。四・五線都市になりますとディーラーは自ら出店する以外に、卸売も行っており、これを通じてチャネルの深堀につながっています。ディーラーにまかせっきりにしているわけではなく、よりうまく進められるようにマニュアルを渡す等して、よりうまくいくようにサポートを行っているそうです。このような小都市でディーラーがサービスを行っている店舗は今のところ非常に少ないものの、サポートを通じて規模を拡大し、2015年以降には四・五線都市から六線都市にまで広げていくことを計画しています。これだけの店舗網ですからすべてを自社で賄うのは当然無理ですし、このような地方の小都市で成功を収めるためには現地のネットワークを持つディーラーを活用するのは必須と考えています。

 

 以上を見ていますと、特に変わったことをやっているわけでもないですね。最近ある研究会に参加したのですが、その時の講師の方が、「マーケティングは当たり前のことばかり」と仰ってました。どこに問題があるかに気づく、その気づくことというのは言われてみれば確かになるほどと思うことばかりです。このなるほどと思うことをいかに実践に落とし込んでいくか、これが難しいというのもまた事実です。海外でビジネスを行うという難しさ、そして世界中からプレーヤーが集まっている中国マーケットという難しさ、これらをクリアしていく醍醐味を味わっていきたいですね。

医薬品企業のM&Aが増加中

 《薬品生産品質管理規範(2010年改正》の規定に基づいて、2011年3月1日以降の新たに設立する薬品生産企業、薬品生産企業が新たに建設する作業場は新GMP(医薬品や医療用具、食品などの安全性を含む品質保証の手段として、工場 などの製造設備(ハード)およびその品質管理・製造管理(ソフト)について、事業者が 遵守しなければならないことを明確にした基準のこと)の要求を満たさなければならず、現在の薬品生産企業の血液製品、ワクチン、注射剤等の無菌薬品の生産については2013年末までに新GMPの要求を満たさなければならず、その他種類の薬品の生産は2015年末までに同じく要求を満たすことが要求されています。つまり、要求を満たすことができない企業や作業場については、期限到来後は継続して薬品生産を行うことができなくなります。

 

 また、2012年に入ってからもGMP認証審査を強化する意見を発表しています。新基準の方が従来基準よりも厳しいものでるため、企業から見た場合はコスト増になります。そのため、資金繰りが楽ではない中小レベルの企業は今後の見通しを立てづらくなっていく訳ですが、この影響で2011年より中小の製薬企業の持分譲渡が増加しているそうです。2011年1月から2012年7月までで中国国内医薬業界は90件を超えるM&Aが行われており、そのうちA株の薬品企業が行ったものが80%に達します。

 

 このようなM&Aの流れは国としては意図している方向にあると言えます。《医薬工業「十二五」発展計画》によりますと、2015年までには販売収入が500億元を超える企業が5つ以上、100億元を超える企業が100以上、トップ100企業の販売収入が全体の50%以上に達することが目標として書かれています。ということは、今後中国地場企業の規模、力量がどんどん強化していくことになると思われます。中国の薬品業界では今年重金属が多く含まれるカプセルを使用した薬品が出回ったという問題が発生したように、まだ少し問題のある業界といえるかと思います。そんな状況ではありますが、一方で新GMP認証審査を強化していくというように、政策面では厳しくしようとしています。まあ、中国の場合は政策が厳しくともその適用は外資にだけ厳しかったりというケースがありますが、だからといって本当に伸びたいと思っている企業であればそんな状況に甘んじるのではなく、乗り越えようとしてくるでしょう。上述したM&Aの流れなんかその一つかと思います。また、日系企業にとってはそんじょそこらのいい加減な会社じゃなくてこのような乗り越えようとしてくる企業こそが競争相手であるはずです。バカにしたくなる企業も多いですが、まじめな企業も増えてきています。中長期展望を見据えるうえでは欧米系だけでなくて中国系企業の研究もしていく必要があるでしょう。

外国人商業物件にはご用心

 北京に徳川家という日本料理屋があります。名前は日本風ですが、中国人資本による会社です。この料理屋さん、北京に既に6店舗あり、そこそこの規模で経営してます。ここがさらに出店するに当たり、建外SOHOという建物を賃借したのが不幸の始まりでした。賃借契約を締結し、保証金等65万元を支払、そして200万元という資金と半年いう時間を費やして内装を行い、そして営業許可証の手続きをしようとしたところなんとはねつけられてしまいました。その理由とは、「店舗の権利者はオーストリア人で、その建物は経営に用いることはできない」というものでした。徳川家は困ってしまいました。内装のために200万元も使っているのに今さら後には引き返せないからです。ところがなんとさらに不幸なことに店舗オーナーが賃料の支払い等を求め徳川家を訴えたのです。この裁判は2年にわたり、北京市二中院で徳川家は敗訴し、そして店舗オーナーに350万元の賃料と物業費の支払いを命じられたのです(オーナー側は内装損失30万元を賠償)。徳川家はこれを不服として北京市高等法院に再審を提起しています。これどう思いますか?これだけ見ると賃借側に全面的に責任ありっていうことですよね。あまりにもあんまりなのではないかと。法律根拠としては、2006年に公布された《不動産市場の外資参入と管理を規範することに関する意見》の中にある、「国外機構と個人が不動産に投資して《外商投資企業批准証書》と《営業許可証》を取得していない場合、経営活動を行ってはならない。」というものです。確かにそんな通達ありました。

 

 徳川家によりますと、そもそもこの物件は建外SOHOのリース部から紹介を受けた物件であり、これを受けて先方と契約を締結したということです。ということは、そもそも建外SOHOのリース部は賃貸できない物件を紹介したということになりますよね。そしてオーナーは陳さん、契約書に署名したのは張さんという代理人ですが、オーナーの陳さんはオーストリア国籍でありながら中国名を使用し、また代理人の張さんが契約書に署名したとなると、徳川家としては物件のリース部からの紹介を受けた物件ですので、まさか外国人の所有であるため賃貸できない物件と思うはずがないですよね。裁判の中で徳川家は「賃貸行為は国家関連規定に違反するものであり、契約は無効である」と訴え、60万元の保証金の返還と200万元の内装費の賠償を求めましたが、裁判の中では、

 

《不動産市場の外資参入と管理を規範することに関する意見》は行政性の管理規定に属し、法律または行政法規ではない。オーナーが物件を賃貸したのちの結果は当該物件は登記登録できないというものであったが、社会公共利益に損害を与えるものではなく、双方の契約は有効である。

 

 社会公共利益なんてどうでもよくて、徳川家の利益に損害を与えていると思うのですが。

德川家は物件が経営活動に使用できるか否かについて、その内容及び関連する損失について主要な責任を負い、オーナーは自己の物件が賃貸するのに適しているかについても一定の注意義務を負う。

 

 賃借側は物件の適格性に対して「主要な責任を負う」のに対して、オーナーは「一定の注意義務」って。ちょっとちょっと、あまりにもオーナー側に寄り過ぎでしょう。そもそも貸せない物件をリース部に登録するなよということが一つと、貸せない物件をリース部も紹介するなよというのが二つ目。私の感覚では徳川家こそが被害者で、350万元の支払いなんてありえないです。こんな判決が出ると外国人物件には手が出せないというか、まあ今回の場合は表面的には外国人物件であるというのが最後の最後に初めてわかったということなので、徳川家は本当にお気の毒としか言いようがありません。しかし、リース部の責任が全く問われていないですが、訴訟の当事者じゃないので問われないのかもしれないですが、私だったらそんな物件を紹介したリース部も訴えますね。高等法院で逆転判決を出してほしいですね。